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第四師団 コンロン出兵篇(第1回)

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第四師団 コンロン出兵篇(第1回)

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 さて、さらわれた第四師団・師団長の騎凛セイカ(きりん・せいか)先生は……
「おい騎凛先生。起きろ」パンツを被った不良が言い放った。(※シナリオガイド部分を改稿し組み込んでいます。)
「はっ、ぁぁ」いきなり縛られて登場の、騎凛セイカ。「え。まだ、夜じゃないですか……?」
「もう昼だ。これがコンロンなんだ!」
「コン、ロン、……そうだ私は皆と遠征に……来ていた筈……何で?」
 しかし、彼女は自分が率いていなければならない筈の本隊とはまったく離れて、パンツの不良に縛られ抱えられ遠くまでさらわれてきてしまっていたのだった。
「あ、それ私のパンツ……」
「なめんじゃねぇ!」不良の隣を歩くなめねこ猫井 又吉(ねこい・またきち)が、木刀を騎凛に突きつける。反対側にはちょっと不憫そうな顔の優しげな女性が、しかし巨大な斧槍を掲げ、ゆっくり歩いている。シーリル・ハーマン(しーりる・はーまん)だ。共に、国頭武尊のパートナーである。
「武尊さん、もう下ろしてあげては……」
 パンツを被った不良。勿論、彼が国頭武尊(くにがみ・たける)である。
「こまけぇこたぁいいんだよ!! オレと第四師団の因縁だ。付き合って貰うぜ。お、とりあえずあの灯かりまで歩くか。そろそろ、飯にしねえと! それに道も尋ねないとどうもこないだとは様子が……むっ」
 彼らを取り囲む、暗闇のなかに黒くぼんやりぼやけた集団。
「何だ。幽霊か?」国頭が一蹴するとまっ白い骸骨が周囲に飛び散る。
「……ちっ。これが、コンロン、か。
 何だか、様子が変わってやがるな。ドージェの寺院は確か、この辺りじゃなかったか」
 国頭ら一行は、廃都群の中を進んでいた。
「武尊さん、待ってくだせえよ」
 国境の戦いであらかたの手下や蛮族は教導団に討たれるか捕虜となり、ついてきているのはパートナーの他には一人のヒャッハーだけだ。
「は、はなしてよぉ」
 ヒャッハーは、もう一人の捕虜をとっていた。
「ぐへへ、手柄だぜぇ。武尊さんはきりんてんてーを捕えた。おいらはこいつを捕えた。ぐへへー武尊さんに次ぐ手柄だぜぁー?!」
 騎凛と同じく(?)猿轡にぱんつ(はいてない)姿でかかえられたプリモ・リボルテック(ぷりも・りぼるてっく)であった。
 国頭が振り向く。
「いつの間に連れてきた?
 そいつは、オレが、見逃したんじゃなかったのか! 騎凛は見た目はこんなのだが捕まえても犯罪にならん。しかしそいつは、犯罪だろう」
「ぐへへ、まじですか。まぁいいじゃないですかぁ。ぐへへー」
「あたしやきりんてんてーの幼い体を満喫できるのも児ポ法成立以前の今のうちだけだよっ」
「て言ってますんで、連れていきましょうや。ぐへへ」
「……」
 一行は、その後は無言で廃都群を歩いた。その外れの辺りまで来ると、
「あった。確かここだな。見事に廃墟になっている……」
「国頭」
 廃墟の中から、何者かが出てくる。身構えるまでもなく、見知った顔であった。
「おう、総長、先に来てたのか。これは一体、どうなっている」
 国頭が総長と呼んだのは、同じくパラ実の夢野 久(ゆめの・ひさし)
 先にコンロン入りを果たしていたようだ。
「待ってたぜ。集まったのはこれだけか」
「ああ。教導の連中を国境で潰すつもりだったんだが、やつら、今回の出兵には相当の兵と金を動かすらしいな」
 ぞろぞろと、彼の手下になっている男どもが出てくる。
 ここに来るまでに集めた、辺境地帯の蛮族や、コンロンのアウトローたちである。久はそしてこの寺院跡を根城に居座ったのであった。
「しかし、ここにいいみやげがある」
 国頭は、騎凛セイカを下ろした。手下のヒャッハーも、プリモをどさっと下ろした。「ぐへへー」
 それにすぐさま呼応して、「ぐへへー」と、蛮族らが寄ってたかってくる。
「ちょ、ちょっと! とりあえずぱんつを、ぱんつを返して……」
「絶対にだめだ」
 蛮族らが色々と眺める。
「へぇ。これはなかなかえぐい光景ね。でも、あなたたち、手は出しちゃだめよ!」
 ルルール・ルルルルル(るるーる・るるるるる)が割って入る。
 ルルールの色仕掛けで手下につけた者も多い。餌は与えるタイミングを考えねば。「ほら、散って散って! 騎凛先生か。思わぬ収穫ね、ひとまずどっかに隠しておきましょうか。この子も一緒に、と」
「ああ、まさか、な」久も少し驚いた様子で言う。
「だけど、国頭君、」佐野 豊実(さの・とよみ)が冷静に言う。「これで教導の連中相手に、優位に立てるかもしれないけど、絶対追っ手を放ってきている筈よね? どうする」
「うむ」久は頷く。「しかしここはドージェが修行してた土地だ。ここにパラ実勢力の基盤を築く。教導が来ようが、エリュシオン帝国が来ようが、びくともしねぇような、な」
 ひとまずは、これだけの手下も揃っている。
 久、国頭は辺りを見る。千には満たないか。
 もともとここら一帯は、都の近郊にある寺院群だった。ドージェの寺院もその最も西の外れにあった。修行に来ている者、参拝に来る者も多かった。
 戦乱で、都はじめ一帯も荒れ果てた。状況から、夜盗になった者もいる。
 そんな中、ドージェの寺院は近年まで残っていた。
 だが、亡霊たちがコンロン山から溢れるようになった。亡霊たちの中でも、意思を持った者たちが、ボーローキョーを築いたという。
 しかし亡霊たちには意思を持たない者や保てない者も多く、彼らはコンロン中に散って、破壊を始めた。
 と、すでに聞き及んでいたいきさつを、久は国頭に話した。
「だが、一つ……オレたちがドージェの寺院を訪れたのは、せいぜい一年内じゃなかったか? そのとき、コンロンはこんな状況だったか」
「それについては、よくわからん。今唯シナリオでは時間が揺らぐのだ」
「納得のいくようないかないような部分だが……」
「むっ」
 総長! と言って蛮族が駆けてくる。
「言ってたら、また来やがったようだな」
「亡霊どもか。今、最も陽の出の勢いの新勢力ってわけか。
 こいつらの親玉は、誰なんだ!」
 言いつつ、空から地面からわきだしてくる亡霊を片付ける二人。
「知らん!」
「それがわかれば、苦労はないんだけどね」
 豊美も、無光剣を抜いている。パートナーたち、ヒャッハーたちも奮闘し、敵を沈めていく。
 ひと通り収まると、シーリルは、「意識を同調させ、私たちの意志が通じないか、試してみましたが低級な亡霊らしく無理でした。だけど、先ほどのお話にあった……亡霊たちの中でも意思を持った者らがボーローキョーを築いたという、と。彼らになら話ができないものでしょうか」
「ボーローキョー、か」
「あの川の向こうの光。あれが、亡霊ども根拠地……」
 ここにパラ実分校を打ち立てるにしても、亡霊どもを何とかしなきゃならねえか。教導より厄介か?
 しかし、ある意味、亡霊どももアウトローじゃねえのか。シーリルが示唆するように亡霊どもを何とか味方に付けることはできねえのか。
 
 総長! と言ってまた蛮族が駆けてくる。
「またか。きりがないな」
 しかし、聞こえてくる。バイクの音。
「何だ……?!」
 ヒャッハァァ?! 驚くヒャッハーどもを突き飛ばして、やってきたのは……
 バイクに跨っているのは、琳 鳳明だ。
 ヒャッハーどもが、やってくれたな、と取り囲み、女とわかるや琳のことをニヤニヤと睨みつける。
「はぁ、はぁ、こ、恐いけど……ここは退かないよっ」
 そして、
「国頭!」
 バイクの後ろから飛び降りた。
「おう。ここがよくわかったなぁ」国頭が出迎えるように、しかし挑発的に言う。
「ああ。愛の力でな」
 久多隆光であった。「セイカを出せ!」
 ヒャッハッハッハ。ヒャッハーどもが笑い出す。
「ここは君らの来る場所じゃないよ。神聖なドージェの寺院なんだ。帰るんだね」
 ヒャッハーに混じっている知的な女性……豊美が言う。その隣には"総長"夢野 久の姿がある。
「くっ」
 しかし、久多は怯まない。
「早く、セイカを渡せ!」
「それから、プリモもな」
 もう一人、バイクの後ろから姿を現したのは、プリモに瓜二つのジョーカー・オルジナ(じょーかー・おるじな)だ。
「なるほど嬢ちゃんが……」
「私が付けていたのだ」
「ふん。久多、愛の力など抜かしやがって。喧嘩上等」
「ま、待って。
 久多さん、国頭さんも。お互い、痛い思いはしたくないもんね?」
 琳が説得に入るが……
「何を。俺も、もう怒った。ぶっ放して、その体に風穴の一つでも開けてやる!
 力ずくでも、セイカを取り戻す! おい、国頭来い、もう一度、俺と勝負だ!!」
 久多はアーミーショットガンを抜き放った。
 国頭は不敵に微笑む。