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全学連『総蜂起!強制退学実力阻止闘争』

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全学連『総蜂起!強制退学実力阻止闘争』

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 大学側はいつまでもサークル棟の無秩序状態を放置しては置かなかった。他の学生への体面もあるし、なによりエリート養成校で反乱が起きては大学としての権威にも関わるからだ。
 シーカー学長はじめとする大学側は、空京警察の介入を許可し、サークル周辺には空京警察機動隊と志願してきた教導団を中心とする『鎮圧軍』が、混乱の回復の為展開された。ただし、その行動条件はあくまで立てこもっている学生の身の安全を最大限に重視して、と厳しく制限されていた。
 したがって、実銃や刀剣の類はもちろん、催涙弾の使用も許可されていなかった。なので、機動隊はジュラルミンの盾をずらりと並べてバリケード正面に対峙し、動向をうかがっていた。
 その後ろからサークル棟を、アルテッツァ・ゾディアック(あるてっつぁ・ぞでぃあっく)たちが退屈そうにながめていた。彼はこの大学の講師だ。
「さてと、いかがなさいますかな。こちらが黙っていればあちらも出てこない。あちらが打って出てこなければこちらもそれを打ちのめすこともできない。緊張状態というにはいささか退屈ですな」
 ゾディアックは教導団鎮圧軍としてやってきたハインリヒ・ヴェーゼル(はいんりひ・う゛ぇーぜる)クレーメック・ジーベック(くれーめっく・じーべっく)に語りかける。
「だから手配させたのだ。鉄球付きクレーン車を」
 背後にそそり立つ巨大なクレーン車を見上げてジーベックが答える。
「なるほど、全てご用命通り準備してございます」
「鉄球の大きさは?」
「直径2.54メートル、重量約1トン」
「材質は?」
「スウェーデン製ハイスピード特殊鋼」
「パーフェクトだ。ゾディアック君」
 ジーベックが満足そうに笑みを浮かべると、
「恐悦至極」と、ゾディアックが一礼した。
「見たまえ、ヴェーゼル君。これが我らのトールハンマーだ」
「おお。素晴らしいですぞジーベック殿。これなら逆徒どもなどひとたまりもありませんな」
「しかしながらお二方」
 ゾディアックが口を挟む。
「こう言っては何ですが、あくまでこれは最終手段。まずは投降を呼びかけるのが筋かと」
「連中が我々の言うことを素直に聞くと思うかね?」
「ですから、口実です」
「なるほど。で、誰がそのピエロをするんだ?」
「それは任せてもらおうか!」
 声の主、それは仮面にマントの正義のヒーロー(で、あるらしい)クロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)だった。
「……どこかで誰かが泣いている。助けを求める者がいる。それを救うは仮面の紳士。神出鬼没の黒い影っ。クロセル・ラインツァートただいま見参っ!」
 仮面のレンズがきらりと光る。
「ふむ。あなたは確か……」と、ジーベックが問う。すると、
「お忘れか? 第二次マジケット戦争で共に肩を並べたハツネ閣下の忠臣、クロセルですよ」
「ああ、一次二次と続けて何の役にも立たなかったと噂の」
「なーにをおっしゃいますかっ! まあ、俺の手並みを見ていることです」
 そう言ってクロセルはマイクを取った。