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リアクション
★ ★ ★
「次のお悩みは、カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)さんからです。
最近、パートナーが何となく沈みがちな気がするのですが、どうも愛用のレールガンを撃つ機会が無くて、ストレスを溜め込んでいるみたいです。何か良い解決方法はありませんか?
レールガンは、やたら撃てませんものねえ。なんでも、前に蒼空学園のエントランスで撃った人がいたらしくって、ガラスが吹っ飛んで大変だったらしいですよ。カレンさんは、くれぐれもパートナーにそんなことさせないでくださいね」
★ ★ ★
「ほら、カレン、起きるのだ。ハガキが読まれたのだぞ。カレン……」
ジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)は、ベッドで幸せそうに寝息をたてているカレン・クレスティアの身体を軽くゆさぶった。ラジオ番組が始まったら起こしてくれと頼まれていたのだが、いくらゆすってもいっこうに起きる気配がない。よだれを垂らして幸せそうに寝ている顔を見ると、ジュレール・リーヴェンディとしても、無理に起こす気はなくなってしまった。
とはいえ、本人のハガキが読まれたのであれば話は別だ。ジュレール・リーヴェンディは、再びカレン・クレスティアを起こそうと頑張ったのだが、やはり無駄な努力に終わった。
「それにしても、我は沈んでなどおらぬのだが。ときおりパラミタ内海へ出むいて、気晴らしにレールガンを撃っているからな」
超音速で水面を真っ二つに切り裂いて波頭を作りだす弾体の力強さを思い返して、ジュレール・リーヴェンディがにまっと笑った。
★ ★ ★
「それでは、次は、ペンネーム、かよわい普通の女の子さんからのお悩みです。
教導団からこんばんは
こんばんはー。
悩みは、私は自分をPNどおりだって思うのに、周りがそう扱ってくれない事
否定したり、聞き流したり、自称扱い
酷い人は現実を認めようって肩ポンするし、酷いよね?
それは、ラジオじゃ顔は分かりませんからねえ。本当はどうなんでしょうか。
(体育250とか体力640超えとか普通で飾りだと思うの
そ、それは……。
彼ハグしたら死の抱擁って言われたり、新入生レオンと握手したらボキッってイッたけど、加減を忘れただけで…あ、ここ読まないでね)
あっ、ごめんなさい、読んじゃいました。
かよわいって認めて貰えるいい方法、アドバイスお願いします
そうですねえ。でも、パラミタの常識は地上の非常識ですから、地上では異常に見えても、パラミタでは普通に見えますよ……多分」
★ ★ ★
「ふう、やっと開放されたわ。今度こそラジオ聞かなくちゃ……」
長々と続いた説教が終わって、ルカルカ・ルーはほっと緊張を解いた。
『それで……次……ペンネ……かよわい普通の……さんからの……』
「えっ、まさか、読まれ……」
微かに聞こえてきたラジオの音に、ルカルカ・ルーはあわてて自分の部屋に戻ろうとした。あわててしまったために、うっかり手をかけてしまったシューズボックスをその力で完膚無きまでに破壊する。また、深夜に大きい音をたててしまった。
「し、しまったあ」
ぴんぽーん。
再び、ルカルカ・ルーの個室のチャイムが鳴り響いた……。
★ ★ ★
「こんばんわ、いつも楽しく視聴しています。あまり詳しくは言えないのですが、時々とある有名人に変装して行動してきました。想像以上に気付かれなかったので調子に乗ってしまったのかも知れません・・・先日ついに本人に影響を与えるようなことになってしまった上、空京放送局まで大変なことになってしまったと聞きました。今更かもしれませんが、罪滅ぼしになるようなことってないでしょうか?
ペンネーム、やりすぎたニセモノさんからですが、別にいいんじゃないでしょうか。空京放送局はうちのライバルですしぃ。というか、ダークサイズに乗っ取られた時点で敵でしょうか。もしかして、にせものさんにせいで、空京放送局が乗っ取られちゃったとか!?
うーん、同じ放送局としては、公共であるべき放送局が悪の秘密結社の物になるというのはものすごくまずいと思うんですよね。公平性がなくなっちゃいますし。
どうでしよう、ここはひとつ、にせものさんがダイソウ トウ(だいそう・とう)に化けて、空京放送局を取り戻すっていうのは。ほら、獅子身中の虫って言うじゃないですか。頑張ってくださいね。
さて、次のおハガキです。
ペンネーム、蒼学のアライグマさんから。
早速ですが相談です。自分で言うのもなんですが見た目は悪くありませんし、プロポーションも平均より上だと思います。しかし・・・エロ気が全く無いんです。十八禁アウトどころか水着レベルですら経験なし、新しい世界へ踏み出す一歩にきっかけがあれば・・・と思うのですが何かいいアイデアはありませんか?
うーん、難しいですねえ。
でも、各学校に寄せられる依頼には、結構色っぽい物もあると聞きますけれど。そういうのに参加していけば、自然と色気が身につくんじゃないでしょうか。あっ、でも、アライグマじゃ確かに色気はないですねえ。ゆる族か獣人さんなのかなあ。獣人さんなら、人間の姿に戻ればなんとかなりそうですけれどもねえ。
さて、お悩み相談のお手紙が意外に多かったので、ここでお電話を一つ受けようと思います。
もしもしー」
★ ★ ★
「もしもし。自分、ヴィゼント・ショートホーンと言うものです」
『はーい、よろしくお願いしまーす』
携帯電話を持ったヴィゼント・ショートホーンが話すと、シャレード・ムーンの声が返ってきた。
同じやりとりは、リカイン・フェルマータのそばにあるラジオからも聞こえていた。
「今の、投稿は何」
見下ろした簀巻きのアストライト・グロリアフルを睨みつけながら、リカイン・フェルマータが問いただした。
「さあ、知らねえなあ」
禁書写本 河馬吸虎(きんしょしゃほん・かうますうとら)がいないのをいいことに、アストライト・グロリアフルが嘯いた。
アストライト・グロリアフルは、口を割らなければ禁書写本河馬吸虎のペンネームを勝手に変えたことはばれるはずがないと思っている。
「すいませんが、少し静かにしてくれませんかねえ。お願いします。あっ、いや、こちらの話で……」
電話をしていたヴィゼント・ショートホーンが、携帯を押さえてリカイン・フェルマータたちに注意した。
「実は最近、連続して名前を間違えられまして……それも全く同じように。自分の名前、そんなに難しいのでしょうか? それとも似ている有名な方でもいらっしゃるのですかね? 何かいい対処法がないものかと悩んでいます」
『そうですねえ。そういうときは、称号というか通り名というか、ほら、よく……』
シャレード・ムーンが答えようとしたときだった。
「裸SKULLに拉致られたぁ!」
ヴィゼント・ショートホーンの携帯電話に聞こえるように、アストライト・グロリアフルが絶叫した。
ぴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
携帯に拾われたその叫びは、ラジオに流れ、再び携帯に拾われて、凄まじいハウリングを引き起こした。
「ぐわっ」
あわててヴィゼント・ショートホーンが携帯を耳から離したが、回線は切れてしまった。
「何をしやがる!」
「何を叫ぶのよ!」
二本の足が、動けないアストライト・グロリアフルをゲシゲシと踏みつけた。
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