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【マスター合同シナリオ】百合園女学院合同学園祭!

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【マスター合同シナリオ】百合園女学院合同学園祭!
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パトロールだよっ!

 青色の髪の少女が、目を輝かせながら駆けてくる。
「ゼーさーん!」
「本日、ななな隊長の補佐をさせて頂きます宇宙刑事見習いのシャウラです」
 彼女の前に立ち、敬礼をしたのはシャウラ・エピゼシー(しゃうら・えぴぜしー)だ。
「うむ、よろしく頼むよ、シャー少佐候補。名前に恥じず、人の三ばい、そうご飯は三杯平らげるようにね!」
「三杯かー。隊長命令なら、頑張らないとな!」
「うん」
 笑い合い、シャウラと金元 ななな(かねもと・ななな)は百合園の校門をくぐって、賑わう校内へと入っていく。
(今日はなななと二人きり。つまりデートだ。デートなんだが……これって試練だよな)
 校舎内に入って、シャウラは気付く。
 他校生も出し物が出せるとはいえ、当然、百合園生が中心となり出し物の運営や、案内、呼び込みをしているのだ。
(深窓の令嬢や才色兼備な女性達が男性と会う機会もろくにもてずに過ごす学び舎。……その狭い世界の扉を開いてエスコートしたくなるのが普通の男だ)
 更にシャウラは女の子が好きで、つい目を向けてしまう体質……というか癖がある。
(心に棚を作って、そんな気持ちを忘れることが俺の今日の課題だな)
「パンフレットどうぞ。もうすぐ学園祭応戦ダンスが始まります。見に来てくださいね!」
 チアガールの衣装をまとった少女に、パンフレットを渡されたシャウラは笑顔で受け取るも、声をかけたりはせず、平常心を装う。
「ダンスもいいけど、その前に毒見をしないとね!」
 なななは食べ物屋に興味を示していた。
「それじゃ、食いもの店からパトロールするか」
「うん、それじゃあそこにしよう!」
 なななが選んだのは、駄菓子が売られている店だった。
「おっ、なななは駄菓子、好きなのか?」
「うん、駄菓子も好きだよ! それに、ああいう店には子供が沢山あつまるからね。宇宙怪人から守らないとね!」
「そうだな、っと、迷子か?」
 駄菓子を持った子供が、泣きそうな顔で周囲を見回している。シャウラとなななは子供の元に急行する。
「母ちゃんと逸れたのか? 大丈夫だぞ」
 シャウラが抱き上げて、なななが、
「お母さんどこですかー! 宇宙に連れていかれちゃうよー!」
 と、声を上げるとすぐに、近くいた母親が気付いて駆けてきた。
 そうして子供は泣き出す前に無事、母の元に帰っていった。
「事件未然に防げたなー。で、あの子が持ってたこれ、美味そうだよな」
 シャウラは駄菓子屋で購入した棒つきキャンディーをなななに差し出した。
「うん、美味しそ〜。ゼーさんはこっちね!」
 代わりに、なななはシャウラに笛ラムネを購入して渡した。
「事件があった時には、これで連絡するんだよ!」
「ラジャー、うっかり噛まないようにしないとな」
 ななながキャンディをなめだし、「美味しい!」と、笑顔を浮かべる。
 貰ったラムネを一つ口に入れながらシャウラは気付く。
(あ、なんだ。こうすればいいんだ)
 なななだけを見ていればいい、と。
 周囲にあふれている素敵な女性を意識しないようにと、挙動不審気味だったシャウラだけれど。
 そんなことは考えず。
 ただ、思うままに――。
 見て居たい娘を、気になるこの娘だけを見ていればいいんだと。
 ふっと笑みを浮かべて、シャウラは言う。
「んじゃ次は『猫&うさぎガーデン』とかどうかな?」
「……!」
 なななのアンテナがピコーンと伸びた気がした。
「行く! ななな達はそこに行かなければならないっ。宇宙生物が最も紛れ込んでいそうな場所だからねっ! 触って、撫でて、むぎゅーして、確認しよう!」
 ぐいっと、ななながシャウラの腕を引っ張る。
「そうそう、思う存分確認しような」
 猫と兎と戯れるなななを想像し、シャウラの顔に笑みが浮かんでいく。
 彼女は意識していないようだけれど……引っ張られていることが、妙にくすぐったくて嬉しくて。
 シャウラの心の目にはもう彼女以外のどんな美女も映らなかった。