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機械仕掛けの歌姫

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機械仕掛けの歌姫

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 和輝とフレンディスは無線を通して、クレア達に報告を行った。
 それはフランの声帯が現時点ではオークを従えている要のものであり、それを奪い返すことが出来ればオークを無力化することが出来るかもしれないということ。
 そして、フランの声帯は副支部長であるスティルの手にあるといこと。

『……そこまで分かれば上出来だ。ありがとう』
『いや、気にしないで下さい。では――ッ!』

 無線はそこで途切れた。代わりに聞こえてくるのはいくつもの銃声と剣戟、オークの叫び声。
 クレアは振り返り、同じように無線を通じて報告を受けていたクローラ・テレスコピウム(くろーら・てれすこぴうむ)を見る。

「クレア大尉。では、鎮圧作戦の優先順位は部品の奪還が最優先ということでよろしいですか?」
「ああ、それで頼む。まず何より圧倒的な数を誇るオークを無力化したいからな」

 クローラはクレアの問いかけに頷き、それを見たクローラは報告とひとつの提案を行った。
 報告は先にマントの隠れ身で敵拠点の倉庫に接近、ハイドシーカーで探ってきたパートナーのセリオス・ヒューレー(せりおす・ひゅーれー)がテレパシーで送ってきた相手側の布陣の内容。
 提案はクローラの懸念だった。

「恐れながら申し上げます。クレア大尉」
「なんだ? 言ってみろ」

 提案の内容はこうだ。
 それは、奪還が第一なので追い詰めすぎて部品を破壊させてもいけないということ。
 先の報告を聞きフランの声帯が特別な力があるのならば、相手側もそう易々と壊しはしないだろう。だが、追い詰めすぎてしまえば違うかもしれない。
 だから、クローラは表向きはただの交戦に見せかけるべきだと提案したのだった。

「……ふむ、確かにな。その件はあなたに任せよう」
「はっ、ありがとうございます」

 クローラはクレアに対して敬礼を行い、秀幸に話しかけて部品の形状の確認を素早く行う。

「……すまない、クローラ殿。自分も出来れば戦線に参加したいのだが」
「気にするな。小暮は全体を見ててくれ。俺が行く」

 秀幸は頼りになる同期であり友でもある少尉に敬礼を行い頼んだ、と呟いた。
 クローラは軍人らしいタフな笑顔を浮かべ、それに答えると作戦行動のために踵を返し所定の位置へと走っていく。

「さて、では……」

 それを見送ってから、クレアは拡声器を片手に掴み本隊の最前列に立ち警告。

「私の名前はクレア・シュミット。シャンバラ教導団の大尉である。
 武装を解除し、即時投降せよ。さもなくば殲滅する!」

 拡声器を通して戦場に大音量で響くその声は、警告と降伏勧告。
 もちろんそれに応じる相手の部隊ではないが、それはクレアの予想の範疇のうち。

(これは、いわば手続き且つ威圧。本来の目的は敵の部隊の注意を自身に引きつけること)

 どうやら、クレアのその目的は遂行できたようだ。
 支部を前に陣取る多くのオークと鏖殺寺院の構成員はクレアに視線を向けた。

(敵の司令官はテクノクラート。恐らく、防衛計画を練っているはず。
 ……ならば、腰を据えて正面から力で押す。決め手は、奇襲部隊に任せて)

 そう考えているクレアにすかさず、敵からの銃弾が飛来してきた。
 それは、狙撃。名乗ったからには敵に狙われる可能性を考慮し、クレアは殺気看破を使って警戒していて気づいていた銃弾。
 だが、クレアが避けるよりも早く、側に居たレオンがクレアの手を引き回避させた。

「一人で全てを背負い込むな、クレア。私も出来る限り指揮官として尽力しよう」
「……ありがとう。ご協力に感謝する」

 クレアはレオンの手から離れ、もう一度拡声器を口元に当て叫んだ。

「――全軍、突撃。これより、鎮圧作戦を開始する!」

 クレアの咆哮と共に、本隊は進軍を開始。
 鎮圧作戦の幕が開けた。