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聴こえよ我が声 応え結びを

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真実への扉 そして門番

 ライラと対立している長原 淳二(ながはら・じゅんじ)ミーナ・ナナティア(みーな・ななてぃあ)南 白那(みなみ・はくな)
 ライラが立つ場所の後ろには洞窟の入口がある。

「なぜライラさんはここに居るのですか?」
「理由なんてないわ。私はここを守る為にいる存在」
「私たちはライラさんの力になりたいんです。もしよろしければフェリクスさんを裏切った訳を教えてください」
「そのままの意味よ。その彼を裏切って蛮族の所へ下ったの」
「今まで一緒に守ってきた彼を裏切る必要があったのではないですか?」
「ライラさんが進んで彼を裏切るような人には見えません。本当の事を話して下さい」

 淳二たちはライラを刺激しないよう優しく尋ねる。それを山のふもとで芭柘美たちと別れた氷苺に乗る和輝たちが見ていた。

「ウソは本当に、本当はウソになるのよ。……行きなさい」

 ライラは辺りにいる猛獣に、淳二たちを襲うよう命令するような仕草をしてみせる。
 飛びかかってくる猛獣たち。飛翔能力のある猛獣は、今まで傍観していた和輝に襲いかかっていく。

「下で戦闘している隙をみて洞窟に入る作戦は難しそうやな」
「そうだねぇ。芭柘美ちゃんたちは近づいてはいるみたいだけど、まだここには来れないみたいだよぉ」
「なにかあったのか?」
「ううん。クエスティーナちゃんの容態を見ながら進んでいるから、もう少し時間がかかるってだけだよ。途中途中方向指示もちゃんとしていたんだしぃ、そんなに遅くならないと思うなぁ」
「ほう……ならば、こやつらを蹴散らして強引に進ませてもらおうかの」

 飛んでくる猛獣を避けつつ、やや高度を下げて和輝と春華は地上に降りる。
 その時、和輝は龍の姿から魔鎧に戻った氷苺を纏い、氷の龍人の姿となっていた。

「あなたたちは敵?」

 突如現れた和輝と春華を警戒する白那。ライラと猛獣もどう動くべきかと様子を見ている為か動かない。

「いやいや、俺たちは加勢しに来ただけだ」
「本当は洞窟の中へ行きたかったんだけどねぇ」
「一人ならまだしも、こっちは三人。侵入するには難しくてね。…できたら、隙を作ってほしい」

 最後の和輝の台詞は小声で辛うじて淳二が聞き取り、微かに頷いた。

「待っててくれてありがとな!」

 様子見をしていた猛獣たちに、和輝はミラージュで自分の幻影を周囲に出す。
 それに加えて僥倖のフラワシと氷苺の銃舞でさらに回避率を高くする。
 春華もゴッドスピードを和輝と淳二、ミーナ、白那にかけ、銃棍を用いての接近戦にもっていく。

「猛獣をどうにかしないことにはライラと話もできないのが痛いよねぇ」
「そうだね」

 回避率を上げた和輝は猛獣の間を縫うように動く。
 サイコキネシスを用いたアクセルグリーヴの靴を履いた春華は、強化装甲やエンデュア、フォースフィールドで耐性が上がった事を活かし小さなダメージは気にせず、蹴りや空中ダッシュも織り交ぜ猛獣を倒していく。

 和輝の頼みを引き受けた淳二は地上の猛獣は和輝と春華に任せ、飛装兵を呼ぶと自身も地獄の天使で飛翔能力を得て、罪と死やアルティマ・トゥーレで猛獣たちを撃ち落としていく。

「ミーナ!」
「わかってる!」

 ミーナはサンダーブラストでまとめて何体もの猛獣たちを撃ち落とす。

「ミーナに近寄らないで!」

 白那は詠唱中のミーナを守るように爆炎波を放つ。

「馬鹿もの!! 木々の多いこの様な地形で雷術や火術を使う者がおるか!? 二次災害の可能性を考慮するのじゃ!!」

 魔鎧になっている氷苺は、ミーナと白那の術の飛び火で山火事が起きる事を危惧してそう叫ぶ。

「「ご、ごめんなさい!」」

 氷苺がミーナと白那を叱っていると、和輝はライラの前まで来ることが出来ていた。

「霊体なんて掴めるか分からんけど!」

 和輝は鬼神力で3mの牛頭鬼になるとライラを羽交い絞めにすることに成功する。

「マジでか!?」
「離して!」

 もがくライラを驚きつつもしっかり掴んでいる和輝。

「そのまましっかり捕まえておれ」

 氷苺は魔鎧から人間の姿へ戻り、紅の魔石の欠片を銃に込める。

「わらわの魔力の片鱗を見せてやろう」

 引き金を引き、欠片に込められている魔力が解放される。
 解放されたそれは氷苺本来の姿である氷の龍となり、口から蒼いブレスを放った。

「え!? み、味方ごとですか!?」
「そう慌てるな。これはとうの昔に打ち合わせ済みじゃ」

 淳二たちは和輝ごとライラへ攻撃したことに驚き、慌てる。
 ブレスを吐き終えた龍はそのまま消滅し、消えていった。

「どうだ……」

 白い靄が晴れていく。