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祭とライブと森の守り手

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祭とライブと森の守り手

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エピローグ

「ミナホさん、遅くなりましたが、街道の完成、あらためておめでとうございます」
 ライブの熱も冷めぬ中、祭は終りを迎え、今は村人たちによる後片付けだ。今日中に終わらせるわけでもなくゆったりとした作業の中、近遠はミナホに挨拶をしに来ていた。
「ありがとうございます。本当に」
 ミナホはそう言って頭を下げる。
「こちらもお礼を言わせてください。終わってしまうのが本当に残念な祭を開いてくれてありがとうございます。おかげでパートナーたちと素晴らしい時間を過ごせました」
 そう言って近遠もミナホと同じように頭を下げた。そして頭を上げる。
「……って、どうしたんですか?」
 近遠がミナホの顔を見ると涙がこぼれているのが分かった。
「えっと……あれ? どうしちゃったんでしょう? 私……」
 なぜ自分が泣いているのかミナホにはよく分からない。ただき近遠の言った言葉の中の何かがミナホの心を大きく刺激したのは確かだった。
「……その涙は悲しいものじゃないみたいですね」
 ハンカチで近遠はミナホの涙を拭う。そうしてミナホの涙が止まったところで近遠はパートナーたちの元へ戻っていった。


「村長、お疲れ様」
 ぽんと後ろから肩を叩き北都がミナホの前に現れる。
「北都さん。こちらこそ何か不自由はありませんでしたか?」
 そう祭での感想をミナホは聞く。
「ううん。大丈夫だよ。そっちは御礼を言いたいくらいだねぇ」
 そう言って北都は笑う。それでと続けた。
「これから何か村の催しとか予定はあるのかな?」
「予定……というか、村おこしは続けていくつもりです。それと今回のことや森の状況を考えると契約者さんたちの拠点となるべきものが村に必要なんではないかと思っています」
 今回は無事に解決できたが、薬草を野盗に悪用されたことを反省しない訳にはいかない。
「それに、街道作りで大量の生木材がありますから、それが乾燥したりすれば何かを作りたいと思っています」
 そういった点から、次に村として何をするかというのはいくつか既に候補はある。ただ、それを村の会議の中で取捨選択しなければならず、はっきりとしたことは言えない状況だった。
「んーと……とりあえず何かを村としてまた何かを作るのが可能性高いってことかな?」
「木材を大量に余らしていても仕方ありませんからね」
 そうして北都とミナホの会話も終わる。

 祭の片付けもひとまず明日へとなり、ミナホは集会所へと戻る。父親である前村長はすでに二回の方で眠っているらしい。
「あれ……? アテナさん?」
「しーっ」
 人差し指を立ててアテナは静かにというポーズをする。見ると瑛菜が眠っている様子が見れた。
「ごめんねミナホちゃん。いきなりで悪いんだけど今日はここで止まらせてくれないかな?」
「それは大丈夫ですけど……瑛菜さん眠ってらっしゃるんですか?」
「うん……ライブ終わってここで打ち上げしてたらいきなり……」
「仕方ないですよ……いろんなことがありましたから」
 野盗退治にライブに、まともに休む暇もなく瑛菜は動いていた。
「本当にアテナさんたちにはなんてお礼をしたらいいか……」
「瑛菜おねーちゃんならきっと御礼なんていらないって言うと思うけど……せっかくだから頼んじゃおうかな」
「はい。なんでも言ってください」
「またいつか、この村で瑛菜おねーちゃんにライブをさせて欲しいな。できれば村がもっともっと大きくなった状態で」
「それは……こっちがお願いすることですよ。いつかまた今日みたいな最高のライブをこの村で……」
「それじゃ、アテナとミナホちゃんの約束だね」
「私はこの村をもっともっと大きくしていきます」
「そしたら瑛菜おねーちゃんはこの村で最高のライブをする」
 そう言って二人は指切りをする。そして小さく二人は笑った。
「瑛菜さんのことなのにアテナさんが約束しちゃっていいんですか?」
「だって、瑛菜おねーちゃんがライブを断るなんて考えられないもん」
 そうして二人が笑い話しながら、祭りが終わった夜は更けていった。

担当マスターより

▼担当マスター

河上 誤停

▼マスターコメント

祭とライブと森の守り手、お楽しみいただけたでしょうか。
少しでも面白いと思っていただけたとしたら幸いです。

今回のテーマも前回に引き続き『共存』です。今回でとりあえず最後となります。といってもこの村を舞台にした話は書きますしそうなるとゴブリンやコボルト達も登場するわけですが。
今回は共存のテーマだけじゃなくいろいろなテーマでそれぞれのシーンを書いてますが、とりあえず共存のテーマで書きたかったのは習性の利用です。
といっても書いた自分が首を傾げるくらいなので、そういうのを書きたかったとだけ伝わってもらえば。
次の話はどうなるかは未定ですが、この二ルミナスを舞台にしたシナリオを公開できればと思っています。
今回のご参加ありがとうございました。