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第一章 キッチンの ほうそくが みだれる! 5

「……ええと、何と言うか、その……」
 メイン司会者として何かしゃべらなきゃ、と思いつつも、ちょうどいい言葉を見つけられない泪。
 そんな彼女に、川添シェフは微笑みを浮かべたままこう言った。
「そろそろ予選開始ですよね。どんな料理が勝ち上がってくるのか、実に楽しみだ」
 しかし、その笑顔の奥で、川添シェフもまた戦慄していた。
「終局のメニュー」、すなわち、世界一マズい料理。
 この番組が作り出そうとしているソレが、今まで彼が地球で口にしたことのあるどんなマズい料理をも遥かに超越しているであろうことは、すでに火を見るより明らかだった。
(あれを口にして、本当に「川添スマイル」が戻るのか? いや、それ以前に、僕は「川添シェフ」のままでいられるのか……?)
 そんな彼に、ぱいんちゃんは厳しくも温かい視線を送るのであった。
(これも試練じゃ。お前なら乗り越えられる)