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 さて、カウンターでテイクアウトのメニューを見ているのはシャウラ・エピゼシー(しゃうら・えぴぜしー)金元ななな(かねもと・ななな)だ。先ほどまでお化け屋敷で宇宙怪人探しをしてきたところである。
「ゼーさん、一緒にクレープ食べよ!」
 なななは、エオリアが焼いているクレープを指差した。
「クレープか。じゃ、俺はツナサラダかな。なななは何のクレープが食べたい?」
「バナナが入ってるのがいいかな! なななとバナナって似てるよねっ!」
 なななは満面の笑みを浮かべてシャウラを見上げる。
「じゃあ、このバナナスペシャルとかがいいかな?」
「うん、なななスペシャル!」

 二人分のクレープを受け取ると、シャウラたちはそのまま丘の上のカップル用スペースを目指した。
「ゼーさんも食べる?」
 なななはクレープをシャウラに差し出した。シャウラが一口クレープをかじる。
「ん、美味い」
「電波を受信するために栄養を補給するのも、大事だよね!」
 そう言って、なななもクレープにかぶりついた。
「……ななな、おべんとつけてるよ」
 ニコッと笑ったシャウラに指摘され、慌てて口の端についているクリームを拭うななな。
「そっちだけじゃなくて、ほら、反対にも」
「なななは子供じゃないよっ」
「ん、分かってる」
 シャウラはぷくっと膨れるなななを見て、幸せそうに微笑んだ。

 目的地にたどり着いた二人は、丘に座って一緒に沈み始める夕日を眺めていた。
「この丘、今ぐらいの時間帯夕日をバックに告白タイムなんだってさ」
「きっと電波を感じ取りやすいからだね!」
 幸せそうにひょこひょこと揺れているアンテナを見て、シャウラはなななの額に軽くキスをした。
「今日は楽しかった」
 そうシャウラが囁くと、なななは幸せそうに、
「なななも楽しかったよー」
 と言って笑った。可愛すぎる。シャウラは、心の声が漏れそうになりながらも、なななの頭を撫でる。
「ななな、もう子供じゃないよっ」
 なななは子供扱いされたように感じたらしく、むくれてみせる。
「そうだったな。――それじゃ……試してみようか」
 そう言って。シャウラは、なななの唇を自分の唇で塞いだ。

 ……長いキスの後にようやく解放されたなななは、ぽーっとした表情でシャウラを見上げた。
「――ゼーさん」
「ん?」
「っ!」
 なななは、シャウラに飛びついた。そのまま、なななを抱きしめるシャウラ。
 二人の背後で、少しずつ夕日が沈んで行く。なななの言葉になりきらなかった想いは、それでも充分にシャウラに伝わっているだろう。