リアクション
第7章 空に花の咲く頃に1
酒杜 陽一(さかもり・よういち)は、高根沢 理子(たかねざわ・りこ)と共に
人通りの少なくなった縁日の方に移動していた。
「理子さん、本当にこんな楽しみ方で良かったの?」
「ええ。 来賓として来たら色々面倒だもの。 折角陽一が誘ってくれたんだし」
「そっか、俺は理子さんの息抜きになってればそれでいいよ」
そう言って微笑み合う2人。
そして今日の想い出を振り返る。
たこ焼きロシアンルーレットでは陽一が痛い目を見た。
2人でスイカバーアイスを食べたら理子が当たりを引いた。
盆踊りだってばれないようにだったけどきちんと参加した。
「今日もいっぱい楽しめた」
「そうね」
陽一は視線を外すと、話出す。
「異世界間の軋轢は未だに多くあるし、今は世界そのものが存続の危機に晒されている。
でも、こうしてパラミタで地球の文化に触れられるのは、ふたつの世界の共存があってこそだ。
だから、こんな何てことない1日を、ずっと続けていくために……」
そうして陽一から手渡されるのは、ルビーの指輪。
「一緒に戦おう。 大切な2つの世界を守りきるために………理子さんは俺が絶対、護ってみせるから」
「………うん、あなたがいるなら……私も、ずっと頑張れる」
そして花火の光が2人に降り注ぐ。
誕生日おめでとう、理子。
これからもずっと一緒だ……ずっとずっと。