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暴走する機械と彫像の遺跡

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暴走する機械と彫像の遺跡

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■幕間:暗躍する者たち

 露店が並ぶ大通りを歩きながら湯浅 忍(ゆあさ・しのぶ)ロビーナ・ディーレイ(ろびーな・でぃーれい)は周囲を見回していた。
「金になる情報だと思ったんだけどなぁ……ウマイ話ってのはそうそうねえか」
「忍は甘いねえ。あたいみたいにしっかりしてれば金に困ることもないでござろうに」
「良い男を見つけたら脇目も振らねえヤツがしっかりってぇのは冗談だろ」
「良い女は恋多きものでござる」
 ほほほ、と笑う姿は楽しげである。
 さてどうしたものか、と湯浅が広場の方を眺めたとき目的の人物を見かけた。
 黒の外套を頭からすっぽりと被った印象的な姿。最近この辺りに現れるようになったという人物たちだ。
 ああいった輩はたいてい何かしらの犯罪に関わっている場合が多い。
 そういったやつらの情報というものは時と場合によっては金になる。
「ほら、追いかけるぞ」
「はいはい」
 広場を抜け、博物館を通り過ぎる。その先にあるのは石女神の遺跡だ。
 観光客も多いのだろう。遺跡の出入りは激しい。
「ん? 遺跡に入らねえのか」
 外套の男は遺跡の脇道に入っていく。その先には荒野が広がっているだけだ。
 湯浅は遺跡の影に隠れて様子を窺う。この先には進めない。隠れる場所がないからだ。
「誰か来たでござる」
 ロビーナの視線の先には騎士風の男の姿があった。
 騎士風の男は外套の男に近づくと何事か話しかけた。
 内容はここからでは聞き取れない。だが張りつめた空気が感じられた。
「なにヤッテんだろうなぁ」
 何かを手渡された外套の男が湯浅の方へ近づいてきた。
 まずい、と感じた二人はすぐさまその場を離れる。
「……近いうちにやります。やってみせます」
 そんなことを呟いて外套の男は街の広場へ向かっていく。
 追いかけようとするが人ごみに紛れてしまい見失ってしまった。
「ああー。せっかくの金づるが……」
 湯浅が空を仰ぎ見た。雲一つない青天であった。