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ざんすかの森、じゃたの森 【後編】

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ざんすかの森、じゃたの森 【後編】

リアクション

■■■前回までのあらすじ■■■

 ザンスカールの森の精が、10歳くらいの濃緑色ストレートロング少女の姿になって実体化した。
 ヴァルキリーが多く住むザンスカールは、イルミンスールの森の中にある町で、
 町の中にも高い木がたくさん生えている。
 ザンスカールの森の精は、この「森の町」の精なのである。

 エリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)により、
 「ざんすか」と名付けられたザンスカールの森の精であったが、
 いきなり物騒なことを言い始めた。

 「ジャタの森のパラ実蛮族が信仰する、邪悪な「ジャタの魔大樹」に除草剤を撒きに行こうざんす!
  ジャタの森には魔物も多く、それは「ジャタの魔大樹」が瘴気をまきちらしているからざんす!
  一刻も早く、「ジャタの魔大樹」を枯らし、ミーたちの森とジャタの森をつなげてしまうざんす!

 ざんすかを、エリザベートのパートナーの魔女、
アーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)がたしなめる。

 「シャンバラの国境のジャタの森に住む、ジャタ族とは友好的な関係を築いておくべきじゃ。
  除草剤を撒くなどという乱暴な方法ではなく、もっと慎重になるべき……ゴフッ!?」

 「ごちゃごちゃうるさいざんす!」

 アーデルハイトは、ざんすかのラリアットでぶっ飛ばされた。
 
 「ミーだけでも除草剤を撒きにいくざんすよ!!」
 そう言い残し、ざんすかはジャタの森に走っていってしまった。

 「ゲホッ、あ、あいつ、許さんぞ……どうなっても知らんからな!!」
 「大ババ様あ!! ……これじゃ、わたしが追いかけるわけにいかないですぅ。
 誰か、ざんすかを追いかけてきてくださぁい!!
 アーデルハイトの手前、どちらにも味方できなくなったエリザベートは、
 学生達にざんすかを追ってくれるように言ったのであった。

 一方、そのころ、イルミンスールの森とジャタの森の境では。
 「腹減った、じゃた……。この森の空気は、きれいすぎるじゃた……」
 ざんすかと同じく10歳くらいの
 白髪ショートの少女じゃたがふらふら歩いていた。
 
 じゃたはジャタの森の精であり、ジャタの魔大樹によってジャタの森の瘴気を吸収して
 栄養にしていたのだが、瘴気が増えすぎて吸収できなくなったので、
 イルミンスールに助けを求めに来ていたのだ。
 魔大樹が瘴気を撒き散らしているというのは、ざんすかの勘違いだったのである。
 空腹のじゃたは、学生達に食事を振舞われ、餌付けされ……もとい、救われた。

 「自然破壊をするのはやめろ」「森の生き物達が大変なことになる」と、
 止める学生達を振り切ってはぶっ飛ばし、
 ジャタ族の村に到着したざんすかは、協力する学生達と一緒に、
 ジャタの森の「ジャタの魔大樹」に除草剤を撒いたうえ、炎上させた。

 「これで、瘴気を撒き散らすジャタの魔大樹はおしまいざんす! ……何事ざんすか!?」

 しかし、ジャタの魔大樹は枯れるどころか成長を始めた。

 「ワタシは魔大樹で毒を吸収しているのじゃた。毒や瘴気やゲテモノはワタシの好物じゃた。
 でも、さすがに吸収しきれないじゃた……」

 じゃたは、無表情ながらも、苦しそうに言う。

 「ガハハハハハハハハハハハ!!
  この、ジャタ族族長グレートマシンガンが、
  ジャタの森を瘴気で満たして、ジャタの魔大樹を破壊兵器にしてくれるわ!!

 身長30メートルの大男、グレートマシンガンが叫ぶ。

 ジャタの森のジャタ族の無数に存在する部族の族長の一人、
 グレートマシンガンこそが、事件の黒幕だったのだ。
 しかも、グレートマシンガンにジャタの魔大樹の使用法を教えたのは、
 鏖殺寺院の者だった。

 「鏖殺寺院の奴は実によいことを教えてくれた!!
  瘴気を増やし続ければ、ジャタの魔大樹は暴走するのだ!!
  これで、俺はドージェすら超えることができる!!
  この俺が世界を征服するのだ!!」

 「だまれ、この誇大妄想野郎、ざんす!!
  絶対、ぶっ殺してやるざんす!!
  ジャタの森の精もぶっ飛ばして、
  魔大樹も絶対枯らしてやるざんすよ!!」
 
 ざんすかは、グレートマシンガンたちをののしりながらも、
 ジャタの魔大樹の強力さを感じ、このまま激突するのは分が悪いと、
 ジャタ族の下っ端をラリアットでぶっ飛ばしながら、一旦、森に潜伏した。

 「ジャタの森の精の力など、もはや不要!!
  このグレートマシンガン様は、世界を統べる神となるのだ!!」

 「このままでは、森が滅びてしまうじゃた……。
  何が困るって、森が滅んだらごはん食べられなくなるから嫌じゃた」 

 グレートマシンガンに追われ、じゃたも、ジャタの森に身を隠す。

 「ガハハハハハハハハハハハ!!
  準備が整い次第、まずはザンスカールを攻めるぞ!!」
 「オオー!! 戦争だーっ!!」

 一般のジャタ族は、強い力を手にしたグレートマシンガンに従っている。
 普通に話して聞いてくれるとは思えなかった。
 そもそも、族長の名前にも「なんだか強そうですごいぜ!」
 と疑問を持たないジャタ族に、正論による説得が通用するわけがない。

 グレートマシンガンは、「儀式」と称して、
 森の奥に設置された禍々しい飾りがごちゃごちゃついた「ステージ」で踊り狂い始めた。
 邪悪な気持ちで踊ることにより、ステージからは瘴気が噴出するのである。

 この事態をなんとかできるかどうかは、学生達の手に委ねられているのである。