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【2022クリスマス】聖なる時に

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【2022クリスマス】聖なる時に
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リアクション

 会場に入ったシャウラ・エピゼシー(しゃうら・えぴぜしー)は、思わず「ヒューッ」と口笛を吹いた。
「有名人だらけだぜ」
 彼は、ネットオークションで招待券を2枚落札して、思いの人である金元 ななな(かねもと・ななな)と共に、訪れていた。
 ダンスの時間前に、なななは着替える為に更衣室に向かって行き、なかなか戻って来ない。
 シャウラはタキシード姿でなななを待っている。
「やっべえ、俺達もしかして場違い系!?」
 改めて会場に訪れている人々を見ると、なんだか自分は場違いじゃないかとも思えてくる。
(ちゃんとした正装で来たし浮いちゃいないと思うけどさ)
「ゼーさんお待たせ!」
 突然、バシーンと背中が叩かれる。
「更衣室混んでたから、ちょっと時間かかっちゃった。ごめんね」
 そう言って微笑んだのは、なななだ。
「……ゼーさん? もしかして怒ってる?」
 反応のないシャウラに、なななが首を傾げて尋ねた。
「あ、いや、そんなことはない。全くない……ちょっと、ぼーっとしてて」
 ははははと、シャウラは顔を赤らめて笑う。
 なななはハイネックの青色のダンスドレスを纏っていた。
 普段よりずっと大人びて見え、綺麗、だった。
 何時もと違う雰囲気の彼女に、シャウラは見惚れてしまっていて、しばらく言葉が出なかったのだ。
「どーしたの? 顔赤いけど、もしかして風邪?」
「いや、暖房効きすぎかな。なんか暑くね?」
「そーかな。なななはちょうどいいよー。でもダンスをしたら暑くなっちゃうかな?」
「じゃ、ダンスが終わったら冷たい物飲もうぜ」
 言ってから、シャウラはなななに手を差し出した。
「一曲いかがですか」
 そして、殊更に畏まってなななの手を取る。
「喜んで」
 なななは笑みを見せる。
 それは電波を感じない、上品ささえも感じられる笑みだった。
「そうこなくっちゃ」
 シャウラはなななをダンススペースに誘って、ワルツを踊る。
 ダンスを行う機会が結構あることと、教導団でも習っていることから、2人は違和感のないステップで、ダンスを楽しんでいく。

「うん、暑くなってきたね。ゼーさんはもう限界でしょ?」
「ん? そうだな、席に戻るか」
 なななが汗ばんでいる事に気づいて、数曲踊った後に、シャウラは彼女とテーブルに戻ることにした。
 そして、冷たいジュースを飲んで、踊る人々をなななと共に眺めていた。
 ……シャウラは人々より、主になななを見ていたけれど。
「ななな、これ。君に」
 シャウラはポケットから取り出したものを、なななに差し出した。
「なに? 開けてもいい?」
「ああ」
「よし、開封〜」
 包装紙の中から出てきたのは、小さなペンダントだった。なななの星座である天秤座をモチーフにしたもので、メインストーンは、彼女の髪の色と同じ紺碧色のサファイアだ。
「ん……? なんか高そうだよ、これ」
「今日のお礼。メリークリスマス、ななな」
 そうシャウラが微笑んで言うと。
「うん、メリークリスマス、ゼーさん! はいっ」
 なななはバッグの中から取り出した、袋をシャウラに渡した。
 クリスマスのお菓子の詰め合わせだ。
「友達と作ったのも入ってるんだよ。あ、今度、ゼーさんも一緒に作ろうね!」
「……あ、うん。サンキュー、ななな……つぅー今日は最高だぜ!」
 プレゼントをもらえるなんて考えてもいなかったシャウラは、一瞬呆けた後、拳を握りしめた喜ぶ。
「さて」
 なななは貰ったばかりのペンダントを首にかけて。
「似合う?」
 シャウラに問いかけてきた。
「似合う、うん、似合うぜ」
 そう答えると、彼女はとても嬉しそうに。
「大切にするねっ」
 と、今日一番の笑顔で言ったのだった。

 〜なななからお礼のお手紙〜