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アラン少年の千夜一夜物語

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アラン少年の千夜一夜物語

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 アランの元にやってきた最後の人物は赤いモヒカンヴェルデ・グラント(う゛ぇるで・ぐらんと)とそのパートナーエリザロッテ・フィアーネ(えりざろって・ふぃあーね)だ。
「そなたらでもう最後か……」
「なんだ寂しいのか?」
 ヴェルデはアランの頭をぐりぐりと撫でまわす。
「そんな事はない! さ、寂しくなんかないぞ!」
「ほほう……じゃあ、俺たちは帰るかな」
「う……あ……う……」
 アランはヴェルデの服の裾を掴もうとするが、途中で辞めて手を開いたり閉じたりして紛らわす。
「あなたって人は……こんな小さな子をいじめないの」
 見かねたエリザロッテがヴェルデを注意する。
「だって、おもしれーじゃん」
 エリザロッテはその言葉を聞くとため息をついて、アランのぐしゃぐしゃになってしまった髪の毛をやさしく戻してあげる。
「もう……。ごめんね。大丈夫よ。悪い人じゃないから、ちゃんと話をしてくれるわ」
「本当か……?」
 アランはうるうるとヴェルデを見つめる。
「ああ、すまんな。つい出来心だ。ちゃんと話してやるって。しかもとっておきを……な」
「なんと!! 早く! 早く聞かせるのじゃ!!」
「わーったって」
 ヴェルデはドッカと椅子に座ると話を始めた。


『千夜一夜物語inパラミタ』



 とあるところにアランという少年がいました。
 その少年は夜な夜な寝る前に楽しい話を聞くのを楽しみにしています。
 ある日、1人の赤いモヒカンがやってきました。
 そのモヒカンはアラン少年に1つの話を語りだしたのです。
 そう……話を聞いてぐっすり眠りたい少年に毎晩色んな人が来て、たくさんの話を語っていく話を……。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー



「う? ……って、それは余がセバスチャンに書かせている本ではないか! いつの間に!!」
 アランはヴェルデが手にしている本を指さした。
「おや、本当ですね」
「……セバスチャン、そちが気付かなかったわけあるまい!」
「……」
 アランの問いにセバスチャンは答えない。
「もう! とっておきの話っていうからあたしも楽しみにしてたのに」
 エリザロッテは膨れたが、ヴェルデはにやりと笑った。
「楽しかっただろ?」
「そりゃ、びっくりはしたけれど……それによく聞くとエンドレスに……」
 エリザロッテの言葉にアランはようやく気付いたようだ。
「はっ! 本当だ! このままいくとメビウスの輪のようにぐるぐると同じ話、同じ夜を過ごすことに……!?」
「それはないから大丈夫よ」
 エリザロッテはアランを落ち着かせようと、ふわふわの髪の毛を撫でてやる。
「そなたの手は温かいな!」
 にへっと笑うアランにエリザロッテもつられて笑った。
「さて、これでお話は一段落ですね――」
「むぅ……まだ聞き足りないぞ……」
 しゅんと肩を落とすアラン。
「また機会がございましたらやっていただきましょう」
「うむ!」
 セバスチャンが言うと、アランはぱっと明るい表情になった。
「では、また聞かせてくれ! 余はいつでも待っているぞ!」
 こうして、長い長い夜は明けていくのだった。


担当マスターより

▼担当マスター

えりか

▼マスターコメント

 今回はお話ということでこういう形にしてみました。
 少しでも楽しんでいただけたらと思います。

 また機会があったら千夜一夜の続きもやってみたいです。
 ではではー!