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リアクション
サスペンス温泉事件 第1の殺人
「皆さん下がってください! 現場を荒らさないで」
「はいはいはーい、素人さんは引っ込んでろなー」
血だるまで倒れた貴仁の周囲には、人が入り込まないように線が引かれた。
マイア・コロチナ(まいあ・ころちな)の指令の下、斎賀 昌毅(さいが・まさき)は集まってきた野次馬たちを後に下がらせる。
「普段から捜査している風紀委員のこのボクに任せておくのです。この事件はプロであるボクの管轄です」
プロに当たるかどうかは疑問だが、それでも場を仕切っていくマイア。
「ふむ…… この殺人、果たして事故か事件か……」
どこか矛盾した台詞を言いながら、腕を組み顎に手を当て、しばし考え込む。
「あのー、こういう時こそ探偵さんの出番なのでは……?」
「探偵? 何を言ってるんですか」
「こういうのは、プロに任せておきゃいーんだよ。素人は引っ込んでな」
おそるおそる切り出したのは、探偵どころか第一発見者になってしまったオルフェリア。
それを、やや傲慢な態度で切り捨てる、マイアと昌毅。
しばし睨みあう、マイアとオルフェリア。
そこに、悲鳴が聞こえた。
サスペンス温泉事件 第2、3、4、5、6、7……の殺人
「た、たたたたたたた大変! 人が、いっぱい倒れてる!」
「死んどらっせるようですが、まぁ気にしなくてええすけ。男だし」
動揺ハイテンションと冷淡ローテンションの二人の声。
東雲 秋日子(しののめ・あきひこ)は青ざめた様子で、奈月 真尋(なつき・まひろ)は無表情のまま、マイアたちの所に駆けつける。
「落ち着いてください! 何があったのか、ボクに案内してください」
「ああ良かった! キミが探偵さん?」
「ボクは探偵ではない。この事件の管轄の者だ」
(……なぁんだ、探偵さんじゃないのか……)
ほっとしたような秋日子の表情が急速に失望に変わる。
(この展開、この場にいる人ってきっと無能な事件の引っ掻き回し役に間違いないよね……)
そんな秋日子のかなり失礼な心の声が聞こえたのか表情から推測したのか、マイアと昌毅は居丈高な様子で秋日子を促す。
「いいから早く現場に案内してください!」
「探偵さんとやらがもしいたなら、ついて来てもいいぜ〜。ま、事件を解決できるかどうかは別だがよ」
死屍累々という言葉がこれほど似合う温泉があっただろうか。
そこには、複数の男性たちが傷だらけで意識を失って、温泉に浮かんでいた。
中には、ロボットらしき機械も一体。
秋日子が持ち上げてみると、ポロリと首(らしきもの)が落ちた。
「ひぃいっ!」
「そこ、現場を荒らさないでください」
マイアの鋭い叱責が飛ぶ。
「成人男性が2名、少年が1名、ロボが1体とあと戦闘員数名……」
昌毅が遺体を数えている。
「一人を除き、全員が裸。一人だけ、裸に白衣……一体何が」
もうお分かりだろうが、被害者は舞香にやられたハデス、発明品、唯斗、暁斗、そして戦闘員たちだった。
「あ、ありのままに起こったことを話すよ……」
秋日子が震える体を自ら抱きしめながら、その場に集った人たちに説明する。
「真尋ちゃんと温泉に入ろうとしたら、たくさん何かが浮かんでいるのが見えて。近づいてみたら……」
「こいつら全員、男さね。どうせ足滑らせて転んだか覗きでもして仕置きされたかに決まっとるすけ」
男にはあくまでも冷淡な真尋。
「だから、事件やなくて事故ですよ。これは」
「うーむ……」
そこに、新たな悲鳴。
「う、うわぁああ、大変だよーっ!」
慌てて駆けつけてみると、そこにいたのは木・来香(むー・らいしゃん)。
震える指で、温泉を指す。
「な、なんだと……!」
そこにもまた、たくさんの男女の死体が浮かんでいた。
「これは、事故ではない。大量殺人事件だ!」
マイアは宣言した。
浮かんでいたのは、ダリルにやられたルカルカ、淵、エース、メシエそしてリリアたちだった――
犯人は誰だ!(ダリルです)
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