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ユールの祭日

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ユールの祭日
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●●● まぼろしの邪馬台国

ついでこの場に立ったのは、親魏倭王 卑弥呼(しんぎわおう・ひみこ)董卓 仲穎(とうたく・ちゅうえい)である。

卑弥呼についての記録は「魏志倭人伝」にある。
つまり三国志とほぼ同じ時代の人なのだ。

さて卑弥呼は『鬼道』を得意としたといわれているが、この『鬼道』には諸説ある。
この卑弥呼は果たしていかなる鬼道を用いるのか!?

対するは三国志における最大の悪漢のひとり、董卓 仲穎(とうたく・ちゅうえい)
いまではすっかりデブキャラとなってしまっているが……

しかし今日の董卓はまるで別人のごときである。
並々ならぬ覇気がその全身に満ちているのだ。
そもそも最盛期の彼は、三国志の名だたる英雄が一丸となって戦わねばならなかったほどの怪物であった。
武勇に優れ、多数の人材を惹き付け、既存の権威におもねない。
そういう怪物である。

巨大な騎馬に乗った董卓は、腰に刀を差し、弓矢を手にしている。
この董卓を見て、関羽はううむと唸った。
なぜならば、董卓の馬は関羽と同じく赤兎馬であったからである。
さらに見る人が見れば、その腰の刀は中国史上最強とも謳われる西楚の覇王、項羽のものであるとわかっただろう。

しかし卑弥呼には恐るべき秘策があった!

卑弥呼は目を閉じてうつむき、急に奇声を発しはじめる。
「オオォォ……オオオォォォ……
 とぉう……たぁくぅ……!!」

この声を聞いて、董卓の顔に驚愕の色が浮かぶ。
「その声、まさか呂布か!」

卑弥呼は鬼道によって死者の霊を降ろしていたのだ。
これによって対戦相手より強力な英霊の力を借りるという、恐ろしい戦法である!

「くっ、この不孝息子めが!」
董卓はあっさりと状況を受け入れることで最初の危機を脱する。
赤兎馬に乗ったまま、彼は弓を器用に扱って矢を放つ。

卑弥呼は手に持っていた闇のスクラップ帳を刀のように振るうと、矢を一刀両断。
そのまま返す刀で董卓に斬りつけると、彼は赤兎馬から転げ落ちた。
董卓の赤兎馬は呂布の気を悟って、鼻を卑弥呼にすり寄せる。

あまりにあっけないたたかいに、皆は呆然と見守ることしかできない。

「くっ、二度までも不忠の息子に刺されようとは!
 どうにでもするといい!」
「それじゃデートしてください!」
「なんだか知らんがとにかく良し!」

そういうことになった。


「よくわからないけど仲いいのねあの二人。
 あ、お弁当ちょうだい!」
「へい毎度」
珠代は弁当を売っていた弁天屋 菊(べんてんや・きく)を捕まえて、幕の内とお茶を買った。