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【潜入任務】要塞へのスニーキングミッション

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【潜入任務】要塞へのスニーキングミッション

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 少しだけ時は遡り、拠点付近。
 アニス・パラス(あにす・ぱらす)は、パートナーである佐野の指示で拠点周囲の警戒をしていた。
 そして、事前に放っておいた、【物質化・非物質化】をかけた【機晶妖精】に反応があった。
「えーと……あ、アレかな?」
 反応があった方を見ると、要塞から1中隊ほどの兵隊がでてくるのが見える。
 完全に武装しているところを見ると、訓練の為ではないようだ。
「ふむ? 資料にあった幹部っぽい男の人もいるね。もしかして拠点がバレたかな? どっちにしろ、このままじゃ救出組も偵察組も外に出れないよ。まぁ、とにかく和輝に連絡しよっと♪」
 

   ■


「ぬ? やはり、いたか」
 要塞付近、森林の中。
 幹部と思われる、大きい体格、坊主頭の初老の男が、馬鹿でかいナイフをかついで言う。
 彼の目の前には、緋王 輝夜(ひおう・かぐや)アーマード レッド(あーまーど・れっど)がいた。
 緋王たちは、佐野の指示で、アニスが確認した兵士の【足止め】、できれば【殲滅】、を命じられていた。
「先程、要塞に侵入者が確認されたのでな。バックアップが外にいると思い、出て来たのは間違いではなかったようだ。まぁ、貴様らだけ、ということはあるまい。全員探し出して、捕らえてやるわ。何、殺しはせん。人質としての利用価値があるからな」
 初老の男は、片手にもったガトリングガンを構え、言う。
「貴様らの周りは既に包囲している。投降するもよし、抵抗するもよし。抵抗した場合、無事かどうかは保証せんがな。さて、どうする?」
 エッツェルたちを取り囲む兵士たちは、歩兵中隊、140名程度の人数で、キャノン、レールガンなども配備されていた。
 たかが強化人間と機晶姫の2人程度で、どうにかできる兵力ではなかった。
「うん。これは…あれだね。レッド」
「ソウデスネ……。緋王様。デキルダケ遠クニ逃ゲマショウ。ソレガ、ワタシタチノ、唯一生キ残レル手段デスネ」
 言うが早いか、緋王とレッドは、一番兵が薄そうな所めがけて走り出す。
「あぁ? 逃げるって……逃げられるとでも思ってんのかぁ?」
 男は呟き、射撃の命令をしようとした時、背後に、何かの気配を感じた。
 男は、思わず振り向く。
 そこには。

 禍々しく、異形な躯を持つ何かが、一人の兵士を口のようなもので咥えた状態で、立っていた。

 ソレは、兵士の一人の上半身を、咥えていた。
 下半身は、無かった。
 上半身からは、絶え間なく血がでていた。
 噴出していた。
 地面には血溜まりが。
 骨が覗いて。
 内蔵は食い荒らされたかのようで。
「……は?」
 瞬間、男の脳内に浮かんだのは、血の赤色と。骨の白色と。ぶよぶよした脂肪の黄色と。
 それだけだった。
 そして、後から、恐怖とか絶望だとか神様だとか。そんな意味の無い言葉が頭に浮かび。
 口のようなものが、思い切り開いた状態で目の前に迫って来た瞬間、意識が途切れた。

   ■

「うわー。巻き込まれないように逃げといて良かったねー、レッド」
 木の影から、緋王とレッドは、エッツェル・アザトース(えっつぇる・あざとーす)による【殲滅】作業を眺めていた。
「ちょっとレッド。このままじゃあたし達何もしてないことになるよ。適当にミサイルでも撃ち込んでおいてよ」
 レッドがミサイルを要塞に向かって撃ち込んでいるのを見ながら、緋王は呟く。
「ふぅ……。これであたし達の仕事は終わりかな? エッツェルが脱出してくる人たちを間違えて襲わないように、早めに撤退するかぁ」

 5分後、140名程いた兵士は全滅した。
 
 その又5分後、源率いる救出組が、脱出に成功。エッツェルたちのおかげで、苦もなく拠点に辿り着くことができた。