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まだまだ



「今度こそ、お宝ゲットだよ!」
 ノーン・クリスタリアが、乗っているパラミタイルカを励ましました。
 他の者の追従を許さないスピードで、パラミタイルカが浅瀬を力業で突っ切って行きました。少し深さが増した8番区画で、ノーン・クリスタリアを乗せたまま、ピョンとジャンプします。
 普通ならそのまま海にダイブして事なきを得るのですが、いかんせん、ここはまだ一メートルの深さもありません。
 どっぼーん!
 パラミタイルカとノーン・クリスタリアが頭から海底の砂に突っ込みました。
「し、死ぬかと思ったよお」
 なんとか、海面に頭を出したノーン・クリスタリアが、息を継いでほっとしました。その横に、気絶したパラミタイルカがぷっかあと浮かんできます。おや、その横に、宝箱が……。どうやら、ノーン・クリスタリアとパラミタイルカに海底を抉られて、宝箱が飛び出してしまったようです。
「やったねっ!」
 気絶したままのパラミタイルカを褒めると、ノーン・クリスタリアが宝箱を開けてみました。
 中から出て来たのは、『カフェディオニウス・コーヒー券11枚綴り』でした。サービスで、一枚多いようです。
「さあ、鑑定だよ!」
 すぐに、御神楽舞花に画像を送って鑑定を依頼します。
『分かりました、ちょっと待ってください』
 御神楽舞花が、御神楽陽太に画像を転送しました。
『ええっと、鑑定も何も、そこに書いてある価格だと思います。コーヒー10杯分の値段で、実質11杯という感じかな』
 身も蓋もない、御神楽陽太の鑑定でした。

    ★    ★    ★

「こ、今度は、巫女さんやてつごころたちがすでに安全を確認してあるから、大丈夫なのだあ。今度こそ、黎明華の宝物、ゲットなのだあ!」
 今度は幽霊の邪魔は入らないはずと、安心して屋良黎明華が29番区画の砂浜を掘っていきました。
「ここ掘れニャンニャン、出てこい出てこい宝物〜なのだあ」
 鼻歌を歌いながら、屋良黎明華が、まるで犬のように勢いよく両手で砂を掘っていきます。
 すっぽーん。
 勢いがよすぎて、埋まっていた宝箱が吹っ飛んでいきました。
「ひゃっはあ、大変なのだあ」
 あわてて、屋良黎明華が宝箱を追いかけます。無事、転がっていた宝箱をゲットすると、わくわくしながら蓋を開けました。
 中から出て来たのは、『ツインお下げウイッグ』でした。緑色の二本のつけお下げです。
「に、似合う!?」
 とりあえず、つけてみてポーズをとる屋良黎明華でした。

    ★    ★    ★

「いいか、この幸運の44番区画を更地にしてでも、お宝をゲットするのだ!」
 黄金の機晶戦車を引っ張り出してきたマネキ・ングが叫びました。
 凄い勢いで、環境破壊、いえ、岩場を掘り返していきます。けれども、すでにここのお宝は掘り出された後なので、何も出て来ません。
「何も出てこないぜ」
「ポゥー、もっと激しく、踊るように掘るよー」
「いいかげんに諦めろ!」
 未だに掘る気満々の御手洗ジョウジとマイキー・ウォーリーを、セリス・ファーランドが諫めました。
「まだまだ。きっと、宝が埋まっているに違いない。者共、手を休めるな!」
 全然諦めないマネキ・ングが、調子よくあおります。
「さっきの鏡餅山分けでいいだろう。そろそろやめないと、怖い人たちが来るぞ」
「もう来ているぞ」
 必死に止めようとしているセリス・ファーランドの後ろで、いつの間に現れたのかジェイス・銀霞が言いました。
「ひー」
 セリス・ファーランドが引きつりました。
「ビュリ、消毒しろ」
 パチンと指を鳴らして、ジェイス・銀霞が命令します。
「はーいなのだあ。ファイアストームなのだあ」
 ビュリ・ピュリティアが、遠慮なく極大魔法を放ちました。
 消毒終了です。

    ★    ★    ★

「それで、何か見つかりまして?」
 先行偵察隊として岩場の57番区画へ派遣していたミニうさティー軍団と、おまけのスープ・ストーン、監視役のミニいこにゃー軍団を前にして、イコナ・ユア・クックブックが報告を求めました。
「にゃっ!?」
 居眠りをしかけていたミニいこにゃーたちがあわてて目を覚まします。
「に、にゃー」
「うさー」
「すぷー」
「スプーは、ちゃんと話せるでございましょう!」
 ミニミニ軍団と一緒になって手を抜こうとするスープ・ストーンを、イコナ・ユア・クックブックがしかり飛ばしました。
「まったく、役にたたないネコうさ」
「ウサギの方がダメダメですわ!」
 ティー・ティーとイコナ・ユア・クックブックが言い合います。
「とりあえず、無事に帰ってきたと言うことは、幽霊には遭遇しなかったようだな。さっさと洞窟に進もうぜ」
「そういたしましょう」
 ティー・ティーとイコナ・ユア・クックブックは放っておこうという源鉄心に、テンク・ウラニアがうなずきました。

    ★    ★    ★

「きっと、きっと、この辺りに何か手がかりが……」
 未だに、またたび明日風に憑依できたのは、この土地の特殊性にあると信じて疑わない木曾義仲が、洞窟の中を調べながら言いました。まあ、いくら調べても、そんなことはないのですが、本人はいたって真剣です。それが解明できれば、自由にナラカと行き来できると信じています。
 死の歌声から逃げて少し戻った64番区画で、またたび明日風(木曾義仲)が洞窟の壁を調べると、宝箱が出て来ました。結局、普通に宝探しになっています。
「何が出て来たの?」
 リカイン・フェルマータが訊ねました。
「これは関係ないのだが……」
 またたび明日風(木曾義仲)が箱を開くと、中から『小ババ様百烈拳体験券』が出て来ました。
「おめでとう、ぜひ体験して。あっ、そのときは絶対明日風君に憑依してね。私に憑依したら……殺すわよ」
 笑顔で、木曾義仲を脅すリカイン・フェルマータでした。