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リアクション
2.まるで、百々目鬼よのう
樹月 刀真(きづき・とうま)の前には、兵士が四人で道を塞いでいた。
てっきり、人数を生かして壁を作るものだと思っていたが、敵軍は小隊を作って個別に攻めて来ているようだ。不可解な方法だ。
「敵は殺します、そう決めてます………だから退け、死ぬぞ」
「ここは戦場だ。何を馬鹿な事を!」
「警告はしました………行くぞ」
敵は体が隠れるほどの大きな盾を持った者が二人、槍を持った者が一人、剣を持ったものが一人。鎧は全員軽装だ。盾さえ抜けば、あとは容易いと刀真は読んだ。
大剣では盾の隙間を狙う繊細な動作は難しい、一気に距離を詰めながら敵に見えるように剣を落とし、動揺を誘いつつ光条兵器『黒の剣』で盾ごと一人を切り伏せる。返す刀で、咄嗟の事態を理解できていないもう一つの盾持ちも仕留める。
ここで、剣を持ったものは突っ込んできた。受けるまでもなく、さきほど剣を落とした場所まで飛びのく―――
「もらったぁっ!」
声が聞こえたのは、頭上だ。空中から、槍をこちらに向かって突き出してくる。避ける間はなく、受けるのも難しいだろう。しかし、槍を持った兵士は空中で吹き飛び、槍も手から離れて砂地に不恰好に墜落した。
「貴方たちが刀真を阻むのは無理、私がいるもの」
第一陣が戦う砂地の遥か後方、城壁の上にて漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)は機晶スナイパーライフルを構えていた。ここから、刀真の姿がよく見える。その行く道を阻む敵もはっきりと見える。
刀真は、こちらを一瞥することなく、残った一人を切り伏せると、そのまま前へ前へと進んでいく。誰よりも早く、一番前を走り、道を開く約束を果たさなければいけないのだ。
「邪魔する人は………私が撃つ!」
「………下がってください、行きます!」
緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)の声を聞き、霧雨 透乃(きりさめ・とうの)は敵から少し距離を取った。すぐにファイアストームが盾を持った兵に襲い掛かる。盾だけで防ぎきれず、まとわりついた炎によってまもなく盾を持った兵士は倒れた。
一人、槍を持った兵が範囲の外に残っていたが、月美 芽美(つきみ・めいみ)がそれを見逃すことはなく、一撃でもって落とす。顔についた返り血を、鬱陶しそうに拭う。
「やれやれ、これだけやっても私達を素通りするんだね」
敵兵はすぐ近くで味方の小隊が戦っていても、それを見ずに砦の方へと向かっていく。今も、手の届かない距離の敵兵は仲間が倒れていくのに表情一つ変えずに走り去っていっている。
おかげで、勢いよく前に出たこちらの部隊が、孤立しはじめている。透乃達三人も、そんな孤立組みの一つだ。邪魔をする敵は倒して進んできたが、敵の一陣はもうほとんど彼女達の後ろに行ってしまった。
「引き返す? それとも進む?」
芽美が尋ねる。そもそも彼女は戦況には興味が無く、戦えればそれでいいと考えているのでどちらでも構わないといった様子だ。
味方の事を考えれば、引き返す方だろうか。敵も兵力をほとんど削られないまま砦に取り付こうとしているし、獲物の数は戻っても減りはしないだろう。そう言おうとした、透乃のすぐ近くに、矢が着弾する。
目を凝らすと、距離をかなりとった先で、敵の部隊と思われるものが並んで弓を構えている。ここから矢を番えているのが見えた、つまりもう一発目は放った後だ。
咄嗟に、透乃は陽子の前に立ち、矢の盾となった。
「透乃ちゃん、血がっ………」
「大丈夫だよ、こんなのかすり傷だね」
「それで、どうする?」
芽美がもう一度尋ねる。
「先へ進みましょう、御礼をしてあげなくっちゃだしね」
「あー、もうっ!」
ソーマ・クォックス(そーま・くぉっくす)は銃のマガジンを交換しながら、頬を膨らませていた。
小隊の前に立つ、大きな盾を持った兵士が射線を完全に塞ぐので、銃弾が敵にうまく当ってくれないのだ。
「マスター、なんとかしてよ!」
「確かにちょっと、なんていうか、めんどくさいな」
盾で道を塞ぎ、剣で動きを止め、槍で貫く。単純に言えば、それだけの戦法だ。椿 椎名(つばき・しいな)もあまり思い通りに戦わせてもらえないでいた。
「徹底的に、一対小隊にしたいみたいだわ」
椿 アイン(つばき・あいん)は前に出る二人と違い、後ろから敵を狙撃しているため敵の動きは二人よりもよく見えていた。
「それに、指揮している人も見当たらない」
「一人一殺じゃなくて、四人一殺ってわけだな。オレたちはそんだけ高く見積もられてるってことか」
「たぶん、そう」
数で相手をすり潰すではなく、危険な敵を一つ一つ摘み取っていく。非効率的にも程があるうえに、現状ではまだ小隊がその本懐を遂げたところは見当たらない。
しかし、時間の問題かもしれない。戦ってみて、小隊一つの行動は単純だが、だからこそ厄介だった。倒せない敵ではないが、予想よりも消耗が大きい。このまま消耗させられ続ければ、息切れし始める人も居るだろう。
「質より量か、それとも量より質かってとこだな。だったら、どんなに積んでも超えられないもんがあるってことを、見せてやるよ!」
「はぁぁぁぁっ!」
フィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)の一閃が、敵兵を打ち倒す。しかし、すぐまた新しい盾が前を塞いでいた。
「次から次へと、近づかれすぎですぅ」
メイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)達は正門の近い場所に居たのだが、前線を押し上げているはずの部隊が素通りされ、彼女達のところにかなりの敵が寄ってきていた。
「前を進んだ人達は、奥の敵に捕まっちゃってるみたいだね」
セシリア・ライト(せしりあ・らいと)の言葉通り、最前線を保つはずの部隊は敵の一陣を突き抜けてしまい、二陣の敵によって足止めを食らっているようだ。そのため、後方の部隊もこうして足止めを食らう形になっている。
小隊一つ一つも厄介で、特に銃を持った部隊は盾を抜けずに苦戦を強いられている。できればそちらの援護に行きたいのだが、こちらはこちらで敵の小隊が休む間を与えてくれない。
「無理やり時間を引き延ばされている気分ですね」
ステラ・クリフトン(すてら・くりふとん)がそうもらしつつも、次の小隊を待ち受ける。
盾さえ倒せればどうとでもなるのだが、その盾がとにかく硬いのだ。盾で対応できないとみるや、体すら盾にして後ろの剣と槍への道を塞いでくる。かといって、盾にあまり集中しすぎると、槍や剣がいつの間にか間合いを詰めてくる。
「指揮官を置かず、小隊を用いたこのような戦法を取ってくるなんて思いもよりませんでしたわ。連携も見事なものですわ。一日やそこらできるものとは思えませんが、先日の戦いを見てこのような戦法に至ったのでしょう。それでも、わたくし達はあなた方をここで止めさせていただきます」
「僕たちだって、力を合わせて戦うよ!」
「できるだけ時間をかけずに、なんて言ってられる状況でもないみたいですね。私も本気を出させてもらいます」
「私達も負けるわけにはいかないんですぅ〜」
「ウーダイオス様、至急お耳に入れたい情報が!」
本陣を引き払っている最中のウーダイオスの元に、兵士が一人駆け寄ってくる。
慌てた様子の兵士をウーダイオスが一瞥する間もなく、ルブルがその兵士に駆け寄って切りかかった。
「っと、危ないねぇ。ほんとの仲間だったらどうするんだっての」
棗 絃弥(なつめ・げんや)は咄嗟に剣を抜いて、ルブルの一撃を受け止める。兵士に扮して敵地の奥まで進んできたのだが、怪しまれる可能性はあったにせよいきなり切りかかられるのは想定外だ。
「この戦場で敵に背を向けるような者など、例え仲間であっても切る」
「おー怖い、ったく、どんな教育を受けてきたんだかっ!」
剣を払い、鬱陶しい兜を脱ぎ捨て、絃弥は武器を構えなおす。
「ふん、小賢しい真似だ」
「いい手だと思ったんだけどな、実際ここまで安全に来れたんだぞ」
「貴様も騎士であるならば、正々堂々正面から戦えばいい。それができないのは、貴様には腕も自信も無いからだ。貴様のような姑息な奴は、ここで切り捨てる」
「そうだろうなって思ってはいたが、騎士様はめんどくさい性格をしいらっしゃるようだ。世の中、正々堂々であるよりも勝って生き残る方がずっと大事だぜ? ま、言ってわかってもらえるとは思っちゃいないがな」
「好きに言うがいい、どうせここで貴様は死に敗者となるのだ!」
いまいち会話がかみ合わないまま、ルブルが切りかかってくる。先ほど受けた時に思ったが、この女の剣は思った以上に軽い。剣そのものも細く軽いのだろうが、それ以上に不自然なほど軽いのだ。
剣が軽いという事は、それだけ脆いはずだ。一撃が軽いのも、腕の力が無いからだろう。なら、真正面から受けて力で押し切れるはずだ。そう考え、絃弥は正面からその剣を受けようとした。
「っ………っとと、なんだ今のは」
受けようと思った剣が、いきなり不可思議な軌道を描き、絃弥の剣をすり抜けてきたのだ。意識するよりも体が反応して、心臓辺りを狙った突きは肩で受けたが―――今のは何だったのか一度では見切れなかった。
「よくぞかわして見せた。しかし二度は無い!」
ルブルは考える暇を与えてくれずに、さらに踏み込んでくる。頭を切り替え、大きく攻撃を避けながら、動きを見切る事に集中する。おおよそだが先ほどの動きの理由を掴むことができた。
「なるほど………その剣が曲者ってことか」
「ほう、やるではないか。ただの卑怯者ではないようだな。よくぞこの剣、フェザーの特性を見抜いた」
「羽のように軽い剣ってわけか。そりゃ、あんな無茶な使い方もできるってわけだ」
剣という武器は、大なり小なり金属の刃と重みを持って相手を切りつける。重さは剣には必要な要素だ。故に、変則的な剣の動きをしようとすれば腕に余計な負荷がかかり、最悪自分の身を壊すことになる。剣を習得するために、同じ動作を繰り返すのは無理の無い動きを体で覚える意味もあるのだ。
しかし、このルブルはそんな定石を無視して剣を振る。剣を振っている最中に手首を返すなど本来はありえない動きだが、羽のように軽いという彼女の剣がそれを可能にしている。重さが無ければ威力は下がるはずだが、カナンは技術より魔法に重きを置いており、あの剣もそういった産物なのかもしれない。
「剣を知れば知るほど、この剣の動きは捉えられまい」
「なるほど、確かに厄介だ………が、ところでお姉ちゃん、姑息な俺が何の策も持たずに一人でここまで来ると思ってるのか?」
「なん………だと………?」
「今だっ!」
絃弥が声を張り上げる。ルブルは咄嗟に周囲に視線を走らせたが、何も変化があったようには見えなかった。すぐに視線を正面に戻すと、そこに居たはずの絃弥の姿が見当たらない。
「逃げたか………、だが私の剣でついた傷は浅くはあるまい」
ルブルは剣を収めると、思わぬ間に随分と距離が離れてしまったウーダイオスの元へ戻っていった。その姿を見届けて、隠れていた絃弥はふぅと息を吐く。
「案外すんなりと下がってくれたな。しかし、この傷痛みはそうでもないがさっきから血が止まらねぇ。正々堂々とか言うわりには、随分と姑息な武器を使ってくれちゃって……とにかく、止血しとくか」
「っと、やれやれ、突破しようとする奴は抜かせてやれとは言ったが………こうも足が速いとなぁ。こっちも予定っつーもんがあるんだが」
「あんさんの予定なんか関係あらへん」
「あなたを倒せば、半数以上の兵の動きを止められます」
大久保 泰輔(おおくぼ・たいすけ)とレイチェル・ロートランド(れいちぇる・ろーとらんと)がウーダイオスの前に立ちふさがっていた。先ほどまで一緒に居たルブルは、絃弥を追って今は遠く離れている。狙い時というのがあれば、それは今で間違い無いだろう。
「どれ、あんたらはお話に来たってわけでもなさそうだ。少し遊んでやるかね。つっても、こちとらまだ色々と忙しい身でね。割ける時間はほんのちょっとだぞ?」
ウーダイオスが剣を抜く。
「大丈夫や、こっちも時間を割く気はあらへん。一手で王手や」
泰輔とレイチェルが間合いを一気に詰める。レイチェルが武器と武器とで打ち合い、その瞬間を見て泰輔が讃岐院 顕仁(さぬきいん・あきひと)を召還、死角から一瞬で右腕を落としにかかる。
「そなたの右腕、貰い受ける!」
「そうはさせぬっ!」
声と共に、短剣が顕仁に向かって飛んでくる。
「ちぃっ!」
このまま腕に狙いを定めたまま攻撃すれば、腕を切り落とすこともできただろう。しかし、短刀をさけるのと攻撃をするのを両立しようとした結果、刃は中途半端な一撃を入れたに過ぎず、腕を切り落とすまでは届かなかった。短刀はそのまま飛び去っていく。
「ウーダイオス様!」
短刀を投げたルブルが駆け寄り、顕仁へと切りかかる。嫌な予感がした顕仁は攻撃を受けずに距離を取った。
「あかんな、思ったよりあの兄ちゃん時間を稼いでくれへんかったか。しゃーないな、いくで」
「結局こうなるんですね」
フランツ・シューベルト(ふらんつ・しゅーべると)はやれやれといったようすで、戦いに加わっていった。これでも四対ニで、泰輔達の方がまだ有利がついている。
「きゃっ」
レイチェルが押し負ける。片腕のくせによくやると思いつつ、泰輔が間に入って追撃を防ぐ。フランツもマシンピストルで援護を行う。
「あんたさっき俺の首じゃなく、腕を落とそうとしたな。どういう了見だ?」
「あんさんは厄介そうやらかな、腕も足も全部落としておいた方が安全やろ?」
「ほう、面白い案だな。そういう容赦の無い奴は好きだぞ」
「あんさんに好かれても嬉しくないな」
「そう言うなって、せっかくだ。あんたらには、俺のとっておきで相手をしてやろう」
「ウーダイオス様、こんなところでアレを使ってしまわれるのですか」
「俺は今が使いどころだと思うがね。こいつらは前回見なかったが、相当厄介なタイプだ。それに、こうも抜けてくる奴が多けりゃ、どのみち出し惜しみなんてしてられんだろ」
「なんやこそこそと面白ないな」
泰輔はそう口にしながらも、妙な気配を感じとっていた。何かが目には見えないが動いている、そんな気配だ。
「さて、人に見せるのはこれが初めてだ。できれば、いい反応を期待したいところだな」
その気配はどうやら砂の中にあったらしい。突然、砂の中から腕が飛び出し、泰輔に向かって襲い掛かってくる。手だけで人の胴体はありそうな巨大なものだ。受けるより避けた方が無難と、距離を取った。
攻撃が空を切った腕は、砂地に手を置きその体を砂の中から引き上げる。先日のドウフと呼ばれた鎧の奴も大男だったが、こちらはさらに上を行く大男だ。いや、シルエットは人間に近いが鎧を身に纏ってはおらず、全身が赤黒い肉のようなもので覆われ、全身に目がついている。
「まるで、百々目鬼よのう」
その姿を見た顕仁がそう零す。
「砦の中で暴れまわった二体の鎧の大男の話は聞いていましたが、中身がこんな化け物だったとは」
「気持ち悪いですね」
フランツとレイチェルもその異様な姿に少し驚いているようだ。
「前のは頭を落とされて、目が死んで使い物にならなくなったからな。今度は目を大量につけてある。腕も足も頭も、どこが落ちてもこいつは相手を見失わない。うってつけだろう?」
「なんや嫌味な奴やな、しかも逃げる気かいな」
「言ったろう。こっちは予定が詰ってるんだ。もっと遊んで欲しかったら、そいつを片付けてからにするんだな。そしたら、また遊んでやるよ。できれば、だけどな」
化け物を盾にウーダイオスが逃走する。さすがに全身に目があるだけあって、このモンスターの隙をつくのは難しいだろう。ものすごく不本意だが、こいつを片付けないとウーダイオスを追うことはできないようだ。
「しゃーないな。まずは化け物退治や」
ドラセナ砦の城壁の上、バリスタを並べた先にはおおよそ二十騎ほどのワイバーンの姿が確認できていた。しかし、彼らは中々近づこうとはせず、射程距離を測っているかのように前進と後退を繰り返している。
「あー、うっとうしい。さっさと攻めてこいっつーんだ。そしたら撃ち落してやるってのによ」
発射体勢を維持しながら、アンゲロ・ザルーガ(あんげろ・ざるーが)がぼやく。構造上バリスタは一度放つと、次弾の装填に時間がかかってしまう。せめてもう少しひきつけないと、よく訓練をこなした騎兵には弾を見て避けられてしまうだろう。
「こちらの航空部隊を貼り付けにしたいのだろうか………あの数でこちらを抑えられるとしたら、それは確かに効率的ではあるのだが」
いぶかしげに、距離を詰めようとしない敵の様子にケーニッヒ・ファウスト(けーにっひ・ふぁうすと)が腕を組む。全体の数からして、二十という数字はものの数にも入らないだろう。それで、こちらの動きを牽制できるとすれば十分意義はあるはずだ。
「………来ました!」
「やっとか! で、どう来る? やっぱり低空飛行で一気に詰め寄る気か?」
神矢 美悠(かみや・みゆう)の報告に、アンゲロが歓喜の声をあげた。
「来ているのは一人だけよ。あれは………先日、車を押していた奴ね」
「一騎駆け? ちょっと調子に乗りすぎじゃないの、いくらなんでも一人でこの対空砲火を抜けれるなんて………」
天津 麻衣(あまつ・まい)が不満を滲ませながら言う。ケーニッヒも同感だ。しかも、バリスタの有効射程範囲から逃れようとせず、むしろ絶好の高度でこちらに向かってきている。
「どうするよ。ありゃ恐らく囮だぞ?」
「もしくは絶対の自信があるか、だろうな………どちらにせよ、連射できないこちらの武器を理解して、無駄弾を撃たせたいのだろう。なら、通してやろう。悠々と通り過ぎていくのを見逃すのは不満が残るが、厄介な使い手であったとしても一人だ。こちらの航空戦力を食い破るなど不可能だろう」
「あいよ、わかった。俺達はあとから来る奴らが本命ってわけだな」
「………来た、本命の方よ! こっちはちゃんと、こっちの対空砲撃を意識してるみたいね」
「よっしゃ、こちとらだいぶ我慢してたんだ。あんまりにも不甲斐ないと怒っちまうぞ」
「だからって、バリスタは壊さないでよね」
「よし、奴らをこの砦に取り付けるな。低空から近づいて射線を逃れようとするのは、俺が直接出向いて落とす。行くぞ!」
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