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ACT7・決着


「ここは一気呵成に叩み掛けましょう!」

 後方から魔術で援護する風森望が、横に居並ぶ仲間たちにいった。
 それにうなずいて、後方組はN‐1に向かって一斉に攻撃を始めた。

「おせんちゃん、魔道書の力を借りますよ!」
 
 望はそう言って『山海経』に助力を頼み、氷術や炎術次々と放つ。
 その横で、トゥトゥ・アンクアメンが野生の魔獣たちを呼ぶために雄叫びを上げた。
 するとその声に応えるように、続々と魔獣たちが集まってくる。
 トゥトゥはそんな魔獣たちの王であるかのように振るいまい、N‐1を指差して蹂躙を命じた。

「奴がこの森を血で汚した罪、そなたらの力でわからせてやるがよい! 余が許す……存分にやれぇッ!」

 魔獣たちはその命令に牙を剥いたり、吼えることで意思を表明すると、N‐1に向かって一斉に走り出していく。

「よしっ、セラも頑張るよ!」

 シュリュズベリィ著・セラエノ断章はそう言うと、魔術書としての力を遺憾なく発揮する。
 サンダーバード、不滅兵団、フェニックス、ウェンディゴと、次々に召喚獣たちを召喚していった。

「ルイがいなくても大丈夫。セラはひとりでもちゃんと出来る」

 召喚獣を背後に従えたセラは、ひとりそうつぶやいて息を吐いた。
 そして一緒に戦う仲間たち、命令を待つ召喚獣たちを見やると口元を綻ばせる。

「よし、みんなと一緒に頑張るぞ。いっけぇーっ!」

 握り拳を前に突き出して、セラが召喚獣たちに突撃を命じた。
 召喚獣や魔獣たちが武器を手に進む前衛組を追い越して行く。
 N‐1は大地を蹴ると、逃げることなくそんなモノたちにぶつかった。
 群がる魔獣たちを咆哮で退け、召喚獣たちには牙や爪で襲いかかる。
 ダメージを受けてもお構いなしに、N‐1は荒ぶる力で対抗した。

「――バニッシュ!」

 そんなN‐1の元にたどり着いた相田なぶらは光魔法を放った。
 その光に闇を宿すN‐1は怯む。

「いまですッ!」

 ゴッドスピードで加速したフィアナ・コルトは一気に接敵。
 自分の身の丈程もある大剣”改式ランドグリーズ”を軽々と振り上げると、限界まで力を引き出した一撃をN‐1にお見舞いした。
 そんなフィアナの後ろから、緋柱透乃が飛び出してきた。
 彼女はひねりを加えた炎の拳を敵の顔面に叩き込む。
 その攻撃を受けて、N‐1は後ろへと下がった。
 そこへノート・シュヴェルトライテが追い打ちをかけた。
 彼女はグレイシャルハザードのスキルを使用して、ウィングソードの剣先を敵の体に突き入れる。
 その攻撃にN‐1は呻いた。
 硬い皮膚の再生が追いついていないため、いつもよりもダメージが大きいのだ。
 N‐1は身を震わせる。
 そして足を使って、契約者たちから離れようとした。

「逃がしません!」

 と、緋柱陽子が声を上げた。
 彼女はここぞとばかりに強力な魔力の籠った鎖”呪鎖【氷葬】”を使ってN‐1の動きを封じ込める。
 それを嫌ったN‐1は、陽子に向かって炎を吐きだした。
 だがそこへ、霧雨泰宏がカバーリングに入る。
 ファイアプロテクトなど防御に特化した能力をもつ泰宏は、サブマリンシールドで炎を防いだ。

「陽子ちゃん、大丈夫?」
「ええ、大丈夫です。ありがとう、やっちゃん」

 陽子はそう言って笑みを浮かべる。
 N‐1はその隙をつき、素早い動きで契約者たちのエンゲージから離れた。
 そしてスピードをつけるために周囲をぐるりと回り始める。
 そんなN‐1は、ある程度の速度を確保すると突進を行う。
 と、突進するN‐1の前方に突如として怪植物のツタが現れた。
 地面を喰い破って現れたそのツタたちは、一斉にN‐1に襲いかかりその体に絡みつく。
 ツタに絡みつかれたN‐1は、前のめりになって顔から地面に突っ込んだ。