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聴こえよ我が声 応え結びを

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聴こえよ我が声 応え結びを

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 靄の中には二体の人型が見える。

 完全に晴れるとそこには和輝とライラ、二人が変わらず立っていた。
 それにはここにいる全員が驚く。

「椿さま…ありがとうございます」
「わらわの魔力の片鱗でも無傷じゃと……」
「確かに掴めるのに、攻撃が当たった感じがしなかった……」
「ここは絶対にこれ以上通させないわ!」

 和輝から解放されたライラは、手にしている弓矢を氷苺に向けて放つ。
 それをなんなく避けた氷苺は、自分と対立するようにライラを捕まえていた和輝の許へ向かう。

「和輝ちゃん、大丈夫ぅ〜?」

 広範囲にわたった氷苺の攻撃で半数以上の猛獣が消え去った場所を通り、続いて春華が和輝と氷苺の許へやって来る。

「平気だよ。……今ならライラよりも後ろに居る。チャンスや」

 三人は同時に洞窟へ飛び込んだ。
 それをみたライラは洞窟の方へ何か合図を出す仕草をする。

―――うわぁぁぁぁ!
―――きゃぁぁぁぁ!
―――いやぁぁぁぁ! コウモリ〜!!

 どうやら、ライラがコウモリたちで中へ侵入した和輝たちを襲っているようだった。

「俺たちも中に……」
「言ったでしょ? これ以上通させない、って」

 和輝たちの悲鳴に淳二たちも中へ入ろうとするが、ライラに阻まれて進めない。
 睨み合い、出方を窺う。

「ちょっと待ったー!!」

 そこへ北都・昶とセレンフィリティ・セレアナが現れる。

「みんな戦うのは止めよう? ……あ、初めまして! あたしはセレンフィリティ。こっちはセレアナよ」
「初めまして。いきなりごめんなさいね。私たちはあなたとお話がしたくてここに来たの」

 現れて早々にセレンフィリティとセレアナが自己紹介をしだす。

「話し? 私は話すことなんてないわよ」
「そう言わないで? 今、語り継がれている神話の中にあなたの事が書かれていたの。それは全て本当のこと?」
「神話?」
「うん。御神木を守りながら暮らしていた小さな集落が、あなたの裏切りによって結果的に滅ぼしてしまったという神話」
「正しくはあなたと一緒に御神木を守っていたフェリクスの方が実質的には滅ぼしたのだけど」
「……もう神話となるような位の時が流れたのね」

 悲しそうな、懐かしいような表情を浮かべるライラ。

「そう。神話になる位の時間は経ちました。今じゃこの神話の真実を知っているのはライラさんだけなんです」
「私たちは戦いに来たんじゃない。ライラと話をしたくて来たの」
「あの神話にはライラさんの思いがそこには書かれていなかった。僕はそれを知りたいんだ」
「戦う事が疲れたとか、片割れが死ぬことに恐怖感を抱いたのかオレには分からなかった。理由があったなら聞かせてくれよ。いくらでも聞いてやるぜ?」
「話して下さい。あなたの言葉で、あなたの思いで真実を」

 優しく、自分たちの人実を知りたいと言う気持ちを込めてじっとライラを見つめる面々。
 ライラは迷い、忙しなく視線を彷徨わせるが、猛獣たちに指示を出す。

「どう歪められようとそれも真実よ! 私は彼を、集落を崩落へ導いたの」
「それはライラさんの真実じゃない! 誤解をそのままにしててもライラさんが辛いだけ。僕たちも出来る限り協力するから!」
「もうやめて!! これ以上動物たちに傷を増やすような指示を出さないで!」

 守りに徹するセレンフィリティたち。
 何度かの攻防の末、セレアナの軽身功でライラの動きを止める事ができた。

「お願い。こんな姿じゃ信用できないかもしれないし、辛いことを思い出させることになるのも分かってるわ」
「どうしても話しにくいは部分については無理に聞かないわ。あなたの言える範囲で、あなたの正直な思いを私たちに話して?」

 セレンフィリティのいうこんな姿とは水着姿であることをいう。
 ライラは抵抗を止めてついに真実を語り出した。