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リアクション
清泉 北都(いずみ・ほくと) 南鮪(みなみ・まぐろ)
9999(フォーナインズ)って言うのは、本来は、金の最高純度をあらわす数字らしいんだけどね。
実際には、999.9で最後の9の前に .や , が入るんだって。
そんな立派? な名前とはかけ離れている、いかがわしい飲み屋で聞き込み調査をした僕とパートナーのソーマは、コリィベルへとむかったんだ。
「Mr.シュリンプさんに面会したいんですけど、もし、それがムリなら、いま、ここにきているはずの弓月くるとさんと古森あまねさんにあわせてもらえませんか」
スタッフさんに人にお願いしたら、シュリンプさんはついさっき殺されたって教えられて、くるとさんのことは知らないとか。
「少年探偵って呼ばれてる地球人の小学生です。
ほら、シャンバラでたまに話題になる犯罪王ノーマン・ゲイン関係の事件で活躍してる」
「弓月か。知らんな。うーん。少年で、犯罪王か。それなら」
教えられた場所へ行ってみたら、そこにいたのは、くるとくんではなくて、少年犯罪王の称号を持つニコ・オールドワンド(にこ・おーるどわんど)さんだった。彼はシュリンプさんの死体を甦らせる儀式の真っ最中だ。
ソーマは当然、ここにつく前に一人で迷子になって、いつの間にか、僕に側からいなくなってるし。
仰向けのシュリンプさんの死体をテーブルにのせ、ニコさんが手をかざし、呪文を唱えている。
テーブルの周囲には、少年院の住人っぽいガラの悪そうな人たちが大勢いて、ニコさんの儀式を見守っていた。
「ヒャッハァ〜。おまえは、どっかでみたことがあるぜぃ。へへへ。おまえも俺サマの大活躍をみにきたに違いないな。俺はついに覚醒しちまった。パンツ名探偵としてな」
「南鮪さん。元気そうだね」
過去の冒険で何度が一緒になったことのある、モヒカン頭の南鮪さんが、今日もまた、僕にはよく意味のわからない言葉を口走りながら、近づいてきたんだ。
「すべての謎はパンツに隠されてるんだ。知ってるか」
165センチの僕よりもずっと背の高い、たぶん、身長が190センチ近くあって、しかもモヒカンまで含めると2メートル弱もある、ノッポの不良さんに、こんなふうにからまれても、どう返事をすればいいのか困るよね。
「ヒャッハァー! たしかにパンツだけは、常に身に着けてしまうからなァ〜? 秘密を隠すには最適ってわけだぜ? そうだろ。つまり、パンツの意味を読み解ける俺には、誰も隠し事ができないってわけだ。
な。
な。
な」
「かもしれないねぇ」
三回も同意を求められたんで適当な返事をしてしまった。
「おっと、あの女はオレの獲物だぜ。ヒャッハァ〜。悪いが男のおまえは後回しだ。事件の謎は俺が解く。それを忘れんなよ。じゃあ、またな」
鮪さんは、そそくさと女の子たちのところへ行ってしまったけど、あの人、僕のパンツを調査するつもりだったのかな。
パンツの調査って、なにをするんだろ。
相変わらず、変わった人だね。
グオオオオオオッ。
獣じみた声がした。
僕が鮪さんと話していた間に、ニコさんの儀式は成功したらしいや。
テーブルのシュリンプさんが上体を起こし、まぶたを開け、白目をむいて雄叫びをあげている。
「お目覚めはいかがかな。着物が似合いそうな新入り。
なにか言いたいことがあるなら、僕が聞いてあげるよ」
ニコさんは得意げな笑みを浮かべているけど、僕には、あのシュリンプさんがまともな話ができる状態には、とてもみえないな。
「ニコ。早くこいつから犯人を聞きだしな」
「ああ。言われなくてもわかってるよ。僕は死体の扱いはなれてるんだ。まぁ、みててって」
ここにいる不良の人たちのリーダーらしい白学ランの男の子
+に催促されても、ニコさんはまるで動じていない。
なんだか、悪い予感がしたんだ。
近くに鮪さんがいて、ニコさんがいて、ソーマが行方不明で、そんなシュチェーションで、いつも僕は、悲劇をみてきたせいかもしれない。
でも、だから、僕は、みんなが動きだすほんの少し前に、白学ランの子に抱きついて、彼ごと床に倒れこんだんだ。
「てめっ」
下になった彼が、僕を怒鳴りかけたのとほぼ同時に銃声が響いた。
「わ。新入り、なにするんだよ。銃なんて隠し持ってたのか。
こっちに銃口をむけんな。
僕は、おまえを殺してないぞ」
ニコさんが騒いでる。
「どうなったんだ」
息の届く至近距離で尋ねられて、僕は、ショートカットの彼が、女の子らしいのにようやく気づいた。
「生き返ったシュリンプさんが、発砲したみたいだね」
「おまえ、オレを助けたのか。どうして」
結果としてはそうなんだけど、理由をきかれてもさ。
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