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とりかえばや男の娘

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3章 蠢く闇の力

「何だ、あの野郎は不気味な男だな」
 六角道元に付き従いつつ、一人の忍びが隣の同輩に言う。
 その視線の先には馬に乗ったマホロバ人青年がいた。長い黒髪を無造作にたらし、華美な衣装をまとっている。その痩せた顔は、病的だが美しい。しかし、あきらかに妖気が漂っていた。
「しっ! あれは刹那殿直属の配下の方だ」
「ってことは、邪鬼の仲間か?」
「そうだ。あの後ろに付き従っている連中もな」
 男の後ろには、数名の美貌の若武者が付き従っている。これらも同じように妖気を漂わせていた。
「なんで、そんな連中が仲間に?」
「手始めに、例の三男坊を殺すためらしいぜ」

「大変だ……」
 梢の上でルカルカはつぶやいた。あの後、見えない何かの気配をなんとか辿って、この六角一味の元へとたどり着いたのだ。竜胆の小太刀を取り戻す事が目的だったが、それ以上に重大な事を知ってしまった。
「早く皆に知らせないと……」
 ルカルカは六角達に気取られぬよう、マントに身を包み空を飛んで行った。