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空を観ようよ

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空を観ようよ
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未来を見据える瞳

 新たな世界が誕生し、この世界の終焉は退けられた。
 人々は日常に戻っていき、或いは新たな旅へと出た。

 2024年10月。
 綺麗な、三日月の夜。
 空には雲一つなく、瞬く星々が美しく幻想的に見える夜。
 人知れぬ高台に、ミステリアスな美貌を持つ男が居た。

 オレグ・スオイル(おれぐ・すおいる)は、ただ空を観ていた。
 時間は流れ、世界は回っていく。
 生物が生まれ、果てて、また生まれて。
 季節が何度巡ろうとも、同じ時などなく。
 この星々も、長い長い時をかけて、姿をかえていく。
「燃え尽きるほどの道を歩んできた彼らは……この先、どうなるのでしょう」
 一人、呟いて。
 夜空を眺めて、星々の動きを観る。
 それから、街の星も――。
 人々の営みにで作られた、夜を彩る星。
 イルミネーションや街頭、ビルや民家の明かりという星を見下ろした。
「戦い抜いた人々にとって、今は休息の時間。安らぎの中にいます」
 彼らは、この先、どこへ向かうのだろうか。
 どのような人生を歩んでいくのだろうか。
 目を閉じて、出会った人々を。
 戦いに赴いた人々を思い浮かべる。

 戦乱の音はまだ、耳に残っている。
 目を閉じれば、鮮やかな戦いの風景が浮かび上がる。

 だが、目を開けば。
 静かな街の光だけが、そこには在る。
 空を見上げれば、美しい月と星の光だけが、広がっている。

 静かな夜に。
 虫の音さえ無い、この場所で。
 
 ひとり、静かに。

 オレグは金色の瞳で、瞬く光を見ていた。
 記憶の中の人々の姿と、彼らの未来をみつめていた。