リアクション
「本当はどんな意図で、混浴などと言ったのか……」 〇 〇 〇 「人数的には大量に欲しいところだから、巨獣がいればありがたいんだが……」 ウィング・ヴォルフリート(うぃんぐ・う゛ぉるふりーと)は、魔鎧のルータリア・エランドクレイブ(るーたりあ・えらんどくれいぶ)を纏い、ファティ・クラーヴィス(ふぁてぃ・くらーう゛ぃす)と共に、レッサーワイバーンに乗って、辺りを見回していた。 シャンバラ大荒野にいるといわれている巨獣がこの辺りにもいないかと思ったが、今のところ特別大きな獣は見かけていない。 「となると、数を狩るしかないか」 自分達だけの分と考えても、ワイバーンに食べさせる肉も欲しいから。 「ウィング、猪の群れだ」 ルータリアが、泉の傍に猪の姿を発見する。 「10頭くらいか。全ていただこう」 即座に接近し、付近でウィングとファティはワイバーンから飛び降りる。 そして、別の方向から猪に近づく。 「意外と大きい」 体格が良く、体重はファティの2倍は軽く超えていると思われる。 ウィングは泉の西側、ファティは東側、ワイバーンが北側から猪へと接近する。 仕掛けるより早く、猪達は人間の匂いに気付き、その場を離れようとする。 「逃がすなよ」 言った途端、ウィングはアウタナの戦輪を2つ、猪に投げつける。 直撃を受けた猪が2頭、その場に倒れた。 落ちるチャクラムの軌道を、ウィングはサイコキネシスで変える。 自分自身は光条兵器を手に、群れに駆け込んで、猪を斬り倒していく。 「右前方、逃走する猪2頭!」 ルータリアが声を上げる。 「お任せ下さい!」 ファティが矢を放って、猪の足を傷つけ、倒す。 もう1匹の前には、ワイバーンが飛び出す。猪が進路を変えようとしたところにウィングが飛び込んで、背を光条兵器で斬り割いた。 軌道を変えたチャクラムも、更に2頭の猪にダメージを与る。 「逃がしませんわ」 ファティはサンダーブラストを放ち、逃げようとする猪の行く手を阻む。 こちらに向かってくる猪は、まず目を射抜き、続いて急所を狙って仕留める。 「あと2頭……っ」 ウィングは更に、チャクラムを操り、猪を打った後。 光条兵器で次々に止めを刺していく。 「……運ぶのが大変そうだ。応援を呼ぶかの」 ルータリアが、倒れた猪12頭を見てそう言った。 「そうだな。しかし、これだけあれば、しばらく肉には困らないが」 「猪だけでは飽きそうですよね」 ウィングとファティは武器を下ろしながら軽く笑いあう。 それから、可能なだけワイバーンの身体に猪を乗せていく。 自分達は歩いて一旦合宿所に戻り、応援を呼んだのだった。 〇 〇 〇 「雲海では雲魚が釣れたけど、ここではどうかな?」 「肉体労働は好かんのじゃが、釣りは別じゃの。面白かったしのう」 レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)は、ミア・マハ(みあ・まは)と一緒に、川に釣りに来ていた。 「ミアとどっちが多く釣れるか競争だよ! 少なかった方が合宿所までの荷物持ちだからね」 「良い度胸じゃ。前回妾の方が大物を釣ったのを忘れたのかえ?」 「ここには大物はいなそうだから、数で勝負だね!」 Tシャツに迷彩柄のレギンスといった格好のレキは、膝までレギンスを捲くると、迷わず川の中へと入った。 「女の子は足を冷やしたらいかんのじゃぞ〜。妾はここからのんびり楽しませてもらおうかの」 ミアはちょうど良い大きさの岩を見つけると、腰掛けて、川の中に釣り糸を垂らしていく。 「慣れれば冷たいのなんて平気平気〜」 レキは疑似餌をつけた糸を、魚が見えた場所へ垂らして動かしていく。まるで本物の小魚が動いているかのように。 「……おおっ!?」 かなり早いタイミングで、レキの疑似餌に魚が食いついてきた。 「なんじゃ、もうか? 負けてられんの」 ミアも意気込んでいくが、意気込んでも魚は寄ってはこない。 「やった!」 魚の動きを見ながら、上手く竿を動かし手繰り寄せ、レキは見事1匹目を釣り上げた。 「ちっちゃいのう」 「普通の川魚はこれくらいだよ! 1匹目げっと〜」 微笑みながら、レキはバケツの中に、釣った魚を入れていく。 「沢山釣れてるか〜?」 声をかけられて、レキとミアは声の主の方に顔を向けた。 責任者のゼスタと、百合園の生徒達、リーア・エルレンの姿があった。 「あっ、こんにちは」 「副団長のパートナーじゃな」 レキは一旦川から上がり、ミアも腰を上げる。 「白百合団員のレキ・フォートアウフです。よろしくお願いします」 「レキのパートナーのミア・マハじゃ」 レキは笑顔で挨拶をし、頭を下げる。 ミアはじろじろゼスタを見てしまう。堅物っぽい副団長とは対照的な男だなあと。 「うん、よろしく。白百合団員といったら、俺の護衛隊のようなものだしなあ」 手を伸ばして、ゼスタはレキの頭を撫でた。 「……んん?」 レキはちょっとそれは違うんじゃないかと思うが、優子のパートナーで要人なら、守るべき対象なのかな? とも思う。 「それじゃ、俺達はスイーツ探しに行ってくるなー。こっちは頼んだぞ」 「はーい。皆も気をつけて」 「わかったのじゃ」 ゼスタは見事に女の子だけを連れていた。 とはいえ、皆彼に興味があるわけではなさそうだったけれど。 「それじゃ、競争再開! 負けないよー」 「こっちのセリフじゃ。っと、ひいとる、ひいとるぞー!」 皆の背を見送った後、レキとミアは釣りを再開する。直後に、ミアの釣竿に反応があった。 |
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