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 小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)が合流して、ハルカ達は空京に向かった。

「折角だから、ヨシュアさんにも会って行こうよ」
と、コハクが提案して、彼等は、空京のミスドでヨシュアと待ち合わせた。
「お久しぶりです、ハルカちゃんも、元気そうで」
「ヨシュアさんも、何よりなのです」
 挨拶を交わして、ハルカはヨシュアにガトーショコラの箱を渡した。
「バレンタインなのです」
「私達からも、はい!」
 美羽も、ヨシュアにチョコを渡す。
「ありがとうございます」
 礼を言ってから、ヨシュアは少し、首を傾げた。
「バレンタインというイベントは、お礼をするんですよね」
「あ、うん。それは、来月ね。
 キャンディーとか、クッキーとか、そういう感じ。気持ちでいいんだよ」
 お礼が目的であげるんじゃないから、と美羽が説明する。
 これは、友人、そして好きな人に、気持ちを伝えるイベントなのだ。
「……えーと……実は、三倍返しというものを期待されたチョコを頂いたんですが……何を返したらいいのか、解らなくて……」
 途方にくれた表情で打ち明けるヨシュアに、美羽は盛大に吹き出した。
 そう、大人のバレンタインには、そういうものもあったのだ。
「あっ……ははは、なるほど!
 えーと、そうだなあ、アクセサリー、とか?」
「うーん、趣味が良さそうなので……僕の選ぶもので満足できるかどうか……」
「煙草を吸う人なら、珍しい銘柄を探してみるとか」
「吸っているところを見たことが無いんですが」
 コハクの提案には、喫煙家かどうか解らない、と言う。
 その他にも、美羽達は色々と案を出して行き、ヨシュアは真面目に聞きながら、参考にします、と礼を言った。

「最近は、どうですか?」
 ひとしきり、ホワイトデーの三倍返しの話題で盛り上がった後、話題を変えてコハクが訊ねると、毎日充実してます、とヨシュアは答えた。
「週休一日なんですか」
「一般的ですよ。
 地球の人達が経営している仕事なんかは、週に二日休みを出しているところもあるらしいですが、僕は今のところ、二日も休みがあっても特にやることがないし……」
「博士には、会ってる?」
 美羽も訊ねた。ええ、とヨシュアは頷く。
「時々は。
 会っても、特に、話すことがないので……気まずいとか、そういうことではないんですが、毎回同じ話しかできなくて、それで、用事が無いと行きにくいんです」
「じゃあ、私達と一緒に会いに行こうよ!」
 美羽は、そうヨシュアを誘う。
「顔を見せるだけでも、嬉しいと思います」
 コハクも言い、そうですね、とヨシュアは頷いた。




―――――――――――――――――――――――――――――― 話題なんてなくても、