リアクション
第7章 表情なき館
「やっと出られたね・・・。村も無事みたい」
朝日が昇り、鬼の姿から人に戻って道を往来する村人の姿を見て北都はほっと息をつく。
「皆、おかえり!」
宿泊所の前で弥十郎が、村から出てきた生徒たちに向かって手を振る。
「旅人は無事でしょうか?」
襲撃者にやれていないか真奈が不安そうな顔をする。
「大丈夫ですよ、今度は手傷1つ負わされていませんから」
宿の中から旅人を連れてきたメイベルが、守りきったと彼女に見せる。
「あわわっ、誰にやれたんですか!?」
真たちの傷を見てヴァーナーがメジャーヒールで癒す。
「今回は軽傷ですんだから、そんなに慌てなくても大丈夫だよ」
「アヤカシの女は私たちが倒しておいたわ〜♪」
アスカが生徒たちにニコッと笑いかける。
「鎌鼬さん・・・!あぁっ、よったです!」
闇世界の中で死んだ影響で、本当には死なず無事だった少女の身体を由宇が抱き締める。
「私たちと来ませんか?」
「―・・・いいの?あんなにいっぱい困らせたのに」
「もう気にしていません、行きましょう♪」
「うん・・・。(死ぬまでの間、少しだけだけど・・・)」
来年まで生きられるか分からない短命な命だけど、それまで由宇のところへ行こうと決めた。
「早くオメガ身体に、魂を戻してやらないと」
生徒たちは葵に頷きオメガの魂を連れて、洞窟の中の館へ向かう。
「ここがオメガが住んでいるところか」
初めて魔女の館へやってきた唯斗はゴシック様式の館内を見回す。
借りた物を村人へ返し、旅人からもらった宿代を渡した弥十郎もやってきた。
「しんしつはこっちですよ」
ヴァーナーが唯斗たちを呼ぶ。
「あぁ分かった」
「今行くよ」
「ミニミニちゃん。みんなとオメガちゃんの魂を迎えにいったです」
トントンとノックをして入り、メソメソとするミニミニにヴァーナーがニコッと微笑みかける。
「目を覚ます時間よ」
泡たちに連れて来られたオメガの魂が身体へと戻る。
「オメガちゃーん!寂しかったよぉー」
ベッド起き上がった少女の周りを、ミニミニが嬉しそうに飛び回る。
「よかったです、目が覚めて」
ほっと息をついたメイベルはニコッと微笑む。
「大丈夫ですか・・・?」
遙遠が心配そうに目覚めたばかりの彼女の傍へ寄る。
「ありがとう・・・ございます」
「―・・・オメガさん?」
ぎこちない表情の彼女に北都は、どうしたのかと顔を覗き込む。
「もしかして魂が全部戻っていないから、感情を表せなくなっちゃったのかな?」
「これはどういうことでしょうか、グレンさん!」
「北都が言うように・・・、恐らく魂が全て身体へ戻っていないからだろう・・・」
袖を掴むソニアにグレンが冷静な口調で言う。
「表情に出さなくても、ルカたちには分かるよ」
ルカルカがオメガの手にそっと触れ、皆が助けに来てくれたことが嬉しいという心の感情を感じ取る。
「消えようなんて悲しいことを思わないで・・・」
瞳を潤ませているクマラは今にも泣き出しそうな顔をする。
「でも、このままにはしておけないですよね」
「えぇ・・・魂の一部を奪ったドッペルゲンガーが、オメガさんに干渉してくるかもしれませんね」
陽太に緋音は魂をなんとか取り戻さないといけないと頷く。
「それにやっぱり笑った顔が見たいからな」
笑顔を取り戻さなくてはなと唯斗が言う。
「―・・・まずは・・・闇の中に消えた魂の方を探さないとな」
「なんとしてでもドッペルゲンガーや十天君よりも先に見つけるわよ!」
先に闇へ逃げ込んだ魂の方を探そうと言うグレンに、泡が絶対取り戻すとオメガに誓う。
魔女の魂が日早田村から離れたことでその後、闇世界化することはなくなり村に平和が戻った。
皆様おはようございます。
日早田村の中に彷徨っているオメガさんの魂は3分の1、身体に戻りました。
心の中に広がった闇と、闇世界化の進行の影響でまさかの三分割です・・・。
奪われそうになった魂は、消えたくないとドッペルゲンガーを拒んで、闇の中へ消えたようでした。
日早田村編は今回で終わりですが、これからどうなっていくのでしょうね。
一部の方に称号をお送りさせていただきました。
それではまた次回、シナリオでお会いできる日を楽しみにお待ちしております。