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夏の雅に薔薇を添えて

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第7章 空に花の咲く頃に3





「盆踊り。 楽しかったね、アゾートさん」
「うん。 中々味わえない経験だった」
「最終的には弾さんの方がアゾートさんに教えられていたようですけど?」
「あははは……アゾートさん、やっぱりすごく賢いから」


うちあがる花火に、見入る弾とアゾート。


「≪さて、どうなるかお楽しみです≫ あー足が滑りましたわー」


そう言ってアゾートにぶつかるノエル。
そのままアゾートは弾にぶつかり、必然的に密着状態になる。


「うわぁ!? ああああアゾートさん!?」
「ノエルに押されて」


弾がノエルの様子を窺えば、含み笑いをしながら彼女は見つめ返してくる。


「あ、アゾートさん? その、寄りかかったまんまだけど……」
「キミが嫌なら止めるけど?」
「えええっ!? そんな嫌じゃないよ! むしろウェルカムだよ!」


ノエルからしてみれば女の子が女の子に告白してるようなもので滑稽であった。


「初めてだった」
「え? 何が……?」
「男の人に守ってもらったのは、キミが初めてだった」
「アゾートさん……」


さきほどのお化け屋敷を思い出しながらアゾートは言う。


弾は、心配だった。
胸の鼓動が聞かれてやしないかと。 だってこんな風に寄り添われているのだから。


だが、花火が終わるまでその嬉しい不安が取り除かれることはなかった。