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【メルメルがんばる!】ヴァイシャリーに迫る危機!?

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【メルメルがんばる!】ヴァイシャリーに迫る危機!?

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★エピローグ「メルメルとメルヴィア」★


「動物たちのこと、よろしくお願いしますね」
 そう言って湖から救助した動物たちをメルメルへと引き渡しているのはコハクだ。彼はメルメルがメルヴィアと気づいていた。彼女に動物たちを元の場所へ返してもらうのが一番と判断したのだ。
 メルヴィアと呼ばないのは、普段は犬猿の仲である美羽がメルメルと楽しげに話しているから。
「メルメル、お願いね!」
「うん、メル頑張るよ」
 そんなメルメルの元へやってきたのはトマスたちだ。テノーリオが預かっていた着ぐるみを差し出す。
「なんとなく俺の親戚みたいなヤツだな。……大切にしてやって下さい!」
「わっありがとうぉ。無事でよかったぁ」
 クマの獣人である彼は、ぬいぐるみに親近感を覚えたようだった。メルメルも安堵したように笑ってぬいぐるみを抱きしめたので、トマスもホッとする。
(……でもなんで魔法少女コス?)
 そんな疑問も抱きつつ。
「わぁ、その子可愛いね!」
 詩穂が目を輝かせる。しかしメルメルはメルメルで、詩穂の持つぬいぐるみに喜ぶ。
「すごい。オカピのぬいぐるみだぁ」
「さっすがメルメル! この子滅多に出回っていないんだよ。あと詩穂のオススメはディーバード、一緒に歌ってくれるんだ♪」
「いいなぁ。でもめるの家にもねぇ」
 楽しくぬいぐるみ談議に花が咲く。
「メルメルお姉ちゃんたちのおにんぎょうさん、とってもかわいいですね〜」
 ヴァーナーも交じって、ぬいぐるみの頭をなでる。
「ぬいぐるみが好きなんだねぇ。あ、そうだ。ヴァイシャリーにあるお店でね、最近できたんだけどいいところがあるんだ」
 そう会話に入ったレキに、その場にいる全員が反応する。どこどこっ? とまた盛り上がる。
「おねえちゃ〜ん、怪我なかった?」
「僕がしっかり守ったので大丈夫でふよ」
 さらにやって来たのはハルリイム。カクカクともふもふという対極的存在の両者だが、ほんわかした雰囲気もあいまって「きゃー、可愛い」と戦闘後の女性人たちの心をいやす。
「あら可愛いわねぇ」
 中から少々図太い声が聞こえた気がするが、気のせいである。ニキータお姉さまはおとめですよ。
「わぁっもふもふに可愛い……あ、もふもふしますか?」
 中に東雲も交じって、もふもふ天国にご満悦な顔をしていたが、そこにもツッコミ入れない方がよいだろう。
 とにもかくにも、可愛いもの好き同士。多いに話は盛り上がったのだった。

「って、あー! そのぬいぐるみ!」
 大声をあげてクマのぬいぐるみを指差したハイコド。実は妻のソラン・ジーバルス(そらん・じーばるす)にそのぬいぐるみが目印の店で何か買ってきてくれと言われていたのだ。
「えっと、店の場所とよかったらぬいぐるみの写真撮らせてもらっていいですか?」
「うん、いいよぉ」
 店の場所をしっかりと聞き、ぬいぐるみの写真はメールに添付してソランへ送る。

「ん? メールだ……ほぇー、あのクマのぬいぐるみ買われたんだ」
 遠い地でメールを受け取ったソランは、すぐさま打ち返す。
「『疲れたでしょ?あとでお小遣いあげるから好きなもの買ってきていいよ』っと」
 最後にハートマークは忘れない。ラブラブですね。

「それ何?」
 離れたところでそんな様子を眺めていた天音になななが声をかけてきた。
「ニルヴァーナで発見した黒い花を使ったお茶や菓子の試作品を(ブルーズが)作ってみたから、友人達に試食して貰おうと思って」
「こっちがスキヤルディのゼリー、これがスキヤルディを練りこんだクッキーだ。試作品の茶もあるぞ」
 と、ブルーズが実物を見せながら説明する。と、甘い香りに惹かれたのか、メルメルたちも近付いて来る。
「いいかおりですね〜」
 ヴァーナーがそう言うと、ブルーズがどこか嬉しそうな顔をした。
「それにしてもメルメル、か。……普段のメルヴィア大尉とはまるで違うね」
 近くで呟いた天音の声を唯一聞いていたブルーズが一瞬後、「え?」と硬直した。

「あ、いたいた」
 シャウラが笑顔でメルメルへと近づいて来る。
「おっこれまた可愛らしい恰好で」
 先ほどとは違う魔法少女コスチュームに身を包んだその姿をまずは褒め、その手にメルメルのリボンを手渡した。
「こっちのお嬢さんが拾ってくれてたんだ」
「えと、どうもです」
「メルのリボン! よかったぁ、ありがとう〜」
 とても喜ぶメルメルにも良かったと笑顔を見せた。
「じゃあ俺が結んであげますねぇ」
 メルメルの笑顔が見れたシャウラがツインテールを一度時、上機嫌で髪を結いあげる。……途端、がらりとメルメルの――いや、メルヴィアの空気が変わる。
「ふんっご苦労だったな」
 そのまま肩を抱こうとしたシャウラの手をぴしりとはじく。だがシャウラはまったくめげない。彼にとっては、どちらのめるも好きの対象でしかない。
 しかし忘れてはならない。今の彼女は魔法少女コスだ。――うん。これもまたよし。
「いつまで無駄なことを話し合っているつもりだ。後処理がまだ残っているぞ」
 ほんわかと緩んでいた現場の空気を一瞬で変えたメルヴィアは、動物たちを元の場所へ返すために動きだした。
 そんなメルヴィアに再び近付いたシャウラがそっと尋ねた。
「デパート、いつ行きましょう?」
 以前した約束のことだ。メルヴィアははんっと鼻で笑った後「次の休みにでも行ってやろう」と答え、シャウラは大喜びしたのだった。

 ちなみにこの後、密漁者たちはメルヴィアの手でたっぷりとしごかれたのであった。
 

担当マスターより

▼担当マスター

舞傘 真紅染

▼マスターコメント

 おはようございます、こんにちは、こんばんわ。舞傘です。
 メルメルみたいな女性がいたら、わたしも問答無用で助けに……いけたらかっこいいですね!

 動物達も大きなけがなくなんとか気を鎮め、ロック鳥も雛がかえってきてよかったです! そしてあの密漁者たちへはメルヴィアさんがこってりきっちりすっぱりさっぱりお仕置きしてくれたはずです。
 それぞれがいろんな方面から今回の騒動をおさめようとしていて、私もとても勉強になりました。

 今回はご参加いただきまして、ありがとうございました!