校長室
【新歓】みんなで真・魔法少女大戦!?
リアクション公開中!
「いきますよ、ポミエラ」 「はい!」 武器を握りしめ走り出すアウストラリスとポラリス。 その時、≪起動式バイオタンク一号≫の潰れた楕円形部分、レーザーを撃つための内側に渦を巻くようにへこんだ部分に、突如黒い目が現れた。 黒々とした目が生徒達を睨みつける。 「!?」 瞬間、生徒達は身体に負荷を感じて膝をついてしまった。 「くっ……急に身体が重く……」 「≪シャドウレイヤー≫の効力が高まって……魔法少女の私達……制限されている、んです……」 過度の重力が圧し掛かってきたように、生徒達は次々と地面に身体を押しつけられていく。 綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)は地面に顔を押しつけられながら真横を見た。 捕まっていた小さな子供が苦しそうに目と鼻から涙を流しながら、今にも途切れそうな呼吸を繰り返していた。 さゆみは地面を擦るようして、子供の小さな手を下から握りしめた。 「大丈夫、大丈夫よ……すぐになんとかするから……」 さゆみは必死に考えた。 今、私にできることはなに? 立ち上がることも、身体を起こすこともできない。 こうやって手を握ってあげることしかできないの? 私に……私がこの子にできることは…… 「ん、ルル〜、ルルル〜♪」 さゆみは圧力に苦しみながら、必死に歌いだした。 額に汗が滲む。 たとえ音程がずれても、うまく声が出なくてもいいと思った。 目の前の子供に泣き止んで、笑って欲しいと思ったから、歌い続けた。 鳥の音も、街の喧噪もない、静寂の世界でさゆみの声が鳴り響く。 すると、重ねるように魔法少女アイドル マジカル☆カナ(遠野 歌菜(とおの・かな))も歌いだした。 「――カナさん……」 続くように魔法少女カナリア(玖珂 美鈴(くが・みれい))も歌い出し、三人の歌姫の声が生徒達の心へと響いていく。 その声に勇気をもらったポラリスが必死に身体を起こそうとする。 「そうだよ、アウストラリス……諦めちゃだめ。 未来を……救うんでしょ……」 臆病でドジっ子で泣き虫のポラリス。 そんな彼女が頑張ろうとしている。 その姿にアウストラリスも負けていられないと思った。 「……そうですね。私達はこんな所で終われませんよね」 アウストラリスも骨が軋み、折れそうになりながら、歯を食いしばって立ち上がろうとした。 その気持ちは他の生徒達も同じだった。 皆が必死になって戦おうとしていた。 ポラリスは幾度も地面に押し戻されながら、ようやく顔があげることができた。 だが、立ち上がるにはまだほど遠い。 悔しい。終わりたくない。まだやりたいことがいっぱいあるのに……。 ポラリスは瞳に涙を溜めて、懇願するように天へと叫んだ。 「お願いみんな!! 力を貸して!! この場にいる魔法少女に戦う力を!! この世界を……未来を救う希望の光を私達に、お願い!!」 世界中の、全宇宙の、次元も時も違う全ての人に。 未来を願う人達に少女は願った。 ……目の前の困難に打ち勝つための力を。 そして―――――――奇跡が起きる。 生徒達の身体が光が包まれ、身体を地面に押し付けていた圧力が消える。 魔法少女を応援する全ての人の思いが彼らに届いたのだ。 「これなら!!」 生徒達は立ち上がり、沢山の人達の思いを受けて≪起動式バイオタンク一号≫に挑んでいく……。