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Cf205―アリストレイン―

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Cf205―アリストレイン―

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――、食堂車

 透乃の【透煉の左拳】を躱して、殺人鬼トレインジャックは後方のドアを突き破り、食堂車へと逃げこむ。
 インパクトの瞬間に彼は自らの身体を後ろへ投げ出すことで攻撃は受け流していた。殺しきれなかった衝撃は、ドアにぶつかる覚悟の上でだ。
 透乃も手応えの薄さを感じる。
「入りが浅かったかな? まーちーなーさーい!」
 テーブルの上で膝をつくトレインジャックに再び透乃が迫る。
 トレインジャックはテーブルのナイフ、フォークを掴み、宙に舞う。シャンデリアに足をひっかけ、それらを天井から投擲する。
 陽子が飛来する銀食器を弾く。一般客へと飛散する。
「あら、大変!」
 などとわざとらしく言う陽子。
 北都とリオンが一般客への被弾を防ぐ。《超感覚》してもふもふされていたおかげで対応できた。《護国の聖域》と《サイコキネシス》で飛来する食器が止まる。
「何やってるんですか!」
 北都が身勝手な二人を怒鳴る。しかし、そんなのどうでもいいのだ。
「一撃でも貰ったらやばそうです。」
 トレインジャックは危険性を感じていた。透乃の攻撃は人間に対しては一撃必殺の破壊力を持つ。さっきの一撃、直撃は避けたものの肋にヒビが入ったかもしれない、胸部が痛む。
「おいおいなにやってんだ? 俺も混ぜろよ電車男」
 しゃしゃり出たのは、鍬次郎だった。トレインジャックの目の前に立つと鞘から獲物を抜いた。
「そいじゃ、ちょっくらかせいするぜ」
 鍬次郎が透乃に対峙する。
「邪魔しないでくれるかな?」
「そうつれないことをいうな。オレとも遊んでくれよ、なぁ!」
 抜刀術刀で切りつける。まずは下からの袈裟懸けに。
 透乃は《龍鱗化》した素手でいなす。【紅の透気】を纏い切り返しも。
 それを手刀と呼ぶなら、一合、二合と続く剣戟とも言えなくもない。
 だが、それは敢えて、剣と拳のせめぎあいと表そう。
「おいおい、剣道三倍段ってしらねぇのか?」
「つまり、わたしの拳が三倍以上強ければいいってことじゃない?」
 透乃は固定テーブルを引き抜き、【自動車殴り】、テーブルが高速で飛んでいく。牽制攻撃。
「っけ! それはゾッとするぜ……!」
 きり砕いたテーブルの先から《歴戦の飛翔術》で飛び込む透乃。《疾風迅雷》の速さで避けると共になぎ払い。
「ハツネ! さっさとそいつを逃がせ!」
 鍬次郎が命ずる。一旦人目からトレインジャックを退避させたあとは、電車のどこかに隠しておけばいい。
 電車男を逃がすハツネに冷蔵庫から何かが飛び出してきて襲いかかる。
「まさか、エッツェルさん!」
 神出鬼没なエッツェル・アザトース(えっつぇる・あざとーす)が冷蔵庫の中を食い漁っていたのかと、北都は《悪霊退散》の構えを取る。
 だが、違った。
「Wasshoi!」
 NINJAフィーア・四条(ふぃーあ・しじょう)だった。口に串ものを咥えている。
「アイエエエ! ニンジャ!? ニンジャナンデ!?」
 いきなり現れたニンジャの真似をした狂人の登場に悲鳴が上がる。
「ドーモ、サツジンキ=サン。フィーア・シジョウです。サア、ハイクを詠め! カイシャクしてヤル!」
 《アボミネーション》と《死の風》が吹き、食堂がさらに混乱する。殺人鬼には手裏剣を投げる。
 ハツネがフィーアの手裏剣を割り込み【ウゲンの鎖】で防ぐ。
「ヤクザクラン!?」
「クスクス……なにそれ? 流行りなの?」
 主にネオサイタマとキョートで流行ってるかもしれません。
 フィーアのせいで混乱した場をマスター=ニンジャたる葛葉が【シリンダーボム】で天井に穴を開ける。トレインジャックはその穴から列車の外、天井へと逃げた。
「まちやがれ!」
 鴉と煉が逃げる殺人鬼を追った。