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少年探偵 CASE OF ISHIN KAWAI 2/3

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少年探偵 CASE OF ISHIN KAWAI 2/3

リアクション


フェイミィ・オルトリンデ(ふぇいみぃ・おるとりんで) 

幻をみたんだと思ってた。
出番が終わったオレは、バックステージをうろついてたんだ。
オレのめあては、かわい子ちゃんたちさ。男には興味ねぇ。
殺されちまったやつを悪く言うつもりはねぇが、シュリンプみたいな折り紙つきの美男子でも全然だ。
アイドルや歌姫、ミュージシャン、手品師。
今回の演芸会の女性出演者たちはレベルが高くて、側でみてるとよだれがあふれてくるぜ。
こいつらと同じ場所で空気が吸えるってだけで、幸運ってもんだ。
どの子に声をかけようかと迷いながら、彼女たちをウォッチングしてた。
落語家や人形師のアイドルちゃんは、商売柄か話しやすそうだ。彼女たち本人はベリグでも、マネージャーの男どもが邪魔だよな。アイドルのマネージャーってようするにアレだろ、ヒモっうのか、そういうのだ。
紫の髪の歌姫は、すこぶる美人で、しかも頭がよさそうなんで、火遊びはしてくれたにしても、最後まで待ちこむのには、苦労するよな。食われたのは、オレの方かみたいなオチになりそうだぜ。
竪琴奏者の子は無口で、見てる分にはかわいらしくていいが、なかなか心を開いてくれないだろうな。
さすがのオレも幼女虐待のヘンタイさんには、なりたくねぇし。
アジア人の歌姫は話好きで、やたらと騒がしそうだ。女同士の恋愛関係に持ち込むのは難しい。というかそのケはまるでない気がする。見た目は少女でも、あれは、中身はおばちゃんだ。
キスや軽いおさわりで、説教されるのはゴメンだぜ。
手品師は、舞台裏ではまるで笑顔がないし、一人、離れた場所にいて、秘密を抱え込んでる気がするな。ヘタにかかわると、地獄まで連行! 的なタイプっぽい。
だいたいアレだ。芸人は、舞台じゃ華やかでも、普段は、なに考えてるかわかんねぇやつが多いんだよ。
頭の中で妄想をめぐらせて、楽しんでいたオレは、オレと同じように彼女たちをみつめている他者の視線に、偶然、気づいた。
たまたま、上を眺めたら、そいつの姿がちらりと目に入ったんだ。
舞台上方の天井桟敷から、みんなを見下ろしている。
演舞で使った剣を持って、オレは舞台袖のハシゴで天井裏へとのぼっていった。
オレ自身はともかく、少女を狙う変態野郎をオレは許しておけねぇ。そいつが、男ならなおさらだ。
気配を殺して、天井桟敷へいったオレは、変態をこらしめるつもりだったんだが。
変態は、集団でいたんだ。
下からオレが姿をみかけたやつは、黒マントの少年ぽい野郎だったんだが、天井桟敷には、他にも五人いた。
青地に黒の十字架の紋章を刺繍したマント。
頭部には、竜型のモンスターの頭蓋骨をマスク代わりにかぶっている。
青白く光る長剣を手にしたそいつらは、しゃがんだ黒マントを包囲するように立っている。
不気味だ。
まるで死刑執行にきた死神だぜ。
「なんだ、てめぇらは」
頭蓋骨の奥で輝く五対の目がオレにむけられた。
返事代わりに斬撃がきて、オレは反射的に身をかわして、どうにか避けたんだ。
「シャレになってねぇぞ」
五対一でもやる時はやるしかねぇ。
オレは剣を構えた。
「蒼空第一幻影軍団(B・F・V・C)だ。喧嘩を売るつもりなら、お相手しよう」
やつらのうちの一人がオレの方をむく。
「B・F・V・C? 聞いたことねぇな。オレは、いちおう、PMRだ。
わけは知らねぇが、いじめはよくねぇよな。
いくぜ」
不利は百も承知で、オレはやつに斬りかかった。