空京

校長室

戦乱の絆 第二部 第一回

リアクション公開中!

戦乱の絆 第二部 第一回
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リアクション



エピローグ


 シャンバラからの報せで、雲海から攻めて来ていたエリュシオンも撤退したことを知る。
 寺院からの侵略もあったようだがヴァイシャリーは無事に守られたらしい。


 戦闘の痕跡がすっかりと片付けられた、メガフロート・ネオアクアポリス。
 は、巨大クレーンに引き上げられた巨大な『繭』を見上げていた。
「――こいつが、最後の女王器」
 繭の膜の向こうにうっすらと見えるそれは、イコンのようだった。
 通常のイコンより遙かに大きい。
 数十メートルはありそうな巨大なイコン。
 それを見据えていたアーデルハイトが呟く。
「これは、5000年前の戦いを終結させた……」

「“ゾディアック”」
 アイシャはネオアクアポリスの上空に到達した特別機の中から、それを見下ろし、その名を呟いていた。
「再び蘇る日に備え、地球に封じられていた……特別なイコン」
「イコン? あんな巨大なものが、イコンなのですか……?」
 護衛の者の言葉にアイシャは静かに振り向いた。
「そうです。
 そして、あのイコンを復活させることこそが――
 アムリアナ様より課せられた、私の、なによりも大切な使命なのです」


「とうとう来たのだ。この日が」
 カンテミールは海中を漂うヴァラヌスの中で、モニターに映るゾディアックの繭を恍惚と見ていた。
 共に映る生徒たちの姿に目を細める。
「あそこに立っているのが私であったのならば……尚、素晴らしかっただろうな……。
 しかし――」
 笑みが零れる。
「シャンバラに永久の平安をもたらすための『十二星華計画』の最終段階。
 何者にも邪魔はさせんよ」




「ヴァイシャリーはシャンバラの手に残ったか」
 エリュシオン宮殿、謁見の間。
 大帝の声音には、かすかな哀れみがあった。
 絶対的な強者が持つ絶対的な弱者への哀れみが。
「足掻けば足掻くほど、絶望は深くなるというものを……」
 彼の視線が、前に控えるメニエスミストラルへと向けられる。
「汝らも、惜しいことをしたらしい」
「そちらの腰抜け共のせいで名誉を回復し損ねたわ。
 まあ……占領の要がガタついたんじゃ、無理に出張って来てもらったところで迷惑だったけれど」
 メニエスの言葉に大帝が可笑しそうに喉を鳴らす。
 ミストラルは、少し間を計ってから大帝に言った。
「一つ、気になっていることが御座います」
「言ってみろ」
「あの蛇遣い座。シャムシエルは、一体どのような“もの”なのでしょうか」
「十二星華計画を叶えるものだ。
 既に全ての十二星華のデータは揃い、オリジナルを『女王』とする準備は出来ている」
「……十二星華計画、とは?」
「地球に封じられていた女王器――
 ゾディアックを我らがものにするための計画だ」
 大帝は深く息を付いてから、続けた
「十二星華も、シャンバラという『国』も、帝国にとって意味を持つ時は終わった。
 今や、それらは完全な不要物、障害に過ぎん。
 我らが行く手を遮るだろうものは、全て排除しなくてはナァ」




 空京、シャンバラ宮殿。
 
「こ……これって、どういう、こと?」
 理子は目の前に広げられた“地図”を凝視していた。
 言葉にならない不気味さが胸の中に湧く。
 鋭峰、英照、ジェイダス、ラドゥ、そして涼司が同じ地図を囲んでいた。
 山葉 涼司(やまは・りょうじ)が言う。
「調査の結果、この地図は間違いなく本物だと分かった……急には信じられないだろうけどな」
「……なんで……なんでタシガンが『無い』の?」
 理子の目の前にある地図、それはナラカからもたらされた2021年のパラミタの世界地図だった。
 そこにある大陸も街も小島も全て、今パラミタで手に入る世界地図と何も変わらない詳細な地図だ。
 タシガンという街が存在していない、ということを除いては。
「つまり、タシガンは何者かによって“創り出された”ということだ」
 そして、涼司の口からもう一つの事実が語られる。
「そんな……」
 理子は言葉を失って、しばし、口をパクパクとさせていた。
 しばらくは誰も何も言わなかった。
 沈黙の中、最初に言葉を吐いたのはラドゥ・イシュトヴァーン(らどぅ・いしゅとう゛ぁーん)だった。
「……その事実は受け入れるとして、だ」
「受け入れられるの!? だって、ラドゥさんが一番――」
「些末な感傷に浸るより、考えなければならないことがある」
 ラドゥに睨みつけられ、理子は思わず噛み付くような調子で訊ねた。
「考えなければならないことって?」
 ジェイダス・観世院(じぇいだす・かんぜいん)が、地図に指先を置き、
 ゆっくりとした調子でラドゥの代わりに答える。
「このようなことを可能とする者が、おそらく、私たちの敵なのだ」
「……う」
「我々は、勝てるのか?」
 顔を顰めたラドゥの問い掛けに、理子は唾を飲んだ。
「必要以上に恐れることはない」
 英照が言う。
 彼は自身が吐いた言葉の通り、心底から落ち着いているようだった。
「今ここに我々が存在しているということは、その力にも限界があるということなのだからな」
「――冷静な楽観論って、頼りがいを感じるよね」
 その声は、上から聞こえてきていた。
 全員が見上げると、天井に胡座をかいているウゲンが見えた。
「堂々と姿を見せたか」
「いやだなあ、僕の事を疑ってる? せっかく“七曜”で、君たちに協力してあげようと思ってるのに」
「七曜?」
 理子の問い掛けに、ウゲンがパッと顔を明るませる。
「僕がフラワシを貸した子が、今のところ七人だから七曜。七福神とどっちにしようか迷ったんだ。
 四人なら四天王、十二人なら十二神将って感じで考えてたのにさ、中途半端で困った困った。ま、でも、七曜って思いつきで付けた割には――」
「相変わらずだな」
 楽しそうなウゲンに水を差すように英照の温度の無い声が言う。
「自分を大物に見せかけてはいるが、故に、身内に殺される」
「君、さ……」
 ウゲンの表情が険しく歪む。
「何を知ってんだか分からないけど、君なんかじゃ僕に勝てないってこと、分かってる?」
 と――
 バタバタと駆け込んで来る足音。

「エリュシオンが――
 エリュシオンの大艦隊が、大群の龍騎士と共にシャンバラへ向かっています!!」

「遊びは終わり、というわけか……」
 金 鋭峰(じん・るいふぉん)が呻く。
 ケラケラとした笑い声が降る。
「応援してるよ。これは本当に。せいぜい足掻くといいんじゃない?」
 言ったウゲンの姿は既に消えていた。
 鋭峰が舌打ちを捨てて、英照へ鋭く視線を向ける。
「指揮を任せる。……出来るか?」
 かつて、中国軍が完全敗北したドージェ・カイラスとの停戦を叶え、ドージェをパラミタへ送った男は言った。
「それがジンの命令とあらば、勝とう」




 パラミタの空に幾重に轟く龍の羽ばたき。

 今――
 これまでとは比べものにならない規模の帝国軍がシャンバラへ迫っていた。
 それらはパラミタ内海を経て、東側からイナテミスへ。
 北側よりキマク、タシガン、ツァンダへ向かおうとしているようだった。



 雨が、降り始める。



担当マスターより

▼担当マスター

蒼フロ運営チーム

▼マスターコメント

『蒼空のフロンティア』運営チームです。
『グランドシナリオ 戦乱の絆第二部 第1回』のリアクションをお送りします。

今回のリアクションは以下のマスターが担当しています。

【1】メガフロート上での戦闘:九道雷
【2】海底遺跡内での探索:大里佳保
【3】雲海でのエリュシオン軍との戦闘:森水鷲葉
【4】プロローグ、エピローグ、その他:村上収束
※特定の番号でかけられていても別の番号のアクションと判定され、そちらで描写される場合もございます。

また判定の結果、シナリオ全体の動きは以下のようになりました。

・メガフロート「ネオアクアポリス」での戦闘で、シャンバラ側はエリュシオン軍を撃退。
・海底遺跡内ではカンテミールを退け最後の女王器であるイコン“ゾディアック”を確保。
・雲海での防衛戦でもエリュシオン軍や空母を撤退させ、ヴァイシャリーの防衛に成功。
・ウゲンは七名の生徒たちにフラワシを貸し与え、“七曜”と命名。
・夜住彩蓮に提唱され、ミルザムのバックアップを受けて救助組織「蒼十字」が誕生。
・ナラカから発見された2021年の地図にはタシガンが“存在しない”事が判明(ペリフェラルシナリオ『わたげうさぎの島にて』より)。

なお、ペリフェラルシナリオ『わたげうさぎの島にて』につきましてはリアクションの公開が遅れており、誠に申し訳ございません。現在スケジュールの立て直しを行いお知らせしておりますのでそちらをご覧ください。

今回ご参加頂いた皆様には記念アイテムとして「ゾディアックエンブレム」をプレゼントします。
アイテムの配布は25日中となります。


『戦乱の絆 第二部 第2回』は年2月26日21時頃の発表予定です。
次回も皆様とお会い出来る事を楽しみにしております。



■ウゲンのフラワシについて
今回配られたフラワシは、グランドシナリオでのみ有効となります。
配られた方には【超霊〜〜】とフラワシの名前の入った称号と、その能力についての個別コメントが渡されています。
これは次回での登場を確約するものではありませんので、あらかじめご了承ください。

また、このフラワシはどのクラスであっても使うことが出来ますが、コンジュラーでない場合は暴走などの不都合が起こる可能性がありますので、こちらもあらかじめご了承ください。