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第1回魔法勝負大会

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第1回魔法勝負大会

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7.第5回戦

 
 
「さあ、ついにベストエイトが出そろいました。では、その選手たちを確認してみましょう」
 
アルジャンヌ・クリスタリア     VS     デーゲンハルト・スペイデル
   ルルール・ルルルルル     VS     泉 美緒
        水橋エリス     VS     悠久ノカナタ
        相田なぶら     VS     ソア・ウェンボリス
 
「注目すべくは、イルミンスール魔法学校生徒だけが残るかと思われたこの大会で、上位に食い込んだ三人でしょうか。デーゲンハルト・スペイデル選手は蒼空学園、ルルール・ルルルルル選手は波羅蜜多実業、泉美緒選手は百合園女学院所属となっています。特に、泉美緒選手は新入生です。けしからんですね、実にけしからんたっゆん……げふんげふん。失礼いたしました。どちらかというと、有力選手の潰し合いが目立った今大会ですが、特にソア・ウェンボリス(そあ・うぇんぼりす)選手は注目に値します。なにしろ、ソア・ウェンボリス選手、なんとまだ一度も戦っていません。運だけで……あっ、ちょっと」
「そう、これこそが御主人の恐ろしい能力なのだ。ぱっと見は、凄い幸運の持ち主のように見える。だが逆だ。対戦相手は、恐ろしい不幸に見舞われるのだ。だから、戦う前に敵はすべて自滅していく。悪いことは言わない、今からでも対戦相手は棄権……、うおおっ!?」
「こばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば!!」
「失礼いたしました。ただいま乱入しました謎の白熊は小ババ百烈拳で成敗されましたので御安心ください。さて、だいぶ時間を無駄にしてしまいました。第五回戦、準々決勝を開始いたしましょう」
 
    ★    ★    ★
 
「第一試合は、アルジャンヌ・クリスタリア選手対、デーゲンハルト・スペイデル選手です」
「ここまで来たら優勝するよ。そうでないと、後で未沙に何をされるか……」
 アルジャンヌ・クリスタリアがブルンと身震いして言った。
「最強の魔術師を目指す者として、我はこの大会で大いなる一歩を踏み出す! 我こそはデーゲンハルト・スペイデル。その名前、心に刻み込むがいい」
 堂々とデーゲンハルト・スペイデルが名乗りをあげる。
「さあ、大胆な氷柱投げのアルジャンヌ・クリスタリア選手でしょうか。それとも基本を大切にするデーゲンハルト・スペイデル選手の信念が勝つのか。
 今、アルジャンヌ・クリスタリア選手が氷柱を投げました。上空から落ちてきた氷柱がバリアにあたって粉々に砕け散ります。アルジャンヌ・クリスタリア選手、見かけによらず豪快です。
 対するデーゲンハルト・スペイデル選手、飛び散る破片を吹き飛ばすかのように火球を飛ばした。
 ぐっと下に沈んだ火球が、猛スピードで上昇してきますが、これもバリアに防がれてしまいました。
 まずは探り合いといったところでしょうか。
 続いて、アルジャンヌ・クリスタリア選手、思い切り回転をつけて氷柱を投げます。武舞台の柱にぶつかった氷柱が、回転に従って下から上へと登っていきます。これは凄い。ああ、だが、またもやバリアに阻まれてしまいました。
 そこへ、デーゲンハルト・スペイデル選手の放った火球が、右からアルジャンヌ・クリスタリア選手に襲いかかります。ああっと、あたったあ。アルジャンヌ・クリスタリア選手、武舞台から吹っ飛ばされて下に落ちました。
 デーゲンハルト・スペイデル選書の勝利です。
 すっぽんぽんにされたアルジャンヌ・クリスタリア選手が、今、救護室の方へと流されていきます。さようなら、アルジャンヌ・クリスタリア選手!」
 
    ★    ★    ★
 
「さあ、第二試合は、注目のルルール・ルルルルル選手と泉美緒選手の戦いとなります。なお、泉美緒選手は魔鎧であるラナ・リゼット選手を身につけていますので、二人で一人という扱いになっています。
 ルルール・ルルルルル選手、お得意の複合魔法で太極図を空中に描きだしました。凍てつく炎の応用のようですが、これは珍しい使い方です。そこに杖を突き刺して、魔法の発動とブーストと安定化を一度にするのだと本人は説明しております。
 対する泉美緒選手はもともとメイドですので、魔法が使えません。光の精の指輪での参加となります。それでこひこまでのし上がってきたというのも凄いです。
 さあ、初手はルルール・ルルルルル選手が左、泉美緒選手が上を狙ってきましたが、これはバリアに弾かれてしまいました。
 さすがに準々決勝ともなると、一撃で撃破というのは少なくなったようです。拮抗した戦いが続きます。
 ルルール・ルルルルル選手の炎と冷気の絡み合った流れが、正面突破を図りますが、さすがにこれは防がれてしまいました。
 その間に、光の聖霊さんが背後に回ってルルール・ルルルルル選手をやっつけようとしますが、バリアを越えることができません。
 さあ、ルルール・ルルルルル選手、今度は右側からいきます。残念これもだめだ。
 あっ、その間に、光の精さんが下からバリアの中に潜り込みました。これはまずい。ルルール・ルルルルル選手、今、光の精さんと目が合いました。ああ、ノックアウトです。ルルール・ルルルルル選手、光の精さんの強力なアッパーカットを食らって武舞台から突き落とされました。
 勝者、泉美緒選手です」
「ああ、このままスライムに落ちてぬとぬと全裸なのね……。よっしゃあ、バッチこーい! スライムと絡む私のエロエロで(ピー)な艶姿で、会場の初心な子たちを魅了しちゃう……あれ!?」
 思いっきり邪なことを考えて自らスライムの海に没しようとしていたルルール・ルルルルルだったが、ふいにその身体が浮きあがった。
「……って鳥!? 久の剛雁? ちょ! いいとこなのに邪魔しないでよバカー!!」
 ルルール・ルルルルルが暴れようとするが、両腕のところを剛雁にしっかりと押さえられて逃げることができない。そのまま夢野久の前へと連れてこられた。
「まったく。邪魔しないでいられるか。こんな大勢の目の前で変なことされたら、俺の方が恥ずかしいわ。負けたんならとっとと帰るぞ」
「にゅ〜」
 襟首のところを猫のようにつかまれたまま引きずられて、ルルール・ルルルルルが退場していった。