リアクション
○ ○ ○ 「破壊するわよ!」 「その声は、伏見明子か? 捕まった人達は見つかったか!?」 エネルギー室に下りた武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)、重攻機 リュウライザー(じゅうこうき・りゅうらいざー)、マリカ・メリュジーヌ(まりか・めりゅじーぬ)は、音のする方へと向かう。 「そうよ、まだ発見は出来てない。それっぽいのが沢山あるのよね。でもきっとこのあたりに捕らえられているはず!」 「おそらくな。主砲のコントロールが出来そうな機械はあるか?」 そして、先に探索をしていた伏見 明子(ふしみ・めいこ)、グラキエス・エンドロア(ぐらきえす・えんどろあ)達と合流を果たす。 牙竜は宮殿にいるパートナーの武神 雅(たけがみ・みやび)や、屋上にいる風祭 優斗(かざまつり・ゆうと)から、剣の花嫁がエネルギー源として利用されているようだということを聞いていた。 それを簡単に説明をしながら、エネルギー室を探っていく。 捕らえられたのは、剣の花嫁と、剣の花嫁をパートナーに持つ者だけだ。 「あの部屋ね。良く解らない機械が沢山あるから、一応ぶっ壊さないように注意したわ」 明子が指差す先に、ガラス張りの区画があった。 中には沢山の機器類が並んでいる。 その中に、捕らえられた者達の場所を特定できる物があるかもしれない。 そう思い、機械室に走った牙竜達は……。 「ようこそ。あまり暴れないでほしいんだけど。弱そうなあの娘、どうなってもいいのかな?」 そんな男の声を聞いた。 声は、室内に設置されているスピーカーから流れてきているようだ。 「そうだね、君達が何か一つ破壊するごとに、空京にミサイルを撃ち込もう。 まだ、防いでいるみたいだけれど、そろそろ撃ち落としがあってもおかしくないよね」 声の人物が、ガラスの向こうに姿を現す。 黒髪にグレーの目の、さほど特徴のない小太りの男性だった。 「なるほど、アンタを倒せば、ミサイルは撃ち込まれないし、消えた人達の救出を邪魔する人もいなくなるってことね」 明子は剣をガラスに叩き下ろす。 「こっちには、ちまちま作戦を立てたり、話し合いしてる時間はないのよ!」 強化ガラスにひびが入り、ボロボロと崩れ落ちていく。 「やれやれ、可愛くないお嬢さんだね。剣の花嫁もいないようだし、残念だよ」 男はマシンガンのような武器を明子達に向けて撃ち放つ。 光の弾が飛び出して、ガラスを通過し皆にダメージを与える。 「砲弾のエネルギーを制御している部屋だな。壊すなよ」 「わかってる。出来るだけ攻撃は引き付けるから、頼むわよ」 「ああ」 牙竜と明子は小声で話すと、明子は割れたガラスの方に、牙竜はその区画の入口へと走る。 ……その最中。 牙竜は宮殿の屋上にいる優斗からのテレパシーを受け取った。 「アレナ・ミセファヌスを知ってるだろ? ここの主砲を一度でも撃ったら、彼女は始末されるそうだ」 優斗から聞いた話を、牙竜はコントロールルームにいる男に言った。 「それじゃ、1発目で目的を果たさないとね。もう照準のセットは終わってる。プログラム通りに発動するだけだよ」 男は薄い笑みを浮かべていた。 「行きな」 隠密行動をしていた静佳が、真空派で入口を破壊。 牙竜は今の話を優斗に伝えた後、部屋へと飛び込む。 「攻撃は私が防ぎます。マスター、灯様は制御を!」 リュウライザーが、盾となり、魔鎧の灯を纏った牙竜を進ませる。 『愚弟よ……惚れた女にも報告は行くだろうから、死ぬ気で行動してこい』 牙竜の頭に、宮殿にいる雅の声が響く。 彼女は他の契約者達と共に、最後まで宮殿に残る予定だ。 牙竜が愛し、大切に思っている十二星華のセイニィは既に女王と共に、避難したそうであり、居場所は誰にも知られていないという。 『むしろ、死んでこい!』 そんな雅の強い励ましに、「ああ」と答えて、牙竜は機器に向かっていく。 「ヒーローがいた不幸を嘆け!」 男に一言そう言った後、コンピューターに手を伸ばす。 「ここは立ち入り禁止なんだけどねぇ」 男は、光条兵器を乱射し、契約者達を傷つける。 「マスターには当てさせません」 リュウライザーが牙竜を庇う。 「あー、光条兵器でもあれば、思い切りぶっ放せるのに」 機器類を壊さない為に、明子は思い切った攻撃が出来ない。 「マスター、しっかり、しっかりー。剣の花嫁の武器を使うのは危険かもですよ」 六韜は、男の攻撃で傷ついていく明子と魔鎧として明子に纏われているレヴィをリカバリで回復。 「まあ、力を利用されちゃいそうだものね!」 「つっこんで構わねえよ。行くぞ!」 「うん、殴るしかないわよね」 レヴィにそう答えて、明子は武器を降り回し、ガラスを破壊しながら、防御を捨てて男に飛び掛かっていく。 「やれやれ、話の通じる相手ではなさそうだね」 光の弾丸を周囲にまき散らしていた男は、明子の一撃を受けた後、奥のドアから外へ飛び出した。 「く……っ」 男の事も気になるが、今は捕らえられた者の救助と、砲撃を止めることが優先だ。 先端テクノロジー、機晶技術の知識を用いて、牙竜は端末操作を試みる。 「まずは緊急停止の方法を探し出してください。発射は操縦室で行うにしても、緊急時用にエネルギー供給を停止する方法はこちらにもあるはずです」 灯が牙竜にそう言った。 現代の知識で理解が出来る仕組みではないが、緊急停止の方法くらいはそう違わないはずだ。 「これか!?」 レバーを操作し、稼働している装置を切ってみる。 モニターに炉の画面が映し出されて、停止と思われる画面が現れる。 「動いている炉は一つではありません。全部切ってください」 「わかってる」 灯にそう答えて、慎重にかつ迅速に牙竜は停止レバーを下していく。 |
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