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第4章 どうしてこうなった!? ラリアットでづばーん

如月 和馬(きさらぎ・かずま)は、
最近、百合園からパラ実にやってきた、
高原 瀬蓮(たかはら・せれん)に、
パラ実の「常識」を教え込もうとしていた。

「パラ実ではこれが普通なんだね。
すごいなあ」
瀬蓮は、パラ実のヒャッハーたちが着ていそうな、
パンクバンド風の格好に変身していた。
パラ実になじむためには、まず外見からと、
和馬の説得で仮装していたのである。

タトゥーシールを全身に貼り、
長い髪を逆立て額には「愛死帝流」の四文字が入っている。
バイクにまたがり、お菓子の葉巻をくわえ、
レザーのジャケットを着た瀬蓮は、
もはや、知り合いでも瀬蓮とわからないようなレベルの変身であった。
なお、和馬の趣味で、胸も巨乳になっている。

「これで、誰が見ても四天王に見えるな」
「ほんとに?」
和馬の言葉に、瀬蓮は無邪気に喜んでいた。

一方、和馬は、瀬蓮と引き合わせ、仲良くさせようと、
横山 ミツエ(よこやま・みつえ)を誘っていたのだが。

『悪いけど、あたし、今、いそがしいの!
あと少しで中原を統一できそうなのよ!
主要な武将も全員、配下にしたしね。
え? 何って、シミュレーションゲームの話に決まってるでしょ!』

というようなメールが届いていた。

「ミツエ……こんなだから、友達少ないんだよ」
和馬がつぶやいた。
ミツエに瀬蓮が仲の良い友達になってくれれば、
暴走が抑えられて、大荒野の安定や平和にもつながるのではと思っていた、和馬だが。
(まさか、ミツエの弱みを握るという計画がバレたんじゃないだろうな)

「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
和馬は気持ちを切り替えて、瀬蓮と親しくなることを考えることにする。

「いいか、パラ実では、料理ひとつとっても自給自足が基本!
狩りや釣りで取ってくるのが当然だ。
だからこそ、ここでも弱肉強食の掟が存在する!」
和馬は、テーブルから手づかみで料理をむさぼり食いながら言った。
「そして、キマクには食堂兼酒場のような場所があるが、
そこで『ミルク』を注文するということは、
『強敵(と書いて友と呼ぶ)募集中』という意味があるんだ」
「へえ、すごいんだね!」





そのころ、
紫月 唯斗(しづき・ゆいと)は、
ハイナが忙しくて来られないため、葦原 房姫(あしはらの・ふさひめ)を代わりにエスコートしていた。
「ハロウィンパーティー、
地球の西洋のお祭りと聞いていましたが、
新鮮で楽しいものですね」
房姫が、笑みを浮かべる。
「そうですか、それはよかったです」
「あ、あの食べ物はなんですか?」
「あのお菓子がほしいんですね、今取ってきます!」
唯斗は、カボチャのお菓子を房姫に手渡した。
「まあ、甘くて、おいしいです」
「喜んでもらえてよかったです」
そんな風に、
忍者として、完璧に房姫のエスコートをこなす、唯斗だったが。

「む、あれは、モヒカン!?
どうしてこんなところに!?
さては、VIPをカツアゲして、ヒャッハーするつもりだな!?」
唯斗は、パラ実のモヒカンらしき人物を発見していた。
「あの、房姫こちらをどうぞ!
ハロウィンにちなんだパンプキンキャンディーだそうで!」
「ありがとうございます。
わあ、これもおいしい……」
唯斗は、房姫の気を逸らしているうちに、
モヒカンに踊りかかった。

「モヒカンは速攻でぶっ飛ばす!
房姫に何かあったら大変だからな!」

しかし、そのモヒカンは、
パラ実生にコスプレした瀬蓮であった。

「あれ、ミルクを注文してないのに、
もう、強敵(友)がきたの?」
ぽややんと言う瀬蓮だが。

「うおおおおおおおおおおおお、モヒカン、成敗ー!」
「ちょ、やめろ、
もしものことがあったらアイリスに殺される!」
和馬は全力で瀬蓮を守ろうと、唯斗の前に立ちふさがる。
「邪魔するな!
房姫は俺が守る!」

会場は元々大騒ぎだったが、
唯斗と和馬のガチバトルのせいで、さらに大騒ぎになってしまった。

房姫は、唯斗が気を逸らしたかいあって、気づいてなかったのだが。