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第6章 盆に踊りて縁に親しむ5



「さて、私達蒼空学園広報は今回のイベント『雅』の穴場スポットを発見いたしました。
 それはこちら! おまじないと和菓子で人気の屋台です。
 屋台をきり盛りしているのはイルミンの魔法少女アイドル、遠野歌菜さん。 早速行ってみましょー!」
「ベル、意外とリポーター役ははまってるかも知れないねぇ……ほら凶司ちゃん。
 そろそろ元気だして仕事もしないとマズいだろぉ〜?」
「わ、分かってる、けど………」


縁日と言えば、通常入り口から近い場所や何か目立つ遊びが出来る店の側なんかが
客を寄せ付ける絶好のポジションである。 だが、歌菜と羽純の店はそんなポジションの差を覆していた。


「いらっしゃいませー!」


そんな話を聞きつけ、凶司達もやってきた。

「≪あぁぁ〜〜〜〜〜…………最低だぁ…あんな風に告白してしまうなんて!?
  そりゃギャルゲとかだとあったりするけど、リアルでやれるような技じゃないだろ〜〜〜!
  僕のバカ! あーベルネッサ、あの後も普通に接してくれてるけど、どう思ってるんだ?≫」
「≪まぁ決して悪い反応じゃなかったんだし、このまま言わないで凶司ちゃんの反応を楽しもうかねぇ〜≫」


店内に既に来ていた海と柚は、和菓子を摘みながら話に華を咲かせている。


「美味しいですね〜。 この3色だんごとか最高です!」
「リンゴ飴とか定番の屋台もいいが、和菓子の屋台か。 この発想はなかったな」
「海くん。 さっきのあんみつのあんこ、顔に付いてます」
「なっ、どこだ?」
「動かないで下さい」


そっとタオルで拭ってあげる柚。
海の顔に心なしか朱がさした気がした。





               ◇ ◇ ◇





「ご馳走様。 会計宜しく頼むぜ」


隼人とルミーナが、食事を終えて席を立つ。


「あっ、その前に……この中から好きな千代紙を1つ選んでください」


歌菜の指示に従い、ルミーナとそれぞれ紙を選ぶ。


「ありがとうございます。 それじゃ折り鶴を折ってもらうんですけど、
 大切に、一折り一折り想いを込めて折って下さいね♪ 折り方分かりますか?」


分からなかった2人のために、ルミーナには歌菜が、隼人には羽純がレクチャーする。


「くっ、中々綺麗に折れないな。 難しいぜ」
「初めてだと上手くいかない人も多いものだ。 あまり気にするな」
「でも想いを込めて折るんだろ? 何だかこう…想いってのがきちんと
 込めれてない気がしちまって…」
「あーもう、細かい事ぁいいんだよ。 心を込めて折ることに意味がある。
 それにお前が折ったなら、これにはお前の想いが……味がある。 それで十分だ」
「そっか……分かったぜ」


「それじゃ折った折り鶴を互いに交換してください」
「ルミーナさん。 ちょっと不恰好かもだけど、これもらってくれ」
「はい。 わたくしのも」
「交換しましたね? これでおまじない完了です!
 お互いがたくさん想いを込めた鶴ですから、ここでの想い出に大切にして下さいね。
 きっとお二人の縁を深めてくれます♪」


鶴と互いの顔を見つめ合う2人。


「ありがとうな! いい想い出になったぜ!」
「ありがとうございましたー♪ 雅を楽しんでくださいね〜」