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嘆きの邂逅~闇組織編~(第5回/全6回)

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嘆きの邂逅~闇組織編~(第5回/全6回)

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第6章 成果

「ライナちゃん、だいじょうぶだよ、みんながやっつけてくれるもん!」
 サリス・ペラレア(さりす・ぺられあ)は、神楽崎分校で、ライナ・クラッキル(らいな・くらっきる)と一緒に皆の帰りを待っていた。
 サリスは研究所に向った班の、班長であるヴァーナーのパートナーで、ライナは白百合団長の鈴子のパートナーだ。
 ヴァーナーとも鈴子とも連絡が取れるので、ここにいた方が迷惑もかけず役に立つだろうということになった。
 だけど、時々分校生にバイクに乗せてもらって、研究所の皆の精神力を回復させたりしにいくこともあった。
「そうだね。はやくかえってこないかな……あそこ、こわいもんね……」
「こわいよね。やなにおいもしたもんね」
 ライナとサリスは研究所の中を思い出す。
 2人には難しくてどんな研究なのかもよくわかってなかった。
 だけれど、何かいけないものを作っていることはサリスも理解していたし、ライナも襲ってきたことから、悪い人達のいる場所だと認識していた。
「終わったら皆で美味しいお菓子やお茶を楽しみましょうね」
 戦闘能力がほぼ無いため、ここで負傷者の治療と連絡係を担当しているがそう子供達に声をかけた。
 軽傷を負った者や精神力を切らしたものが自分の足で休憩と治療に訪れるくらいで、状況は決して悪くはなかった。
「はあい」
「うん」
 2人は笑顔を見せて頷く。
「みんなが、いたいことされてませんように……」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ!」
 サリスは言った後、歌を歌い始める。
 ライナも笑みを見せて、一緒に歌い始めた。

 ナガンは所長の代わりに捕らえた研究員を、黎明と舎弟達の元に投げ出した。
「これは所長室に残っていた書類だ。こっちは所内の写真データだ」
 書類とカードを黎明に渡す。
「所長の言葉は大げさだったようですね。数万はいないようです」
 キメラの数も随分と減った。
「とはいえ、随分飛び立った後だしな。止め方でも教えてもらおうか」
 ナガンは研究員に冷笑しながら銃を突きつけた。
「ち、血の契約がなされた相手に従うようになってる! 全てのキメラを統率できるのは、所長とヒグザさんと、専用のアイテムを持った者だけだ、俺は持ってない。ありかも知らない」
 怯えながら、キメラ研究に携わっていた男はそう答えた。

 ナガンにより、研究所に火が放たれた。
「ヒャッハァ〜所長を出せよ、どこに隠してやがるんだァ〜?」
「きゃーっ」
 も火炎放射器で炎を放って退路を防ぎ……相変わらず、女性研究員を追って組み敷いて、吐かせようとしていた。
 ニニから避難経路などはバッチリ聞いているので、絶対逃しはしない。
 信長に怒られたので捕縛はしない。その分現場で色々研究させてもらうつもりだ。
「ヒャッハァ〜知ってるかァ〜? 最近パラ実ではパンツが大流行なんだぜ」
 スカートの下に手を伸ばす。
「やめてやめてやめてやめてやめて!」
 ドス、ガス、ゴス、ゲス
 女性研究員が鮪の急所とか急所をどつき、蹴り上げていく。
「ぐふっ、威勢のいい姉ちゃんだぜ。俺の研究させてやるぜ、俺とキメラになろうぜ〜」
「奴だけは殺せ」
「始末よ始末」
「この、ゴキブリ男がー!」
 いやらしく鮪が指を動かした鮪の背に、女性研究員の怒りの一斉射撃が浴びせられた。

「制御出来ぬのであればおぬしらも自滅するだけであろう」
 鮪が大ピンチに陥りつつも、どの娘から悪戯をするか迷っている頃。信長は自ら出向いて捕縛したキメラ製造者に、制御法を聞き出そうと尋問をしていた。
「なーに小娘共に付けと言うのではない、チンケな表に出れぬかび臭い三流組織の下日陰者として生きるか、それともこの乱世に覇を唱える道へ駒が一つとして来るかと言う事だ」
「知らん」
 男が顔を背ける。
 そうかと信長は言った後、刃物を取り出した。
「この身に弓引く輩に容赦する気は無いのでな、まずは指からかね」
「ほ、本当に知らんのだ。僕はキメラの製造が好きだが、作った後のことに興味はない」
 嘘は言っていないみたいだ。
 それでも信長は男の腕を掴んで、指に刃物を当てる。
「うわあああっ、知らんが、取引先にはキメラ寄せ、キメラ避けの電波発生装置があるはずだー!」
「それは持ち運びは出来るものか?」
「出来る! 解放してくれたら、取引先の場所を教えてやらんでもないぞ」
 取引先の場所を吐いたのなら指は1本残すなどと、逆に取引を持ちかけていき、信長は男の知っている取引先を数箇所聞き出すことに成功したのだった。

「これで終わりなの」
 クレシダは、バフバフを走らせながら、振り向いて、キメラの足を撃っていく。
「おいたはメーなのよ」
「余所見は危険ですわ!」
 途端、セツカの声が飛んだ。
 窓からクレシダを狙っている男がいた。
「危ないです!」
 ヴァーナーが飛び出して、盾で男の銃撃を防いだ。
 クレシダはバフバフを走らせて、その男の手を討ち抜く。
「ありがと、ヴァーナー」
「れんけいです」
 微笑み合う幼い少女の顔に、セツカはほっと息をつく。
「行きます」
 ユニコルノが研究所に向けて、則天去私を放つ。
 暴れまわっているキメラ、最後までこちらを狙っていた警備兵達に大きなダメージを与える。
「あとはパラ実の人にまかせて、離れるです!」
「はい」
 ヴァーナーの命令に、白百合団員と協力者達は返事をすると、崩れた門から外へと飛び出していった。

「ヴァイシャリーに連れていくのか?」
 捕縛した者達を前に、呼雪がヴァーナーに尋ねる。
「そうです。馬車で行くです」
 ヴァーナーがサリス、ライナを通じて、鈴子に連絡を入れたところ、捕らえた人物は可能であればヴァイシャリーに連れてくるようにと返事があった。
「組織とかんけいのある研究所ですけど、セツカちゃんがききだした話では、組織のひとばかりじゃないみたいです。気をつけて連れていくです」
「わかった。俺もヴァイシャリーまでつきあおう」
 呼雪はそう言い、一緒に馬車に乗り込んで捕らえた人物と写真や資料をヴァイシャリーに護送するのだった。

 その後、研究所はパラ実生が放った火により焼け落ちていった。
 川から船でヴァイシャリーに送られてしまったキメラもいるが、分校生や多くの者達が協力してくれたお陰で、ヴァイシャリーに飛び立ったキメラのうち、半数以上は打ち落とせたようだった。

担当マスターより

▼担当マスター

川岸満里亜

▼マスターコメント

ご参加ありがとうございました。
諸事情により今回は離宮編ともども全ての個別コメントを控えさせていただきます。
貴重なアクション欄を割いての私信等、ありがとうございます。お返事が出来なく申し訳ありません。最終回は全員につけられるよう努力いたします。

離宮編よりはダブルアクション判定緩い闇組織編ではありますが、今回、かなりの多重行動になってしまっている方が沢山いました。
抑えていただけますと幸いです。

【ご連絡等】
※白百合団への所属を希望された方に、称号を発行いたしました。

※最終回は7月下旬にシナリオガイド公開予定です。
タイトルは【嘆きの邂逅(最終回/全6回)】です。
定員100人1本で行いますので、お間違えのないようご参加いただければ幸いです。

最後もどうかどうか、お力をお貸しください!

▼マスター個別コメント