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ミッドナイトシャンバラ2

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ミッドナイトシャンバラ2

リアクション

 
    ★    ★    ★
 
「なんだか、今日の放送は、知ってるようなリスナーからの手紙が多いなあ」
 ブラブラと夜の散歩をしながら、天空寺 鬼羅(てんくうじ・きら)は携帯ラジオを聞いていた。
「おや、あの人影は……」
 夜の闇の中に、見知ったような人影を見つけたが、すぐに消えてしまった。
「追ってみるか」
 冒険屋としての血が騒ぎ、天空寺鬼羅は人影の後を追った。
 
    ★    ★    ★
 
「ふふっ。たまにはこんなネタもいいですよね」
 テスラ・マグメルは、読まれた自分のネタハガキを思い出して悦に入っていた。
 さすがにネタだとばれてハマってはいたものの、他の七不思議もほとんどネタのようだったので問題はない。むしろ、ネタとしては自分がトップに立ったと自分認定する。
「それにしても、もうちょっと捻った方がよかったですかねえ。怖さが足りなかったような……」
 ピンポーン。
 そのとき、玄関のチャイムが鳴った。
「おや、こんな時間に来客が……」
 テスラ・マグメルはおもむろにサングラスをかけて防御力を上げると、静かに玄関のドアを開いた。
「お前は、サングラサーか……?」
 ドアの前に立つ人影は、そう訊ねた……。
 
    ★    ★    ★
 
『イルミンスールの森で取れた天然の薬用ハーブで、ばっちりすっきり健康に。ハーブティーの優雅な香りがあなたをお待ちしています。ハーブのお店《うぉーたーみる》、イナテミスに近日オープン予定!』
 
    ★    ★    ★
 
「今回の七不思議はあまり怖くなかったですねぇ」
 会議室で夜食のサンドイッチを食べながら、メイベル・ポーターが言った。
「やっぱり、撲殺する森が怖かったですからね。でも、正体が分かってしまえば、とっても素敵なお友達でしたけれど」
 粛々とおむすびを食べながらフィリッパ・アヴェーヌがうなずいた。
 その隣では、なぜかセシリア・ライトが床を転げ回って苦しんでいる。
「どうしたの、セシリア?」
 驚いて、メイベル・ポーターが訊ねた。
「か、辛い……。バ、バットを……」
 愛用のバットに手をのばしかけながらセシリア・ライトが呻いた。
「だ、大丈夫よ。だから、バットはむこうにおいておきましょうね」
 セシリア・ライトが、自分の作ったカレーサンドイッチを食べてしまったことに気づいて、日堂真宵がひきつりながらバットを遠ざけた。
「オー、おかしいデース。カレーなら、耐えられるはず……」
 余計なことを言いだすアーサー・レイスを、日堂真宵は持っていたバットで黙らせた。
「お電話繋がりましたー。ゲストコーナーいけまーす」
 風雲急を告げる会議室の前を、ミルディア・ディスティンが副調整室にむかって走っていく。
 
 

ゲストコーナー

 
 
「ゲストコーナー♪
 さて、今日のゲストは誰でしょうか。
 いろいろな御要望が届いていますが、残念ながらティセラさんたちは現在外部との接触は禁じられているようですので断られてしまいました。
 本日のゲストは、お電話で参加になります。
 もしもしー」
『もしもーし、ですぅ』
 電話のむこうから、眠たげな声が聞こえてきた。
「お名前をお願いいたします」
『ふぁーあ……』
「あのー、えーっと、リーザ校長?」
 ちょっと困ったように、シャレード・ムーンがゲストのエリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)に愛称で聞き返した。さすがに、この時間はエリザベート・ワルプルギスの年齢ではおねむのようだ。前回の放送でも、時間が遅すぎて失敗している。今回は慎重なる根回しの上での出演だった。大ババ様こと、アーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)に贈ったアイスクリームの量は半端ではない。
「二度目の交渉にしてやっと出ていただいたのですから、頑張って起きてください。こうちょー」
『うるさいのですぅ。ちゃんと起きて……ぐー……』
「ああ、早くお便りいっちゃいましょう。このままじゃ寝落ちされそうです。
 ペンネーム、エリザベートちゃんLOVE♪さんから御質問がきています。
 愛くるしいエリザベートちゃんに質問です。
 夏が終わり秋になりました。
 秋といえば読書の秋、スポーツの秋とも言われますが、
 忘れてはいけないのが食欲の秋。
 秋の味覚といえば、
 林檎、葡萄、梨、柿、栗、薩摩芋、松茸等々あります。
 エリザベートちゃんのお好きなものは何でしょうか?
 お勧めの食べ方もあれば一緒に是非♪
 いかがでしょう。何か、お好きな食べ物はおありでしょうか」
『そうですねえ。今だと、マロングラッセが美味しいですぅ』
 エリザベート・ワルプルギスが、やにわに眠気を振り払って答えた。
「ああ、美味しそうですね、マロングラッセ。一度に何粒ぐらい食べるのですか?」
『ぐー』
「もしもーし。リーザこうちょー。こーちょー!」
『ぐー』
「だめです。限界点突破しちゃったみたいですね。ゲストコーナーでしたー」