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【新歓】みんなで真・魔法少女大戦!?

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stage10 世界覆う黒き影

「アウストラリス!」
「ポミエラ、無事でしたか」

 戦艦から甲板に出てきた魔法少女ポラリス(遠藤 寿子(えんどう・ひさこ))は、捕まっている人を助けに行っていた魔法少女アウストラリス(アイリ・ファンブロウ(あいり・ふぁんぶろう))達と合流した。
 甲板では紫の霧は艦内より薄いものの、辺り一面を覆い尽くしていた。

「アウストラリス、この霧はいったい何なの?」
「私にもわかりません。ただ何か嫌な感じは――」

 その、轟音が鳴り響き、戦艦を突き破って巨大な四つの脚を生やした機械が現れた。
 甲板のポラリスは飛んできた破片を回避しながら、雲を掠るほどに背の高い機械を見上げた。

「なな、何あれ!? 巨大ロボット!?」

 潰れた楕円形の鉄塊から伸びる長い四本の脚。
 どう考えても戦艦に収納しておけるような大きさではない。
 
 生徒達は戸惑いながら見上げていると、潰れた楕円形の鉄塊の中央に光が集まりだし、そこから高出力の極太レーザーが発射された。
 レーザーはポラリス達の頭上を通過し、後方の山に風穴を開けるとその向こうの森を焼き払った。
 巨大な四本脚の機械が、戦艦から抜け出そうとし始めた。
 
「まずいですね。あんなのに好き勝手されたら大変な被害になりかねません。
 ポラリス、あれを止めますよ!」
「あ、ちょっと待って、あれ!」

 武器を手に走り出そうとしたアウストラリスの手を、ポラリスが掴んで引き留めた。
 ポラリスが艦内へと続く入り口を指さす。すると紫色の霧と煙の中を掻き分けて魔法少女アイドル マジカル☆カナ(遠野 歌菜(とおの・かな))が艦内から脱出してきていた。

「けほっけほっ……」
「カナちゃん!? 大丈夫!?」
「大丈夫だよ」

 ポラリスに支えられて他の生徒達と合流するマジカル☆カナ。
 その後に続いて、動力炉と≪シャドウレイヤー≫発生装置を止めに行っていた生徒達が崩れかけた艦内から次々と脱出してくる。

「ねぇ、カナちゃん。あれが何かわかる?」
「あれは……動力炉……?」

 マジカル☆カナは言い終わった後、小首を傾げていた。
 確かに、戦艦から抜け出そうとしている四本脚の巨大な機械はドクター・ハデス(どくたー・はです)が改造した動力炉、≪起動式バイオタンク一号≫にそっくりだった。
 しかし≪起動式バイオタンク一号≫は核を破壊されて粉々になり、それにこんなにも巨大でなかったはずだ。

「もしかすると、あの紫の液体が原因かもしれません」

 退魔少女バサラプリンセスみこと(姫宮 みこと(ひめみや・みこと))が怪我をした身体を抱くようにしながら、近づいてきた。

「みことちゃん、大丈夫?」
「はい、大丈夫です。傷は多いですが、どれもかすり傷程度ですから。
 それより皆さんにご説明したいことがあります……」

 みことはスピーカーでの放送直後、抱えていた紫の液体の入ったガラス管が内側から爆発し、そこから紫の液体は霧になって周囲に拡がっていったと説明した。そのガラス管とは≪シャドウレイヤー≫発生装置から取り出したものである。
 そこで仕方なく爆発時の破片で怪我をしたみことは、他の生徒達と一緒に甲板まで出てきたのだと説明した。

「となると、≪起動式バイオタンク一号≫が巨大化した原因はこの霧が原因のようですね。
 おそらく液体は≪シャドウレイヤー≫を生み出す要因だったのでしょう。この霧にも同じ邪悪な力を感じますから」

 アウストラリスは自分なりの考えを述べると、引き抜いた脚を平原の地表へとつける≪起動式バイオタンク一号≫を見上げた。

「この霧も≪シャドウレイヤー≫と同じなら、放っておくわけにはいきませんね
 皆さん、あの機械を破壊しましょう!」

 生徒達が頷く。

 ≪シャドウレイヤー≫によって制止し、浸食され続ける世界。
 動けるのはここにいる生徒達だけ。
 救うことができるのはこの場にいる魔法少女達だけだった。