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リアクション
百合園男の娘教室
十嬢侍リーダー、アルバ・フレスカ(あるば・ふれすか)の主催する、
百合園男の娘教室。
想詠 夢悠(おもなが・ゆめちか)は、
女性の衣服と、ヒミツの補正下着、化粧によって女装していた。
カバンの中には、繰り返し読んでボロボロになった
『男の娘になろう!』が入っている。
「今日は、それぞれのノウハウを共有して、
より、男の娘として高め合うことを目的としています。
これから順番に、それぞれの参加者のお話を聞かせていただければと思います」
「はい!」
夢悠が、勢いよく手を上げた。
「では、夢悠さん。お願いします」
「うん、じゃあ、オレが男の娘になり始めたころの話をするよ。
オレは最初、大好きな女性を守るために男の娘になり始めたんだけど、
次第に女友達の代わりとして彼女の孤独を癒してるみたいだと知って、
男の娘になる事に自信を持ったんだ」
【雅羅の百合友達】と称される夢悠は、
雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)を愛するがため、
男の娘として生きるようになったのである。
「最近は、男の娘になる事で誰かを助けたり楽しませられるかもしれないと思って、
男の娘アイドルも目指してて。
今日は更に男の娘として完璧に近づこうと思って来たんだよ!
宜しくお願いします!」
「なるほど」
アルバ・フレスカが、夢悠の全身をくまなく見る。
「基本に忠実かつ、素材の良さを引き出すことで、
女装に成功していますね」
教室からどよめきが上がる。
アルバ・フレスカから褒められたのだ。
「ありがとう」
「ところで、素材の点ですが」
アルバ・フレスカが続ける。
「どうやら、現在は『下着』を使っているようですが」
(なぜそれを!?)
スカートの上から見破ったアルバ・フレスカに、夢悠が戦慄する。
「宦官になるつもりはありませんか?」
「え、遠慮しておきます……」
さわやかな笑顔で言ったアルバ・フレスカに、夢悠は全力で拒否した。
「残念ですね」
講義のノートを取り、
男の娘仲間をデジタルビデオカメラやデジカメで撮影するうち、
夢悠はその場の雰囲気に、妙な気分になってくる。
(ああいやいや! 友達! そう、男の娘友達が出来たら良いな! うん!)
「はいはい! 先生質問!」
気持ちを払拭するためにも、夢悠は質問する。
今日持ってきた【桃幻水】は簡単に自分の外見を女性に変えられるものだけど、
男の娘としてはこれの使用をどう思いますか?
オレは便利なんで結構使ってます……てへへ」
「男の娘として自分の美しさを磨くためには、なんでも利用すべきですね。
特に、外見を女性に簡単に変えられれば、
そのぶん、お化粧やお洋服などに力を入れることができます。
よいのではないでしょうか」
アルバ・フレスカが評価する。
夢悠は、桃幻水の効果を見せるために、
実際にその場で飲んで見せた。
「わーすごーい」
皆に見られたり触られたり、囲まれているうちに、
夢悠はますます妙な気分になっていく。
こうして、男の娘の深い世界へと潜っていく夢悠であった。