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リアクション
★ ★ ★
「ペンネーム、念動剣士さんからの教えてです。
初めましてシャレード・ムーンさん。ミッドナイト・シャンバラ、いつも楽しく聞いてます。
突然ですが、最近私のパートナーが人外になりつつあるような気がします。ネクロマンサーになってからそれが特に顕著になってきました。
えー、でも、ネクロマンサーっていうのは人を捨てないとなれないんじゃ……。
ペットのレイスと仲良く遊んだり、以前から凄かった食欲がもっと凄くなってたり、傷を受けてもすぐ治ったり。
「契約者として熟練してくると、人によっては人外と呼べる程に強くなる」って聞いたことがありますが、本当なのでしょうか? また、そうだった場合、私のパートナーはそれに当てはまるのでしょうか?
あてはまってます。もろに人外です。
でも、それって人の力の外ということであって、けっして、人の心の外という意味じゃないと思ってます。
だから、あなたも、そうパートナーさんに接してあげてください。
さて、次の教えて君は、ペンネーム、絶叫漢女さんです。
こんばんわ、いつも楽しく聴かせて貰っています。
私は剣の花嫁なんですが、光条兵器は自分で出してパートナーに渡す主義なのでいつもそうしています。…が、その度にパートナーが複雑そうな目で見てきます。しかし「自分で出したい」と言ってくる訳でもありません。
つきましては、シャレード・ムーンさんに彼の視線の理由が分かるかどうかを伺いたいです。
そういえば、さっき胸を見られて困るっていうお手紙もありましたねえ。あれっ、違ったかしら。
ずばり、あなたのたっゆんを見ているに決まっています。きっと、パートナーはあなたの胸から光条兵器を出したいのでしょう。
そういうときはきっぱりと拒否すべきです。
光条兵器は、あなたが選びし者にだけ扱える特権です。安易に与えてはいけないのです。ここは厳しく教育していきましょう」
★ ★ ★
「ハガキ読まれたね」
岩陰に身を潜めながら、霧島 悠美香(きりしま・ゆみか)がルーフェリア・ティンダロス(るーふぇりあ・てぃんだろす)に言った。
「よっし! これも日頃の行いだな」
満足気に拳を握りしめながら、ルーフェリア・ティンダロスがうなずく。
「おーい、少しは手伝ってくれよぉ〜」
少し離れたところから、月谷 要(つきたに・かなめ)が叫んだ。こちらは日頃の行いからパラ実生のお礼参りにあって、絶賛戦闘中だ。
「ヒャッハー、仕返しだぜい!」
「死ねや、死ねや!」
スパイクバイクに乗ったパラ実生の集団が、月谷要に迫ってくる。
「おーい」
「パース。疲れてるんだから、そっちはそっちで適当にやんなー」
「ラジオ聞いてるから、後でねー」
再び助力を求める月谷要に、ルーフェリア・ティンダロスと霧島悠美香が答えた。
「ヒャッハー! オラオラオラ……!!」
「やかましいわー!! ラジオがまったく聞こえないだろぉ! 編めよ雷光。絡めし者に光の衝撃を与えよ!」
いいかげんにしろと、月谷要がバイクのパラ実生たちにライトニングブラストを放つ。続いて、ペットたちに命令を下した。
「畏れを振りまけ、我が僕たちよ!」
ライトニングブラストを受けて転倒したパラ実生たちに、レイスたちが壊れたカスタネットのような嗤い声をあげながらむかっていった。
★ ★ ★
「次の教えて君は、ペンネーム、ストライクゾーンの広さに定評のあるお兄さんです。長いですね。ペンネームは十七文字以下にしてください。
最近、お兄さんはとある職場で変態扱いされています。
別にそのこと事態に何ら抵抗はありませんし、むしろどんとこい超常現象です。
ですがそれによって生じた弊害が一つ。
最近お兄さんの扱いがなんかもう凄く酷いんです。
何をされても『まあ変態だし』の一言で済まされてしまいます。
このままでは目覚めてはいけない何かに目覚めそうです。
お兄さんはどうしたら良いでのしょうか。あとシャレードさんの下着下さい
へ・ん・た・い!
以上です。
きっと、今に女の子たちにつかまってボコボコにされますよ。気をつけてくださいね。
続いては、ペンネーム、永遠に幼き神父、坂上 来栖(さかがみ・くるす)さんの教えてです。
おとなのおねぇちゃんにしつもんです
わたしはちっちゃくて全然おねぇさんじゃありません
くるすは早くおねぇさんになりたいです
どうしたら、おとなのおねぇさんになれますか?おしえてください」
★ ★ ★
「ぶーーーーー」
百合園女学園の教室に勝手に入り込んでいた坂上来栖は、思わず飲んでいたコーヒーを盛大に噴き出した。
「げほっ、げほっ……。私、いつの間に投稿なんか……。きっとくるすの仕業ね」
坂上来栖は、自分の中に眠るもう一つの人格であるくるすのことを思い出してつぶやいた。きっと、自分が寝ているときに、くるすの人格が目覚めて、勝手に投稿したに違いない。
「それにしても、名前出しちゃってるじゃないですか!! ペンネーム意味無いじゃん! 知り合いにでも聞かれたらどうするんですか恥ずかしい……」
そう考えつつも、精神年齢の幼いくるすの人格では、こんな凝った言い回しのペンネームなんて考えられないはずだ……。
「きっと誰かが入れ知恵したか、共犯がいるに違いないよね」
誰もいない教室の中央で、腰かけた机の上に載せた片足だけをかかえながら、坂上来栖はじっくりと考え込んだ。
「ほう、眼福眼福。ふーむ、今日も相変わらず愛くるしいですな、来栖さんは」
薄暗闇の中からそんな坂上来栖の肢体をじっくりと見つめながら、クド・ストレイフ(くど・すとれいふ)はつぶやいた。
ラジオを聞きながら、窓のそばに身を潜めている。りっぱな変態である。
真夜中とはいえ、百合園女学園の敷地内に忍び込むとは、なんとも大胆というか、運がいい。たまさか、坂上来栖が毎夜勝手に懺悔室と称して私物化している教室が一番街壁に近かったとはいえ、普通なら生きては帰れないところだ。一歩間違えれば、今ごろはケルベロス君かタネ子さんの餌である。
「悩んでるねぇ。でも、鋭いなあ。これだと、くるすのときに入れ知恵したのが俺だとばれるのも時間の問題かな。まあ、それより、どうやってここを逃げだすかだよねぇ」
なんだかあわただしく警備の女の子達が走り始めるのを感じて、クド・ストレイフはまるで他人事のようにつぶやいた。
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