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【十二の星の華】ヒラニプラ南部戦記(第2回)

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【十二の星の華】ヒラニプラ南部戦記(第2回)
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6-02 峡谷における出来事(1)

「うむ。サレンは行ったか。まかせたぜ、サレン。
 さて、オークスバレーの方は、と。又吉に電話しとくか……」
 国頭は、携帯を取り出す。
 オークスバレー。
「にゃに。……ん。そうか。わかった。ああ、こっちも、抜かりないぜ? まかせナ!」
 猫井 又吉(ねこい・またきち)
「ふゥ。砦の防備ってのも、忙しいもんだね。おい、ものども」
「はっ」「又吉様」
「武尊から、教導の連中が募兵を行ったって連絡があった。
 工作員を出してくる可能性もある、見つけたら袋叩きにして装備とズボンを奪って砦の外へ放り出せってことだ。いいか、合言葉を決めておく。
 それから、温泉に駐留している教導部隊の動きも怪しい……
 黒羊軍のマディキチ(までぃきち)に協力を要請して、オークスバレー全体の防備を固めるぞ!」
「はっ」「はっー!」
 どたどた。駆け下りていく、不良の子分たち。
「ふふぅ。教導め。
 返して欲しけりゃ、力尽くで来いよ。相手になってやるぜ」
 どたどた。さきほどの不良らが、戻ってきた。
「なんだぁ?」
 マディキチの方から、又吉に会わせろと来たらしい。
「ほう。なんだ、あちらから来たか」
 マディキチが入ってきた。怒っている。
「き、貴様か。岸辺の木立や茂みを全部、伐採したのは……」
「な、なんだ? とーぜん、工作員による火攻めに備えるため」
「茂みに伏兵を置く作戦だったんだ、こっちは!」
「な……知るか! そんなこと。何故、シナリオガイド出す前に、こっちに連絡しない?!」
 く、所詮はパラ実か。ふんぞり返るマディキチ。
 なにもう許せんよ。又吉、木刀を抜く。



 さて、国頭や同じパートナーの又吉が、対教導に向けての備えに四苦八苦しているとき……
 この回にしてようやく峡谷にまで駆けつけた、シーリル・ハーマン(しーりる・はーまん)
 所用で彼らのもとを離れている間の事態の展開に、まずは驚いていた。
「何てことに……。そう、確か、オークスバレーには幾つかの集落が存在したはず。私にできることは……」
 シーリルは、集落へ急行すると……避難活動を開始した。
「住民の皆さん。プリモ温泉へ!
 私も、付き添います」
 民も、占拠する不良も、戸惑うが、
「お、おう? あんた、パラ実だよな。何を勝手な」
「いや待て。あれは確か、国頭さんの……」
「どういうことだ?? なんか新たな指令が出たのか?」
 民はともあれ、シーリルを拝みつつ、ぽかんと見守る不良らの合い間を抜け、集落を脱出していった。このことは、またどういう波紋を呼ぶのか。ただ、このことは、意図せずもこれまでのオークスバレーの民のパラ実に対する不満への緩和剤の役割を果たすことにもなった。