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リアクション
2章
1
再び時は遡り、作戦開始前、要塞付近。
梅琳たちを救出するメンバーが集まり、作戦会議をしていた。
メンバーは、源 鉄心(みなもと・てっしん)をリーダーとし、そのパートナー、ティー・ティー(てぃー・てぃー)、イコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)、そして、柊 真司(ひいらぎ・しんじ)に、魔鎧の状態でリーラ・タイルヒュン(りーら・たいるひゅん)、ナノマシンの状態でソーマ・ティオン(そーま・てぃおん)がいた。最後に、バックアップとしてアレーティア・クレイス(あれーてぃあ・くれいす)が拠点に残ることになっていた。
「既に2人捕まっている上、内部の情報は少ない。俺たち救出組も人数は少ないしな。なので、行動するのはハッカーたちの情報で牢屋の位置が特定されてからにしようと思う。それまでは要塞付近に隠れよう。そして要塞内部に入ってからの話だが、偵察部隊が先にヘマをやらかして警戒レヴェルが上がっていることもあり得る。かなり危険な任務になると思うが…そこで!」
源は、手に持っていたモノを持ち上げながら、
「この、教導団の秘密兵器の出番という訳だ」
言いながら、手に持つのはダンボール。
板紙に波形の段をつけた中芯を張り合わせたもの。主に荷物の梱包に使われるアレである。
「って、なんでだよ!」
と、真司はダンボールを床に叩き付ける。
それを見てティーは、
「あぁっ、せっかくのダンボールが! ノリツッコミはともかく、乱暴はよくないです。ほら、吹雪さんを見て下さい」
一同は、葛城を見る。そこには、一心にマイダンボールを手入れしている姿が。
「あんなにも真剣にダンボールと向き合って…絆すら感じます。あれくらいの優しさをもって……」
「いや、どう見てもただの気持ち悪い人にしか見えないし、何に使うんだこんなもん。まぁいいか、とりあえず持って行ってみるか……」
■
時は戻り、要塞内部、牢屋付近。
真司は、源の指示通り、天貴とダリルの情報を手に入れてから侵入、【テレパシー】で拠点のアレーティアに指示を出してもらいながら進んでいた。
ナノマシンの状態のソーマが【迷彩塗装】を装備した上で、敵兵士の数、監視カメラの有無を確認していたおかげで、敵に見つかることはなかった。
「よし、アレーティア。牢屋はこの部屋ですね?」
『うむ。じゃが、鍵がかかっとる。リーラに壁抜けしてもらえ』
「分かってますよ。では、源さんたちは少し待ってて下さい。中から鍵を開けますので。リーラ、頼みますよ」
「はいはい。【壁抜けの術】」
魔鎧のリーラがスキルを唱えたあと、真司が壁抜けする。少ししてから扉が開いた。
「お〜ありがとうな。っと……アレかな?」
源の視線の先には、牢屋の中でぐったりしている梅琳とエレーネがいた。
真司は梅琳に近づき、
「源さんたちは鍵を探してくれますか? 梅琳さん、大丈夫ですか!?」
真司が声をかけるが、梅琳たちは起きる気配すらしない。心配になって思い切り揺さぶると、梅琳はうっすらと目を開けた。
「んぁ? ふあぁ……、何? 誰あなた。看守? ご飯は? んー、よく寝たぁ……」
「……もしかして寝てただけですか?」
真司は、はぁ、とため息をつく。
「梅琳さんとエレーネさんですね。救助に来ましたよ。もうすぐここ、開けますから」
■
結局、梅琳とエレーネは無事に牢屋から脱出した。
「いや、特に何もされなかったよ。脱出は試そうとおもったんだけど看守がずっといたからねぇ。ってかアレ? 看守は? なんかハゲのごついオッサン」
梅琳はイコナが持って来た服を着ながら喋りつづける。
「看守? そういやいなかったな。人がいると厄介だと思ってたんだが。どこかへ行ったのを見なかったのか?」
と、源は聞くが、
「いや、私たち寝てましたから。そのうち助け来るから気長に待ちましょうとかメイリン様が言うので。爆睡なうでした」
とエレーネが返す。どうやら本当に何も問題は無かったようだ。
「まぁ問題ないなら、こんな辛気くさい所さっさと出ましょうよ。梅琳さんたちはこの子に乗って脱出して下さい」
イコナがカプセルに閉じ込めていた【サラダ】を出した直後、真司にアレーティアから連絡が入った。
「どうしました? ……了解。要救助者の保護には成功したので、すぐ脱出する、と指揮官に連絡して下さい」
真司はソーマに剣状態になってもらってから、言う。
「問題が発生したようです。中では古代兵器とやらが動き出してるらしい。外でも幹部が出て来て、大変なことになっているようです。これ以上騒ぎが大きくなって、ここから出れなくなる前に脱出しましょう」
20分後、源たちは、無事要救助者を連れて、要塞内からの脱出に成功した。
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