リアクション
「お前が竜胆丸か」
床に臥せりながら、重宗は竜胆に話しかけた。重態とはいえ、まだ意識はしっかりしているようだ。
「はい。お父上様。お会いできて嬉しゅうございます」
竜胆はそう言うと、父の手を持ち恭しく額に掲げる。こうして会うまでは、少しの愛着も持たなかった実父だったが、いざこうして対面すると、懐かしくて温かい気持ちがとめどなく溢れ出してくるのを感じる。
竜胆の頬を熱いものが伝って行った。
「泣いてくれるか?」
重宗は言った。
「幼い時に捨ててしまったむごい父を許してくれるのか……」
そういう重宗の頬も、また、濡れていた。
こうして、無事に親子の対面はすませた。けれど、竜胆はまだ竜胆のままだ。
日下部家を継ぐ前に、まだやるべき事があるような気がするからだ。それは、刹那との対決と、もう一つ、できうる事なら行方不明になったという双子の兄藤麻の消息をつかむ事である。
そんな矢先、葦原城下にて奇妙な事件が起きる事になるのだが、それは、また改めて……。
こんにちは。シナリオに参加して下さった方々、また最後まで読んでくださった方々。ありがとうございます。
今回は自分の趣味の忍者物という事で、かなり楽しく書けました。竜胆はずっと悩みっぱなしでしたが、皆さんのおかげで、かなり吹っ切れたようです。
男らしくなりたくて悩んでいた竜胆ですが、思いのほか『そのままでいい』とおっしゃる方が多くて驚きました。男らしさとは、外面の乱暴さではなくて内面の強さだと。う?ん。確かに男らしさって見かけだけの事じゃないのかもしれないですね……なんか、色々考えさせられました。
竜胆が男っぽくなるか、今のまま男の娘で通すかは、これからのシナリオ次第です。もし、よろしければ、次回もおつき合い下さいませ。