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リアクション
次から次へとクロネコ通りには人がやってくる。
次から次へとクロネコ通りからは人が放り出される。
急いで。
急いで。
自分の欲しいものを手に入れたいのなら。
あっちもこっちもお買い物
クロネコ通りでショッピングがしたい。……といっても、行く方法はただ1つ。
「確かこの辺りだって聞いたけど……」
アルメリア・アーミテージ(あるめりあ・あーみてーじ)はイルミンスールの森の中で、クロネコさんの目撃情報が多い辺りを歩き回って遭遇を狙った。
いい加減歩き疲れてきた頃に、目の前をよちよちと走っていくクロネコさん発見!
「あっ、今のがそうよね!」
急いで追いかけながら呪文を脳裏に確認する。
えっと確か……。
「トラップ・トリック・トリップ!」
「きゃ」
自分ではない声に驚いたアルメリアの横を、テスラ・マグメル(てすら・まぐめる)を背に乗せた虎のウルス・アヴァローン(うるす・あばろーん)が、飛ぶように駆けて茂みに飛び込んだ。
一瞬それにのまれたけれど、アルメリアも慌てて呪文を唱える。
「トラップ! トリック! トリップ!」
思い切って茂みに飛び込んでみれば、周囲の風景は森から街へと変わっていた。
「わぁ、ここがクロネコ通りなのね」
通りの両側には店が連なっている。それが珍しい品物を売っている店ばかりとなれば、ショッピング心も刺激される。
何か面白いものはないかと、アルメリアは店を覗いて行った。
「あら、なんだか可愛いものが置いてあるわね」
アルメリアが目を留めたのは、温かみのある木製の置物たちだった。
どれも動きのあるポーズをしていて……というよりは、かなり不思議な格好をしている置物も多い。
「その子たち、気に入ってくれた?」
ラフな格好にざっくりしたエプロンをかけた女の子が、来客に気づいたらしく出てきた。アルメリアよりも2つ3つ下、というぐらいだろうか。大きな目が愛くるしい女の子だ。
「ええ、とても可愛いわ♪」
アルメリアがそう褒めると、女の子はとても嬉しそうな顔になった。
置物と女の子の可愛さに、ここで何か買っていくことにしようとアルメリアは置物を選び始めた。
ほとんどが動物の置物で、どれも良く出来ている。
「今にも動き出しそうね」
アルメリアがそう言うと、女の子はこっそりと教えてくれた。
「この子たちはほんとうに動くのよ。でも、動くのは皆が眠っていて誰も見ていない時だけなの」
「見ていないのにどうして動くって分かるの?」
「人が起きる気配がすると、慌てて元の位置に戻ろうとするんだけど、間に合わなくて元の位置まで戻れなかったり、変なポーズで止まっちゃったりするからよ」
ほら、と指さした木彫りのクマは、口に慌ててシャケを押し込もうとする格好で止まっている。
「なかなか面白そうじゃない。それじゃあ、クロネコ通りに来たのだし……このクロネコの置物をもらえるかしら?」
「ありがとうございますっ」
置物が動くという話がどこまで本当なのかは分からないけれど、女の子の笑顔だけでもアルメリアにとって、払った代金分の価値はある。
「もう一度ここに来られたら寄せてもらうわ、また会いましょうね♪」
「うん、待ってる」
大切にしてねと念を押しながら置物を渡すと、女の子はもう一度、ありがとうございました、と頭を下げた。
「ふぅ。なんとかクロネコを見つけられて良かったぜ」
クロネコ通りに入ると、ウルスは息をついた。
この通りにある店に持っていたい絵があったのだが、こちらに来るのはクロネコさん任せ。背にテスラを乗せたまま、良く見かける場所を行ったり来たりして、クロネコさんが通りかかるのを待っていたのだ。
「俺はこの絵を納品に行ってくる。ついでに珍しい画材が入ったみたいだから、それも見てくるつもりだ。お嬢はどうする? このまま一緒に行くか?」
ウルスの目的は、使用者の思いに応じて色を浮かばせる魔法のパレットだ。時折全然違う色が出ることもある、というが、それもまた気まぐれな魔法物品らしいご愛敬というところだろう。
「どうしましょうか」
一緒に行くのも楽しそうだし、自分で買い物するのもまた一興……と考えていたテスラの耳に、店頭での呼び込みの声が入った。
「さあさ、見て行ってくんな。これがありゃあ、遠くの内緒話だってよーく聞こえるようになる魔法の品だ。さあ、まずは見ないことには始まらねえ。さあさ、早い者勝ちだぜ!」
「よく聞こえるようになる品、ですか……」
「入ってみるか?」
「ええ」
「おっ、お客さん、ささ、これだ。良い品だろう?」
入ってきたテスラに店員は品物を差し出した。テスラは手を伸ばして、その輪郭をなぞってみる。
「これは……メガネですか?」
「サングラスだよ。これをかければ聴覚強化はバッチリだ」
指先から伝わるサングラスのフレームのラインは、テスラの好みに合っている。良いデザインで聴覚も強化できるとなれば、ここは買いだろうか。そんな風に思ったテスラだったけれど、ウルスの方は不審げに唸る。
「聴覚強化するのに、何故サングラスなんだ?」
「おっといけない、伝え忘れてた。このサングラスは視覚を抑えることによって聴覚強化するものなんだ。ま、この効果に比べりゃ、そんなのたいしたことじゃねえよな」
店員の言葉に、テスラはそうですねと微笑する。
「元々視覚がほとんどない私へのピンポイントな品物ですね。これをいただきます」
「毎度ありっ」
けれど店員が口にした金額は予想以上に高く、テスラの持ち合わせでは足りない。
「この絵の代金をもらってからまた来るか?」
「ウルスの画材が幾らするのか分からないのですから、代金はそちらのために取っておいて下さい。――ちょっと待ってて下さいね」
店員に言い置くと、テスラは通りに出た。アコースティックギター片手に幸せの歌を歌って、道行く人々から小銭を稼ぐ。
アンコールにこたえて披露し、不足分をゆうに超える金額を手にするとそれでテスラはサングラスを購入した。
せっかく気に入った品なのだから、値切るのではなく定価できっちりと。
支払いを終えたテスラがウルスと合流した時、周囲の風景はゆらめいて消え……買い物を終えた2人はイルミンスールの森へと戻った。
切だけイルミンスールの森に残してきてしまったことに気づいたトランスだったけれど、こうなってしまっては仕方がない。迎えに行くすべはなく、すぐに戻ることも出来ないのだから、と音穏と一緒の時間を楽しむことにした。
「音穏ちゃんと2人っきりは珍しいかも! 今日は2人でお買い物だね!」
音穏自体は買い物には興味はないけれど、トランスの嬉しそうな顔を見ると断れない。
「どんなお店があるのかな。楽しみだねっ」
「ってトランス、引っ張るな。付き合ってやるから少し落ち着け」
そう言いながらも音穏はトランスに連れられてクロネコ通りを歩き始めた。
「このお店は……『クロ屋』? ここに入ってみようよ」
面白そう、と言っている間にもトランスは店に入っている。
音穏は、トランスに甘い自分を思いながらも、その後について店に入ったのだが……店内はどこもかしこも黒い。
何だ、と思って見直せば、黒い天井黒い床黒い壁黒い棚。
剣、鎧、ドレスに帽子、置いてあるものは様々だけれどすべて色は黒だ。
「このコート、音穏に似合いそう。買ってあげるねっ」
「紫影のブラックコートか……確かに我の好みではあるが、これを買ってくれると?」
「うん、プレゼントさせてね」
「……まぁトランスがそう言うなら貰ってやる……」
頬を少し赤らめ音穏が答えるのを、店の奥から店主が微笑ましそうに見つめてくる。
物静かで穏やかな笑み。だが。
(なんだか黒い笑みに見えるのは気の所為……ではないのだろうな)
すべてが黒い店の中、音穏はそっとひとりごちるのだった。
「トラップ・トリック・トリップ……って言えばいいんだっけな?」
そう言いながらラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)はクロネコさんを追って茂みに飛び込んだ。
やや不安はあったものの、呪文は間違っていなかったらしい。
周囲は森から街へと早変わり。どうやらあの噂は都市伝説ではなく本当だったようだ。
「折角だし、少し買い物していくか!」
幸い持ち合わせには余裕がある。普段はない珍しいものが見つかるかも知れないと、ラルクは店の看板を見ながら通りを進んでいった。
ラルクは現在、ジェネラリスト目指して猛勉強中だ。現代医学や先進医学の他にも、魔法医学の知識も入れておきたいからと、魔法薬の店や、本屋をかたっぱしから覗いて回る。
面白そうな魔法薬は成分を研究しようと購入し、魔法医学の本を見つければそれも……、と買っていくうちにどんどん荷物は増えていった。
大荷物を持ってこんな風に買い物に歩くのはいつ以来だろう。
「最近は勉強漬けもいい所だからな……」
思いっきり身体を動かしたいけれど、今は我慢我慢。研究しながらでも身体は動かせるだろうからと、自分を宥める。
今自分にとって一番大切なこと。それは……。
とそこまで考えて、ラルクは買ったばかりの荷物に目をやった。クロネコ通りには真贋問わず様々な物品が売られている、という話を思い出したのだ。
「そっか……ここの品物は本物じゃない場合もあるんだよな」
ちょっとしたものなら偽物でも笑ってすませられるが、医療関係となると話は別だ。
偽の知識も偽の薬も恐ろしく危険なものとなる。
「本はまぁ……すぐに読まないようにしておくか」
薬のほうは成分研究に使うだけなら、本物でも偽物でも問題ないだろうし。
そんなことを思いつつも、良さそうな魔法医学書や薬を見るとついつい買い込んでしまいながら、ラルクは魔法街を進んでいくのだった。
魔法に関する本、装飾品。
あれこれと買い物した後、結和とエメリヤンは布の店へとやってきた。
服に仕立ててあるものもあれば、反物で売っているものもある。店内にあふれんばかりに布がかけてある様に、2人は目を奪われた。
「この服、エメリヤンに似合いそうねー」
ざっくりした不思議な手触りの布でできた服を結和はエメリヤンにあてた。
エメリヤンの方はその服の縫い方が気になって、裏をひっくり返してどうなっているのかを確認してみる。それほど難しそうではないから、これなら自分でも作れるのではないかと店の人に聞いてみる。
「……これはどうやって……」
「はい? 何かご用ですか?」
小柄で丸眼鏡をかけたおばあちゃん店員がにこにこして聞いてくる。戸惑って口ごもるエメリヤンの代わりに結和が尋ねた。
「この作り方を知りたいんですけど、難しいですか?」
店員はそうですねぇ、と型紙を出してくる。
「あらあらあら。これをですか? 難しくはないですけれど、ここの刺繍部分、呪術をこめる為に特殊な文様を縫い込んであるんですよ。慣れないと結構手間ですし、間違えてしまうと効果が無くなってしまいますからねぇ。もしこれまで呪術布を扱ったことがないなら、ご自分で作るのは面倒かも知れませんねぇ」
どうしましょう? と店員に聞かれてエメリヤンは考え込んだ。決まりそうにないかと見た店員は、型紙をエメリヤンに差し出しながら言った。
「良かったらこの型紙をお持ちになって、またいつかクロネコ通りに来る時まで考えておいて下さいな。これに使う布は定番でいつも置いてありますから。ええっと……ほら、この反物です。同じ布でしょう? お好みの長さに切り売り出来ますからねぇ」
店員からエメリヤンは型紙を受け取ると、軽く頭を下げて謝辞を示した。
「エメリヤン、この呪術布はどう?」
結和はその間に見つけた布をエメリヤンに見せた。大きめのバンダナに呪文や紋章、文様が刺繍してある。
「あらあらあら、お目が高いですねぇ。それは様々な守護を縫い取ってあるんです。きっとあなたを、あなたの大切な人を護ってくれますよ」
こちらには色違いが、と店員はちょこちょこ歩いていって、もう1枚守護の呪術布を出してきた。
エメリヤンが頷いて1枚を取ったのを見て、結和も色違いのものを購入する。
結和は自分の分の布を対角線で三角に折ると、長い方の辺からくるくると巻き上げた。小さな三角部分を残すとそれを後ろにして肩にかけ、さっき装飾品店で買った指輪をチーフリング代わりに通した。落ち着いた銀に緑の石がはまったこの指輪も、護りの力があると言われて購入したものだ。
結和が結び終わるのを待って、エメリヤンは自分の布を結和に近づけた。
「私が結ぶの?」
エメリヤンはいつも自分の毛で作ったマフラーをしているから、同じ巻き方とはいかない。ちょっと考えてから結和は布を太めに畳むと、エメリヤンの額に巻いてやった。
「ふふ、よく似合ってる」
「……結和も……」
「ありがと。さ、帰る時間が来る前にもう少しお店を見ていこっか」
仲良く店を出て行く2人を、おばあちゃん店員がにこにこと見送ってくれた。
空中から見ると、この通りが座った猫のような形なのが見て取れた。
輪にしたロープで猫の形を作ったようなラインの通りだ。
「クロネコ通りか。なるほどな」
納得したカルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)が通りに下りると、ルカルカ・ルー(るかるか・るー)はその間に買ったらしいハンバーガーにかぶりついていた。
「食べてみる? 美味しいよ♪」
あの店で売ってる、とルカルカが指さした店に掲げられた看板は『ニーズバーガー』。その下にある『必要な何かにあえるかも』の文字はいいけれど、その下にはでかでかと『材料は断じてお答えできません』と記されている。企業秘密だからなのか、それとも人には言えない材料を使っている為なのか。
その誘いは謹んで断ることにしたカルキノスだったが、ルカルカの食べたニーズバーガーの効果あってのことだろうか。一行はやがて、ひっそりと建つ『名前の無い店』という名の店に引き寄せられるように入っていった。
狭い店のように見えたが、中は広い。積み上がる箱、店内は迷路になっていて、天井にも扉がある。
「ちょっとそこの窓を開けてみなよ」
キンキンした声で呼びかけてくるのは、壁から生えた人形。見るたびに景色の変わる窓を開けてみるようにと勧められ、ルカルカが窓にかけた手をカルキノスが制する。
「宇宙の時に開けたら洒落にならないだろう」
それもそうかとルカルカが開けるのをやめると、壁生え人形は落胆した様子でだらんと壁から垂れ下がった。
そこを過ぎると不意にぽかりと開けた空間があり……店員らしき人が一行を迎えた。
「いらっしゃいませ」
店員のチョーカーにも値札がつけられている。彼女も売り物、ということなのだろう。
「魔法街では人身売買もするのか?」
ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)が言うと、店員は滅相もないと首を振る。
「わたくしは人ではなく人造人間ですから問題ありません。私をお買いあげ下さいますか?」
「いや。美人さん、あんたにゃこの街が似合う。この街の奴に買って貰ってくれ」
口には出さず、カルキノスは心の中でこう付け加える。
(それに……ダリルの方が高性能だし)
店員は何を考えているのかを覗かせないまま、失礼致しましたと頭を下げた。
「あそこにある箱も売り物?」
テーブルの上に布を敷いた上に鎮座している大きな箱をルカルカは指さした。
「そちらはミステリーボックスです。ただし売り物は箱ではなくその中身となっております」
そう言って店員は箱の横窓を示した。丸く穴が開けられているのだが、そこに目隠しがされている為、中を見ることは出来ない。
「まず代金をお支払いいただいた後、心を鎮め、この横窓から手を入れて最初に手に触れた品物を掴み出すのです。そうして箱から出たものが、引いた方の『自らを表す物』だと言われております。時折、箱より大きなものも出ますので、引く時にはご注意下さいませ」
「くじ引きみたいなものね。面白そうだからみんなでやってみようよ♪」
「ふむ。別に構わぬが、一体何が出るのだろうな」
夏侯 淵(かこう・えん)は箱と皆を見比べた。自分のも気になるが、仲間が何を引くのかも気になる。
「誰から引く? 公平にジャンケンしよっか。ジャンケン……」
ルカルカの声にあわせてに拳を作ったのは3人。1人だけジャンケンに加わる様子のないダリルに淵が聞く。
「御主はせんのか?」
「俺は……確認した上で購入する主義だから」
外で別の買い物をしてくる、と言い置いて、ダリルは店を出て行った。
自らを表すものが出るのだとすれば、ダリルは今はそれを引くことは出来ない。引けば恐らく……剣が出るだろうから。
(剣として古王国で戦ったことは誇りだ。だが……)
冤罪で封印されて以来の人間不信も皆と暮らすうちに緩和され、人としても生き始めた今……ここで剣を引いてしまったら、それが否定されるようで。
だから引かない、まだ引けない。
剣以外が出る自信が持てない今は。
ダリルが買い物に出て行った後、3人はジャンケンして引く順番を決めた。
「じゃ、俺からな」
一番手となったカルキノスが箱に手を入れると、ルカルカが歌い出した。
「何がでるかな♪ 何がでるかな♪」
「なんだその歌は?」
淵が怪訝な顔をすると、こういう時のお約束の歌だよん、とルカルカは笑った。
カルキノスが箱から取り出したのは、緋色と黒色の混ざり合った握り拳大の石だった。石の模様がまるでキャッツアイの如く、瞳が入っているように見える。
「竜に竜玉という訳か。洒落の通じる箱だな」
淵は箱を褒めるようにコンコンと叩いた後、箱に手を入れた
買い物から戻ってきたダリルが持っていたのはエンサイクロペディアだった。持つのは1冊だが、開いて現れる文字は全巻分の情報量だというそれを使って、皆がそれぞれ箱から出したものを鑑定する。
カルキノスの掴みだした石をダリルはこう鑑定した。
「これは守り石だ。深い思慮が働く助けになるという『深遠の瞳』」
「ただの石だが気に入ったぜ」
カルキノスはその石を大切そうに握りしめた。
淵の出したのは、取り外しできる六分儀を持った小さな指南車人形がついた羅針盤だった。風水的な文様も彫り込まれている。
「活版印刷と羅針盤とあと何かで三大発明って言うんだっけ?」
思い出せない、と首を傾げるルカルカにダリルが火薬だと教えた。
「だが何故パラミタで俺の国を連想させるものが出る?」
解せない様子の淵にカルキノスが笑った。
「お前が“そう”だからだな」
武具でないところが気に入った淵は、自室に飾ろうと羅針盤をしまい込む。
「ルカのはこれ♪」
ルカルカの手には一輪の鋼の薔薇があった。
なるほど、とダリルは思う。
(淵が方向を中立に示し、カルキが深謀遠慮と古の知識で裏付け、俺が現代の知識と分析で行動立案。そして旗頭はルカか……よく出来ているものだ)
視線をやると、ルカルカはほえ? と問いかける目を向けてくる。
「いや、何でもない」
出た物品の意味は告げず、ダリルは首を振った。
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