First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
Next Last
リアクション
「なるほど。墓にはない、と?」
ミア・マハ(みあ・まは)の言葉に、レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)は頷く。
「重要な短剣であれば、普通は墓に一緒に埋葬される筈……だからこそ真っ先に探してるんじゃないかな?」
そう、ドニアザードは古代呪術研究所から短剣を取り戻した後、何処に持って行ったのか。
通常であれば、大英雄の墓に再び戻したと考えるのが普通だ。
当然、部族の者達もそこを探すだろう。
だが、この状況は普通ではない。
長たるドニアザードに疑念を持ったドニアザードが、大英雄の墓に水晶短剣を戻したかといえば、レキの言うとおりに疑念が残る。
「確かにな。通常であれば候補として長の家が筆頭だが……こうなると、そこにあるかも怪しいか」
「場所もそうじゃが、長ではない方のドニアザードが最も信頼を寄せている者は誰じゃ? そ奴の行動も調べた方が良いかもしれん」
夜刀神 甚五郎(やとがみ・じんごろう)と草薙 羽純(くさなぎ・はすみ)の意見は、どちらも一理ある。
長の影響の強い場所には、ドニアザードは隠さなかっただろう。
信用している人物に任せたという可能性も、非常に高い。
「とはいえ、全てを調べている時間はないぞ?」
「そうだな……範囲を絞っていかなければいかんな」
ミアと甚五郎は、そう言って唸る。
「貴様等……侵入者か!」
「ぬ、いかん……敵か!」
敵意をあらわにして走ってくる男達に気付いた羽純が、いち早く戦闘態勢を取る。
「探索の邪魔をするなら容赦はせぬぞ。死骨竜の代わりに『稲妻の札』で雷をその身に受けよ!」
ミアの稲妻が、武器を構えて襲ってこようとしていた男達を打ち据える。
「まずいな……とにかく短剣を見つけなければ話にならん。だが、こう足止めを受けていては……」
「ああ、いや……それは何とかなりそうじゃの」
甚五郎の言葉に、ミアはそう言って1つの方向を指差す。そこには、何やら騒動が起こっているらしい音が聞こえてきていた。
「あれは……そうか、召喚が始まっていたのか」
その正体を、羽純は看破する。
召喚「三十の偉大なる英雄」。
理想追求機関ネバーランドの機関長、オルヒト・ノーマンによる援護が始まったのだ。
伝説に謡われる三十人の英雄達の幻影。
そこには当然、初代ドニアザードの幻影も含まれている。
伝説に深く傾倒し初代ドニアザードを崇めるドニアザードの部族の者達ならば、その姿を見て動揺しない者など、ほとんどないだろう。
「現在でも見つかっていない事を考えると、村の意外な場所にある可能性もある……よね」
その間にも、レキは推理を働かせていく。
「大英雄の墓に水晶骨格があったんだよな、なら代々のドニアザードの長の墓とかはどうだ?」
「うん、それも充分に可能性はあるよね。あとはトレジャーセンスと……女の勘で探すしかないよね!」
生まれた混乱の隙をつくように、レキは走り出す。
行く手を塞ぐように生まれたスケルトンをミアのバニッシュが倒し、レキ達は村の奥へと走っていく。
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
Next Last