リアクション
間章 闇の中で
「あぁぁぁぁぁもうっ! やっぱ無理、全然ダメダメ〜!?」
漆黒の闇の中、少女はわめいた。
「補強にしては随分と念入りに作ってくれちゃってさ」
ぴったりと閉められた扉を前に、地団駄を踏む。
「……集められた力も少ないし、全く持って計算外だわ」
手の平の上に現れた、黒い塊。それを取り込みながら、「でも」と少女は微笑んだ。
「まぁ完全に閉まったわけじゃないし、まだ手はあるわ。御柱も甘いっていうか抜けてるっていうか」
声はただ闇に呑まれ消えていく。
「勿論、あたしにとっては好都合だけどね」
しかし少女は独り言を繰り続けた。
そうしないと、自分が喋れる事を忘れてしまいそうで。自分が存在している事を、忘れてしまいそうで。
「……それにしても外ってやっぱ『■しそう』よね」
微かにだけど感じ取れた、あの空気。胸の奥がギュッとなるような、あの。
「でもアレは何だったのかしら……?」
『災厄として生まれ、ただ悪として語られるのはどれだけ辛いことでしょう』
何だったのだろう、あれは。あの羅列の何が自分をあれほど動揺させたのか。
「まぁいいわ、今は次の手を考えましょう」
闇・闇・闇。それ以外をほとんど目にした事がない自分が求めてやまないもの。
「ガンバレあたし! 負けるなあたし! 今度こそ自由、ゲットだよ!」
気合を入れてから、少女は黒い塊から、闇と炎を産み出した。
「さぁ行って。隙間をぬって、外へ。そして、集めて。不審不快不安嘆き哀しみ絶望……あたしの力になる、ものを」
力を振り絞り災厄を外へと送りながら、少女はじっと扉を見つめ、呟いた。
「あたしは諦めない。絶対ぜったい外に……ここから出るんだから」
この度はキャンペーンシナリオに参加していただき、ありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
では次回、またお会いできる事を祈っています。