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リアクション
「離して下さい!」
竜胆はミーナに向かって叫んだ。
「私も戦わねば……!」
「ダメです」
ミーナが首を振った。
「実戦経験もない竜胆さんの叶う相手ではありません。殺されてしまいますよ」
「そうだよ」
ミーナのパートナー長原 淳二(ながはら・じゅんじ)がうなずく。
「ここは俺たちにまかせて、竜胆さんは敵に見つからないよう隠れていて下さい!」
そう言うと、淳二は茂みから外に飛び出した。ミーナは竜胆を守るため、その場に残る事にする。
茂みから飛び出すと、淳二はブライトグラディウスを手に、忍び達に向かってアルティマ・トゥーレを撃った。武器から冷気を放たれ、忍び達が凍り付く。その隙を狙い、今度は雷術を撃つ。稲光が走り、敵一体に電雷属性の魔法ダメージ!
「やりますね。淳二!」
茂みの影から見守り、ミーナがつぶやく。その前には竜胆がうずくまっていた。その竜胆に向かい、一人の忍びが遅いかかってくる。ミーナはめざとくそれを見つけると、【バニッシュ】を展開。神聖な光がほとばしり、忍者の体を貫く。
「危なかったです……」
額をぬぐってつぶやくニーナ。と、竜胆が言った。
「私は、情けない」
「え?」
「私が……私の存在が、あんなに良くしてくれた村人や養父母、それにあなた達までこんな危険な目にあわせているというのに、私はこんなにも非力だ」
「そんな風に、自分を責めてはいけません」
「責めずにいられるでしょうか? 自分の愛する人達も守れず、何が男らしさか……!」
「竜胆さん、聞いて下さい。実は、私はとある魔物に両親と初恋の人を殺された事があるんです」
「え?」
「だから、竜胆さんの苦しい気持ちはよく分かるんです。でも、ここで竜胆さんが命を落としたら、竜胆さんを育ててくれたお父さんやお母さんは、もっと苦しむ事になるんじゃないでしょうか? 愛する人が死んでしまうほど辛い事はありません」
「……」
そこに、リアトリス・ブルーウォーター(りあとりす・ぶるーうぉーたー)がやって来た。
「ああ! 竜胆さん。こんなところに居たんだ。無事で良かった。さあ、逃げよう」
「逃げる?」
「ああ、十兵衛さんの言いつけでね。ここは、皆にまかせて、竜胆さんは敵の目につかないところに逃がせって」
「うん。その方がいいですね」
ニーナがうなずく。何しろ、ここは既に混戦状態なのだ。
「ここは、私が護ります。あなたは竜胆さんを連れて逃げて下さい」
「でも……私一人だけ逃げるなんて……」
「大丈夫、大丈夫。私だって、頑張れるんだから!!」
「でも…」
竜胆が言いかけた時……
「やっほー! リュンリュン!」
やけに明るい声とともにカレンデュラ・シュタイン(かれんでゅら・しゅたいん)が現れた。どうやら、リュンリュンとは竜胆のことらしい。
「かわいいオトメンちゃんを護るんなら! 俺はりきっちゃうぜ! さあ、行こうぜ! リュンリュン!」
そういうと、カレンデュラは遠慮なく竜胆の手を引き走りはじめた。その勢いにつられて、竜胆も思わず走り出す。そして、しばらく行くと今までの戦闘が嘘のように、辺りが静かになってきた。
「ここまで来れば大丈夫だよね」
リアトリスが汗を拭いながら後ろを振り向く。
「だな」
カレンデュラがうなずいた。そして、竜胆に話しかける。
「リュンリュンは男らしくなりたいんだって?」
「え? はい」
「そっかー、リュンリュン(竜胆)は今でもいいとおもうんだけどなぁ〜」
「え?」
竜胆は思わず顔を赤らめる。
「ちょっと、こんな時にナンパしてるんじゃないよ」
リアトリスは、警戒を緩めずに言う。その姿は、超感覚により大きな犬耳と1mある犬の尻尾が生えており、右目はドラゴンアーツで龍の瞳になっている。
「まーた、そんなカッコで警戒して。ここまでくれば大丈……」
カレンデュラが言いかけた時
「来た!」
リアトリスが叫んで、上を見た。
崖の上から、忍者達が駆け下りてくるのが見える。しかも、かなりのキツい傾斜の崖を……
「ちっ! あんなところから降りてくるか? フツー」
カレンデュラは舌打ちすると、パッフェルカスタムを構えた。忍者達は崖の途中から次々と地を蹴り滑空してこちらに向かってくる。そして、手裏剣を投げて来た。
「氷術!」
リアトリスが手をかざし叫ぶ。リアトリスの手から氷がほとばしり、竜胆の目の前に一瞬氷の壁ができ、その壁に弾かれ手裏剣が落ちて行く。
「やるじゃん……」
カレンデュラは言うと、カスタムガンでライトニングウェポンを使用ぶっ放す。稲妻を帯びた弾がほとばしり、忍者達が次々に倒れて行く。
「どお? 俺ってすげえだろう?」
カレンデュラは竜胆に向かって、ウィンクを投げた。
ポカンとする竜胆、しかし次の瞬間
「危ない! 上」
と、叫んだ。
カレンデュラの頭上から忍者が刃を振りかざす。
「……!」
カレンデュラは素早くそれを察知すると、華麗に一回転。そのついでに片足で忍びの手を蹴り上げる。
「うわ!」
忍びが声を上げて刀を離す。刀はヒュルヒュルと飛んでカレンデュラの手の中へ。
そして、カレンデュラは見事にポーズを決める。最後に、再び竜胆にアピール。
「かっこいいだろう?」
「……」
「もう、マジメにやれってば!」
リアトリスは叫ぶと、ファルシオンを片手にフラメンコを踊りだした。踊りながら敵の攻撃をかわして行く。そして【即天去私】を唱えた。ファルシオンから聖なる光がほとばしり、次々に敵が倒れて行く。
しかし……
「ああ!」
竜胆が叫んだ。
前方から、忍び達が集団で駆けてくるのが見えたからだ。
「ちくしょう。また来たぜ。一体、何人いるんだ?」
カレンデュラが舌打ちした時……
どこからか、オカリナの音が……
そして、黒髪を頭の横で一本にまとめた少女が現れた。
銀星 七緒(ぎんせい・ななお)だ。
「何者だ?」
忍者の問いかけに七緒は答えた。
「通りすがりの…退魔師。」
「はあ?」
「加勢、させてもらう…。」
「つまり、敵という事だな?」
忍びは答えると、七緒に向かって襲いかかって行った。
七緒は素手のまま、目を閉じて古武術の構えを取る。闇の中、忍び達の気配を四方に感じる。やがて……
「そこだ!」
超感覚で相手の居場所を掴み、先の先発動。一気に相手に詰め寄り、連続で手刀や正拳を繰り出す。そして
「バイタルオーラ!」
七緒が叫ぶと同時に、手から光の弾があふれてくる。あふれきるまで掌に集めると、敵に向かって掌打で叩き込んだ。
「ぐ……ぐはあ!」
忍びの体が吹っ飛ぶ。
「生意気な!」
他の忍び達が次々に七緒に襲いかかっていく。
そこに、パーミリア・キュラドーラ(ぱーみりあ・きゅらどーら)が飛び込んで来た。
「助太刀するわよ!」
「何だ、このチビ!」
忍者達が小馬鹿にしたように笑う。
「チビって言うなあ! 忍者だか人参だか知らないけど、来るなら来なさいよ……あんた達なんか消炭にしてやるんだからっ!!」
そして、バーミリアは、処刑人の剣を構える。しかし、その巨大な剣は、小柄なバーミリアにはどう見ても不釣り合いだ。よたよた歩くバーミリアの姿を見て。再び忍者達の間に失笑の声が漏れる。
「バカにしないでよ!」
バーミリアは、真っ赤な顔で怒鳴ると、自分の身長より大きな魔剣をぎこちなく振り回しはじめた。
「嬢ちゃん、そんなもの振り回しちゃいけないよ」
一人の忍者がそう言いながら、パーミリアの背後に回って、刃を振りかざした。
木の上から、この有様をみていたロンド・タイガーフリークス(ろんど・たいがーふりーくす)はつぶやいた。
「おっと、おチビちゃんがなんだか危なっかしいねぇ」
そして、ひらりと着地すると、パーミリアにトドメ刺そうとしてる忍者の後ろに回り、その肩をちょんちょん、と叩く。
「おじさん、おじさん」
すると、忍者が振り返って答える。
「だれがおじさんだ。俺は、お兄さんだぞ」
「あーら、それは失礼」
ロンドは、満面の笑みで答えると、左腕で忍者を力一杯殴り飛ばした。
「あ……あがががが……」
忍者が吹き飛ばされて白目を剥いてピクピクとなる。
「ロンド!」
パーミリアが振り向いた。
「大変そうだねぇおチビちゃん、手ぇ貸そうか?」
「べ、別に助けてくれなくったって、一人で出来たんだからっ!」
「まぁまぁ、そう言わないでさ…仲良くしようさね♪」
「…しょ、しょうがないわね…でも、足引っ張らないでよねっ!!」
「あいよ、おチビちゃん」
「チビチビ言うなぁっ!!」
言いつつ、二人は共闘して忍者と戦いはじめた。
その二人のやや前方では絹織 甲斐子(きぬおり・かいこ)がミラージュで自分の幻影を作り出し敵を攪乱していた。
「……どうやら、分身の術は貴方達の専売特許じゃないみたいよ?」
妖艶な笑みをたたえながら最古の銃で敵を踊らせている。
そして、自分に向けて投げられる手裏剣やクナイをサイコキネシスで投げ返す。
「流石の忍者も、念力までは使えないようね……さて、これで、とどめといきましょうか」
甲斐子はつぶやくと、両肘からバイオ・シュレッダーを生やしレビテートで地面を滑る様に移動しながら、忍び達を居合いの如く一閃。次々に倒して行った。
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