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ぶーとれぐ 真実の館

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ぶーとれぐ 真実の館

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葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき) 菅原 道真(すがわらの・みちざね) 茅野 菫(ちの・すみれ) 



不意打ちを受けて、意識を失った。
気がつくと、すぐに耐えきれないほどの痛みが襲ってきた。いや、痛みのせいで目をさましたと考えるのが妥当だろう。
暗い部屋の床に転がされていた。
悲鳴をあげようとして、口に猿ぐつわをかまされているのを知る。

「ぐぐぐぐぐぅ」

くもぐったうめきしかでてこない。
これでは助けを呼ぶのは難しいだろう。

自分は知りすぎてしまったでありますか。
犯人たちに接触し、恐喝を行おうとしたのは軽率だったでありますか。
利益をひとりじめするために、誰にも情報を教えていないのも、よくなかったであります、ね。

肩、腹、背中、体のあちこちが痛む。相当、ひどく殴られ蹴られたようだ。
内臓は無事なようだが、何か所か骨折している気がする。
傭兵、テロリストとしての経験から、自分の体がいまどんな状態なのかは混濁した意識の中でも把握できた。

いま、自分は重傷であります。
戦闘不能で前線から母国へ送還されるレベルであります。

「おい。
まだ、意識があるみたいだよ。
少なくとも2日以上、だいたい3、4日はまともに口がきけないようにしておいてよ。
熟練した兵隊ってのは見た目は普通でも案外、タフにできてるから、もっと痛めつけても死ぬことはないわ。
いいね。
殺してはダメよ。
適当にやったら、ダウンタウンに運んで石畳に転がしておけばいいから」

細身の体にタンクトップとスキニージーンズのボーイッシュな雰囲気の女性、菅原道真は、マジェスティックの自警団的存在であるスコット商会の部下たち、真実の館にボーイやメイドとして潜入している少年、少女たちに指示をだすと、自身も床に倒れている葛城吹雪の頭を蹴り上げた。

「しばらくお眠りなさい。その方がラクよ」

スコット商会。
菅原道真。
茅野菫。
この、マジェの魔女たちは、依頼を受けて。

「ぐはっ」

再び消えかけた意識を気合いで取り戻して、葛城吹雪は手首、足首を縛られたまま跳ね起き、視界の端のドアにむかってダイブした。

肩からぶちあたってこのドアをあければ、ひょっとすれば、であります!

捨身の体当たりで木の扉が開く。
そして、吹雪は屋根裏の隠し部屋から、吹き抜けを抜けて、10数メートル下の1階のホールへと落下していった。